ヒルクライム用ロードバイク選びのポイント
近場の坂道や峠道を登坂して達成感を味わったり、毎年参加するヒルクライムレースでの自己タイムの更新を目標にトレーニングにいそしんだりと、主にヒルクライムを楽しむことを前提にロードバイクを初めて購入しようとお考えの方のために、ヒルクライムに適したロードバイク選びのポイントをまとめました。
ヒルクライム用途でロードバイクを選ぶ際のポイント
初心者が本気でヒルクライムに適したロードバイクを選ぶなら、こちらでご紹介する6つのポイントに注意して選ぶと良いでしょう。
POINT. 1
後の軽量化カスタムも含めてトータルで予算を考える
完成車の状態のままヒルクライムを楽しむ方も大勢いらっしゃいますが、ヒルクライムを楽しんでいるとどうしても“軽量パーツに交換したくなる衝動”に駆られます。軽さを手に入れるための投資を車体購入時に行ってしまうか、後々色々とパーツを吟味しながら何度かに分けて投資していくか、この問題にあらかじめ目を向ける必要があります。
トータルコストを抑えるために最初からそこそこいいグレードを選ぶ
『フレーム』『コンポ』『ホイール』をバラバラで購入して一からロードバイクを組み上げたり、後々カスタマイズをして軽量化を図るのは費用が嵩むので、多少無理してでも最初からそこそこいいグレードのフレーム&パーツを搭載した完成車を選ぶのが良いでしょう。トータルコストが安くすむのはもちろん、最初からいいロードバイクの素晴らしい登坂性能を十分に堪能することができますし、不要なパーツやホイールが出て処分に困ることもありません。
初期費用をできるだけ抑えたいという場合はカスタムを後で楽しむ
この先どれだけハマるかもわからないのにいきなり高価な車体に投資はできないとお考えの場合は、長いスパンでみた時に多少費用は嵩みますがまずは『フレーム』の性能に重きをおいて、『コンポ』や『ホイール』のグレードはそこそこの車体を選ぶのがよいでしょう。フレーム以外をどんな風にカスタムしていくか考えるのもロードバイクの楽しさの1つでもあります。特にホイールは選択肢も多く交換も比較的容易でアップグレードしやすい上に、愛車の見た目の変化を楽しむことができ、性能差を実感しやすいカスタムパーツです。
後々のカスタマイズとしては、ハンドル・ステム・サドル・シートポストなどを軽量なカーボン製品などにグレードアップしていくのもおすすめです。時期をずらして少しずつ交換していけば軽さや剛性、乗り心地、座り心地の違いを楽しむこともできますし、ホイールほどのまとまった出費にはならなくてすみます。これらのパーツは車体上部に位置しているのでダンシング時には数字上よりも軽さを実感しやすかったりします。
point. 02
フレームの軽さと性能を吟味する
重力に逆らって上へ上へと登るヒルクライム。単純に『重量』だけで比較すると同じ人物が乗るなら軽いほうが速いです。なのでなるべく軽いロードバイクを選んでおきたいところです。がしかし、必ずしもただ軽ければ良い訳でもありません。軽さと同じように重要なのが、漕いでいる力を推進力に変換できるフレーム性能の高さ(=ボトムブラケット周りの剛性)。剛性の高さは推進力・登りの速さやラクさにとても影響してきます。
カーボン
ペダリングの軽さに影響するボトムブラケット周りの剛性はカーボンの方が圧倒的に高く設計されています。製造上パイプ形状や肉厚の自由度がアルミより高いため高性能なフレームに仕上げることができるのです。なので、予算が許すなら迷わずカーボンです。
大した重量差がないアルミとカーボンのフレームを比べた場合、実際登りで漕いで速いし軽いと感じるのはカーボンフレームの方と考えて間違いないでしょう。さらに、より上位グレードのカーボンフレームは実にテンポよく登坂します。
フルモデルチェンジを果たし、軽さと空力性能、それに乗り心地で人気の TREK Madone シリーズの場合は、『Madone SL』とその上位に『Madone SLR』があります。当然のことながら上のSLRシリーズの方が軽量で剛性も高く、(実にサクサクと登ってくれます。初めての一台としてはなかなか躊躇する価格帯に入ってきますが、ワンランク上のグレードの走りを楽しめるでしょう。
カーボンロード
全て見るアルミ
例えば同価格帯でカーボンとアルミ、重量的にどっちが軽いか?と言う点だけで考えると、軽量をうたっているアルミフレームにじつは軍配が上がります。予算的にカーボンに手が出ないようであれば、超軽量アルミフレームとして人気の完成車(例:TREKエモンダALRシリーズ)を選ぶと良いでしょう。
軽量アルミフレームの車体なら、後々色々アップグレードしていくと驚くほど軽量に仕上がります。Emonda ALR(エモンダALR・リムブレーキタイプ)で、カスタムしていった結果なんと6.68kgという軽さをたたき出したことも。最軽量を目指せばお財布や銀行口座もかなり軽量化してしまいますが、アルミモデルのポテンシャルは侮れません。
アルミロード
全て見るpoint.03
コンポが12段変速以上のモデルを選ぶ
上位のコンポほど、軽量なためヒルクライムには有利です。また素材も剛性が高くなるため、ヒルクライムで力いっぱい漕ぐとくにもパワーロスを防ぐことができます。今後のアップグレードを考えてハイエンドと同じ12速以上がおすすめです。
覚えておきたいコンポの名前
コンポーネントの世界シェアナンバーワン『シマノ』では、(2022年1月現在)上から11段変速仕様(電動コンポは12速仕様あり)のグループ『デュラエース』『アルテグラ』『105』、10段変速仕様のグループ『ティアグラ』、9段変速の『ソラ』、8段変速の『クラリス』というシリーズをロードバイク向けコンポとして展開しています。『デュラエース』はトッププロが実戦で使用しているほどの軽さと性能を有しています。『アルテグラ』もセカンドレベルのプロレースシーンで使用されることも多く、11段変速の下位グレード『105』はスポーツとしてロードバイクを楽しむのなら最低限このグレードはおさえておきたいと評されているグレードです。
コスト面も含めて軽さと性能で多くのライダーを満足させてくれる筆頭は『アルテグラ』その次が『105』でしょう。もちろん『デュラエース』を使ったら他のグレードには戻れないくらい軽量で高性能ですが、『デュラエース』が装備されている完成車は、フレームやホイールもハイグレードで合わせていることが多く、初めて購入するロードバイクとしてはなかなか手がでる金額ではありません。いつかデュラエースを購入することを夢みて、今は迷わず現実的な路線としての最上位である『アルテグラ』かその下の『105』が搭載された完成車を選択しましょう。
重量や剛性、カスタムのしやすさが変わる
10段仕様の『ティアグラ』でももちろんヒルクライムを楽しむのに大きな不足を感じることはあまりありません。リアの変速で多くの完成車体に標準装備されているのは10段では12-28Tのカセットスプロケットで、11段では11T(数字が小さいほど重いギア)が追加されて11-28Tとなります。重いギアの追加なのでヒルクライムとしてはギア数で変化がありませんが、大きな違いはまず重量。
フルコンポーネントで『ティアグラ』と比べると『105』は280gほど軽く、そこそこな重量のサドルやハンドル分ほどの重量差になります。あとで280gの軽量化をしようとすると、車体価格ばりの予算で多くのパーツを交換しないといけません。また、『105』はクランクが中空なので構造上たわみが少なく、ヒルクライムでトルクをかけて漕ぐ場合などにパワーロスを防ぐことができます。上位グレードの設計を色濃く持った『105』は部分的にアップグレードが可能な互換性も兼ね備えているのでカスタムの幅も広がります。
point.04
登坂に適したギアを搭載している車体を選ぼう
ヒルクライム用として考えると、何段変速?かということに加えどこまで軽いギアが付いているかも焦点になります。フロントのクランクは50-34T(コンパクトドライブ)と呼ばれる一般人の脚力に最適化された軽めのギアのタイプを選びましょう。
流通しているロードバイクのほとんどが現在はコンパクトですが、稀にレーサーや健脚向けの重めの52-36Tや53-39Tが存在していますので購入前にチェックしておきましょう。
同じくリア側のカセットスプロケットは11-28T(数字が大きいほど軽いギア)や11-30Tがほとんどです。軽い方のギアが25Tだったりすると不安ですが、28がついていればほぼ登坂に支障はありません。モデルによっては11-34Tを標準装備しているものもあります。28T、30T、32T、34Tなどの軽いギアが欲しい時はカセットスプロケットを交換をすればいいのですが、パーツの設計上リアディレイラーとチェーンの交換を必要とする場合があるので注意が必要です。
point.05
下りでのブレーキ性能も重視したい
ヒルクライムでは登った分だけ下り坂を走らなければなりません。下り坂は否応無しに速度が上がるため、よりよく効くブレーキを使いたいところです。
ここ数年で『油圧ディスクブレーキ』を搭載したモデルが主流になってきました。少ない力でしっかり効くため長い下り坂でも疲れにくいです。
当然のことですが、ヒルクライムでは登った分だけ下らなければなりません。下り坂は否応無しに速度が上がります。ブレーキングや車体コントロールに慣れていないとすぐに自分では制御不能な速度域に達してしまいます。コーナーで滑ってしまったり、焦ってまっすぐにしか走れなくなり最悪ガードレールに激突…なんてことにもなりかねません。
最近は、油圧ディスクブレーキを搭載したモデルが主流になりつつあります。レバーのタッチが軽く、少ない力でブレーキ操作ができるため長い下り坂も、初心者でも安心して臨むことができます。従来のリムブレーキ(ホイールのリムを挟んで止めるタイプ)と比較しても雨でも制動力が落ちにくかったり、リホイールシャフトも太くなることで剛性が高まったり安定感も高くなるなどメリットがたくさんあります。
当然のことですが、ヒルクライムでは登った分だけ下らなければなりません。下り坂は否応無しに速度が上がります。ブレーキングや車体コントロールに慣れていないとすぐに自分では制御不能な速度域に達してしまいます。コーナーで滑ってしまったり、焦ってまっすぐにしか走れなくなり最悪ガードレールに激突…なんてことにもなりかねません。
最近は、油圧ディスクブレーキを搭載したモデルが主流になりつつあります。レバーのタッチが軽く、少ない力でブレーキ操作ができるため長い下り坂も、初心者でも安心して臨むことができます。従来のリムブレーキ(ホイールのリムを挟んで止めるタイプ)と比較しても雨でも制動力が落ちにくかったり、リホイールシャフトも太くなることで剛性が高まったり安定感も高くなるなどメリットがたくさんあります。
POINT.06
ホイールも性能の違いを楽しんでいただきたい
ヒルクライムでは、さらなる軽量化のためにホイールをグレードアップする方が多いです。完成車の中でも軽量なアルミリムを使ったものやカーボンリムを使ったホイールを装着しているものもあります。
フレームやコンポのグレードにもよりますが一般的に車体の値段が高い方が、軽くて良いホイールが搭載されています。ただ、超高額な完成車でないと最軽量の部類に入るような高性能なホイールは装備されていません。そんな状況ですので、超軽量ホイールに後々アップグレードするつもりでいた方がさらに楽しめるでしょう。絶対にホイールをアップグレードすることはない!という場合は、車体にしっかりと予算をつぎ込み、まずまず軽めのホイールが搭載されたロードバイクを選んでおきたいところです。が、グラム数まで細かく気にする必要もあまりないでしょう。
ヒルクライムが好きな方の多くは、車体購入から一年後に交換したり、二度目、三度目のヒルクライムレース前に交換したりしてヒルクライム生活を楽しんでいます。