クロスバイク洗車完全ガイド|初心者でも簡単!水なし&効率的な手順を解説
気軽なサイクリングやポタリングに大活躍のクロスバイク。通勤・通学用途でお求めの方も多いことと思います。日常の足として使う場合には、汚れがつく機会の多さが洗車の頻度と釣り合わなくなることもあります。特に、お天気の良い日を選んで走れるとは限らない通勤・通学の場合は「2週間に一度」など、洗車のタイミングを決めて習慣化していくことがバイクを長く快適に維持する秘訣となります。
この記事では、定期的に実施してほしいお手軽なクロスバイクの洗車方法のほか、蓄積した頑固な汚れの落とし方もご紹介します。
月に一度の好習慣!簡単 "水なし" 洗車
集合住宅のベランダなど、ざぶざぶと水を掛けられない環境にもお勧めなのが「水なし洗車」。クロスバイクに付いた汚れをしっかり落とすポイントは、適切なケミカル選び。ここでは国内有数の油脂メーカーである和光ケミカルの製品を使います。
ケミカルを揃えるならセットがお得!→ WAKO'S スタンダードセット
ステップ①:油汚れを浮かせる
チェーンやギアなど、油を含んだ汚れにはチェーンクリーナーが有効です。ゴム手袋をつけたら、ギア周りにもともと付いている潤滑剤と、そこに集まってこびりついているホコリや砂粒をまとめてキレイにしましょう!
- チェーンクリーナーは振ってから使います。
- ディスクブレーキ車の場合は、ローターやパッドにケミカルがかからないようにディスクブレーキカバーなどで養生してから、チェーンと前後のギアにチェーンクリーナーをスプレーします。
- 少し馴染ませるためにクランクを逆回転させてチェーンを動かしたら、付属の豚毛ブラシで軽く擦ります。このとき、チェーンが後ろギアの真ん中あたりに乗っていると、チェーンが外れたり勝手に違う段に移動するのを抑えやすくなります。チェーンはローラーを転がすようにブラッシングすると中に入り込んだ汚れを刺激することができます。
毛足の長い固めのブラシは歯の間をキレイにするのに重宝します。
ステップ②:汚れを洗い流す
ステップ①で浮かせた汚れを洗い流すのにフォーミングマルチクリーナーを使います。泡の力でチェーン内部の汚れも押し出してくれます。フォーミングマルチクリーナーには油分が含まれないので、フレームの塗装部分などクロスバイク全体に使えます。
- フォーミングマルチクリーナーは振ってから使います。
- チェーンクリーナーで洗浄したチェーンやギア周りパーツをフォーミングマルチクリーナーでの泡で覆うように吹きかけます。汚れが多いうちは、泡がすぐに消えてボタボタと落ちますが、キレイになってくると泡の状態が長続きするようになるので、そのタイミングを目安にウェス(雑巾)拭き取りましょう。ウェスについた油汚れが拡散しないよう、ギア周りに使用したウェスは他の部分には使用しないほうが良いでしょう(ワコーズ スタンダードセットにはギア周り用にグレー、その他部分用にブルーのマイクロファイバークロスが同梱されています)。
- ついでにフレームなどの汚れにもフォーミングマルチクリーナーをつけて、拭き取ります。使用量は汚れの状態次第です。汚れが少なければ、ウェスに吹いて塗り伸ばす程度でも十分効果がありますが、泥などが付着している場合は多めにかけて、汚れのくっつきが緩んでから優しく拭き取るようにすると傷がつきにくいはずです。
細かいところはクリーニングクロスを隙間から通して使います。
ステップ③:潤滑油を差す
洗浄後は、本来あるべき潤滑油も失われた状態になります。特に、水分が残った状態ではすぐに錆びてしまい、動作不良の原因となります。ここで活躍するのが浸透性が高く水置換性(みずちかんせい)に優れたラスペネです。
- ラスペネは振らずに使います。
- スプレーの勢いで油が飛び散らないようにウェスを当てながらチェーンに沿ってラスペネを吹きかけます。一周満遍なく浸透させたら、馴染ませるようにクランクを回してチェーンを動かします。
- ディレーラー稼働部にも少量を吹きかけ、水分を追い出すとともに潤滑します。油っぽいまま残しておくとすぐに汚れてしまうので、リンク部分に染み込んだら表面はキレイに拭い取ります。
- チェーンに吹きかけたラスペネも拭き取ります。
ラスペネで水分を追い出し、下地を作ったところでチェーンルブの登場です。ラスペネだけではチェーンに必要な油膜を維持しづらく、飛び散りも懸念されるので、しっかりチェーンルブで潤滑しましょう。(チェーンルブにも水置換性があるので、時短を狙うならラスペネのステップを飛ばすこともできますが、ラスペネで下地づくりをするとチェーンルブの持続効果も高くなるので併用するのがお勧めです。)
- チェーンルブはよく振ってから使います(30秒を目安にしっかりと!)。
- スプレーの勢いで油が飛び散らないようにウェスを当てながらチェーンに沿ってチェーンルブを吹きかけます。一周満遍なく浸透させたら、馴染ませるようにクランクを回してチェーンを動かします。
- 15分ほど放置して油膜を定着させます。(噴射ガスなど、潤滑成分以外を揮発させる狙いがあります。放置する時間が取れない場合は、次の拭き取りもスキップします。)
- ギトギトにならないように表面を軽く拭きます。
注意!:回転軸(ハブ、クランク、ペダル、ヘッドなど回転する部品の軸)にはグリスという別のタイプの潤滑油が詰め込んであります。オイルやクリーナーを掛けると中のグリスが溶けて流れ出てしまう恐れがあり、良かれと思ってやったことが逆効果になりがちです。このあたりの整備はショップにお任せください!
晴れた日にしか乗らなくても、ひと月に一回は励行したいところです(雨の日や雨上がり直後にも乗るなら2週間に一度がおすすめです!)
時短の裏技!(手抜き?!)ラスペネ洗浄
上の注意書きにも書いた通り、新しいオイルには元々付いているオイルやグリスを洗い流してしまう作用があります。その性質を逆手にとって、洗浄剤を使わずにササっと簡易洗浄と注油を済ませてしまおうというのが裏技の"ラスペネ洗浄"です。
念入りな洗車に代るものではありませんが、見るに堪えないほど汚れてしまったチェーンをとりあえず最悪の状態から脱するために行う手段としてご紹介しておきます。
- ラスペネは振らずに使います。
- 油が飛び散らないようにウェスを当てながらチェーンに沿ってラスペネを吹きかけます。一周満遍なく浸透させたら、馴染ませるようにクランクを回してチェーンを動かします。
- 汚れの度合いに応じて適宜ラスペネを追加しながら、溶けて落としやすくなった古い油と汚れをウェスで拭い取ります。ウェスはひどく汚れていきますので、使い捨てにできるもの(使い古したTシャツなどでもOK)を折りたたんで、時々キレイな面を出すようにしながら拭き取ると効果的です。
- キレイになったら余分なラスペネを拭き取り、チェーンルブを差して仕上げます。
ついでに裏技をもう一つ。ラスペネミニやチェーンルブの金属ノズルは、先端を少し下へ曲げるとチェーンへの注油が劇的にしやすくなります。缶を垂直に構えても下方向に噴射できるので、中身を最後まで使い切るのにも有効です。
酷い汚れには荒技が効果的?!
リアディレーラーのプーリー(上下についた小さな歯車)など、オイルと汚れが混ざって堆積しやすい部分は、洗浄剤を軽く含ませてから小さいマイナスドライバーやシールピック(千枚通し)を使って、削ぎ取るように攻めるのが効果的です。攻めると言っても相手が樹脂部品であることも多いので、傷を付けないように部品の形状をイメージしながら当たるか当たらないかの力加減で滑らせるようにしてください。道具については竹串やアイスの棒など、身近にあるものでも代用可能です。むしろ傷がつきにくいので金属の工具よりもお勧めできます。
剥がれ落ちた汚れは、靴底などにつくとそこら中に真っ黒く広がってしまうので、ウェスで受けるようにしましょう。
塗装面の小傷や曇りにはコンパウンド
長く使っていると、塗装面に磨き傷や曇りが発生するものです。最表面のクリアコートに浅くついた傷程度なら、カーショップやホームセンターで入手できるコンパウンド(磨き粉)が有効です。
別の車体でダウンチューブにマスキングテープを貼って、施工面を比較してみました。上が磨き前、下はコンパウンドで軽く20秒ほど磨いて乾拭きしたものです。
劣化してひび割れのようになった塗装を回復させることはできませんが、艶は復活するので、気になっている方はお試しの価値ありです!艶消し塗装には使えないのでご注意ください。
洗車時にゴシゴシと力強く擦り洗いをすると、こうした小傷がつきやすいので優しく洗うことを普段から心がけましょう。予防には汚れをつきにくくするガラスコーティングもお勧めです。
クロスバイクの洗車で愛車を快適に保とう!
この記事を参考に、クロスバイクを清潔に保ち、快適なライドを楽しんでください!
クリーニング講習会もやってます!
バイクプラスではほぼ毎月、「ギア周りのクリーニング」と題した店内講習会も開催しています。今回ご紹介した内容を実際に見たりやったりしながら楽しく学べますので、ぜひご利用ください。
講習会の詳細はこちら→https://bike-plus.com/pages/how-to-clean-and-lube-drivetrain