舗装路とはココが違う!初めてのグラベルで慌てないための走り方とコツ
グラベルを走ると、舗装路では気にならなかったことが、急に怖く感じることがあります。
- 前輪が砂利の上でわずかに横へずれる
- コーナーの途中だけ砂が深い
- 曲がった先に大きな石が突然現れる
- 轍(わだち)へ前輪が入る
- 濡れた木の根が斜めに横切っている
そんなとき、怖くなって身体を硬くし、ハンドルを強く握ったり、急にブレーキを掛けたり、慌ててラインを変えようとしたりすると、それがきっかけでさらにバイクが不安定になることがあります。
私自身、速いライダーでもなければ、特別上手いライダーでもありません。e-GravelのCheckpoint+ SL5とe-MTBのRail 9.7を愛用し、電気の力にもかなり頼っている“へなちょこライダー”です(笑)。
ライディングスクールで体系的にテクニックを学んできたわけでもなく、これまでトレイルや未舗装の林道を走るなかで、ビビったり、焦ったり、滑ったり、転んだり、「ちょっと調子に乗りすぎたな」と反省したりしながら、自分なりの走り方を身体で覚えてきました。
実は未舗装路の世界をもっと多くの人に楽しんでもらいたくて、簡単なライディングのコツを記事にしてみようと思ったとき、ふと考えました。
「そもそも、私のライディングって正しいの? 人に教えられるほどのものなの?」と。
コーナーへ入る前には前ブレーキもしっかり使う。泥まみれの滑りやすいところでは、低速でブレーキを軽く当てながらこぐことがある。コーナリングでは身体よりもバイクを内側へ傾け、外足で身体を支え、内腕でバイクを倒しながら、開いた外肘から前輪へ圧を通す。路面が荒れたときこそリラックスして、肘や膝を固めない。ガレたところでは、なんとかなる速度でなるべく真っすぐ進みながら、その中でもやや平らな場所を探す——。
そんな自分が感覚的にやってきたことを、念のため海外のグラベルやMTBのライディング解説、コーチング記事などと照らし合わせてみました。調べてみると、意外なほど重なるところがありました。「じゃあ、自分の経験も少しくらいは役に立つかもしれない」と思い、書くことにしました(笑)。
もちろん、この記事はレースで速く走るための高度なテクニック講座ではありません。普通の自転車好きの少年が、おっさんになり、気がつけばeバイクの力に頼りきるようになるまでの間に、ビビりながら、転びながら、身体で覚えてきたことを、一度きちんと調べ直してまとめたものです。
【この記事でわかること】
- ロードとは違う。「バイクはバイク、身体は身体」で動かすイメージ
- 砂利道で慌てない、身体の力を抜く基本姿勢
- 前ブレーキを安全に使って、メリハリよく減速するコツ
- 視線・外足荷重・バイクの傾け方など、グラベルコーナリングの基本
- 滑りやすい登りでトラクションを失わない変速とペダリング
- 急な下りで前後輪のグリップを保つ身体の使い方
- 浮き砂利・泥・木の根・轍・ガレ場など、路面別の攻略法
初めてグラベルを走る人が、余計なミスを増やさずに楽しむための基本として読んでもらえればと思います。
目次
1. 身体とバイクの基本姿勢
まず「正しいフォーム」を一つに決めなくていい
グラベルでは「これが正しいフォームです」と、一つの形に決めつける必要はないと思います。理由は大きく二つあります。
一つ目は、走る環境が刻々と変わるからです。締まった砂利道と浮き砂利では走り方が違いますし、平坦と急な下りでも身体の位置は変わります。
二つ目は、骨格や関節の柔軟性には人それぞれ大きな個人差があるからです。手足の長さや股関節・足首の可動域が違えば、無理なく力が入るポジションや「スムーズに動ける角度」も自然と変わってきます。
もちろん「肘や膝を突っ張らずクッションにする」といった怪我を防ぐための共通ルール(安全原則)はあります。しかし、それ以外の部分はお手本の形に縛られる必要はありません。大切なのは、自分の身体と路面の状況に合わせて動ける柔軟性を残しておくこと。一つのフォームに体を固めない姿勢こそが、グラベルでの真の基本です。
グラベルでは、バイクが多少揺さぶられるのは普通です
舗装路しか走ったことがない人が最初に驚くのは、路面から伝わってくるバイクの動きの大きさかもしれません。砂利の上では前輪がわずかに左右へ振られたり、石を踏んだ瞬間にハンドルへ細かな動きが返ってきたりします。
そこでビビって、「滑った!」と思ってハンドルを強く握り、すべての動きを押さえ込もうとすると、かえって車体の挙動が大きくなったり、ラインが乱れたりすることがあります。
グラベルでは、路面から伝わる動きをすべて止めようとしない方が楽です。肘と膝を軽く曲げ、肩や手に余計な力を入れず、バイクが身体の下で動ける余地を残します。「力を抜く」とは、ハンドルを頼りなく持つことではなく、必要な操作ができる余裕を残すことです。
舗装路では、バイクと身体が一体になって走っている感覚が強いかもしれません。一方グラベルでは、少しだけ「バイクはバイク、身体は身体」と分けて考えると分かりやすいと思います。バイクが左右へ振られても、上半身まで同じように振り回されない。身体をなるべく落ち着かせながら、その下でバイクを動かすイメージです。
前輪が少し振られたり、車体が揺さぶられたりするたびに、全部をハンドルで修正する必要はありません。バイクの動きを身体で受け流しながら、大きくラインを外しそうなときだけ修正する。それくらいの気持ちでいいと思います。
前輪のすぐ前ではなく、その先を見る
怖くなると、人はどうしても危ないものを見てしまいます。大きな石があれば石を見る。穴があれば穴を見る。轍へ入れば前輪を見る。で、まんまとそこに引き寄せられる。
自転車は不思議と見ている方向へ向かいます。だから障害物そのものを見るのではなく、「前輪をどこへ通したいか」を見るようにします。
ただし、ずっと遠くばかりを見ていればいいわけでもありません。私の感覚では、次のような「視線の反復」を繰り返しています。
もちろん、速度が上がれば見る場所も自然と遠くなります。視線を前輪へ固定せず、近くと遠くを行ったり来たりさせながら道全体を見ることは、石や轍が次々と現れるガレた路面ほど重要になります。
コーナーでは特に、目の前の砂利や石だけを見続けず、曲がった先の「進みたい方向」へ視線を送ることを意識します。ただし、出口を見つめたまま手前の危険を見落としては本末転倒。出口と手前の路面を交互に確かめる、というのが私の感覚です。
2. ブレーキとコーナリング
前ブレーキを怖がらない
子供の頃、自転車の後ろブレーキを思い切り掛けて、後輪をズルズル滑らせて遊んだことはありませんか? あれだけ派手に滑っているのに、意外と思ったほど止まらないんですよね。
一方、前ブレーキはまったく違います。強く掛けると驚くほどよく止まりますし、掛けすぎれば後輪が浮き上がり、身体が前へ投げ出されそうになることもあります。いわゆるジャックナイフです。
つまり、後ろブレーキは比較的簡単にタイヤが滑ってしまうのに対し、前ブレーキは大きな制動力を発揮できるということです。ただし、その分だけ操作を誤ったときのリスクも大きくなります。前輪のグリップを失って滑ることと、強い減速で後輪が浮き上がることは別の現象ですが、どちらも避けたいものです。
砂利道では前輪が滑ることを怖がって、つい後ろブレーキばかり使いたくなるものです。でも、後ろブレーキだけに頼っていると、十分に速度を落とせないことがあります。
大切なのは、前ブレーキを使わないことではなく、路面のグリップと荷重移動に合わせて、前ブレーキを適切に使うこと。グラベルでも前後のブレーキを上手に使い分けることで、より余裕を持って走れるようになります。
まずは見通しがよく、安全を確保できる平坦な場所で、低い速度から前後ブレーキの効き方の違いを確かめてみるのもおすすめです。
グラベルでも、止める仕事の中心は前ブレーキ
では、なぜ前ブレーキの方が大きな制動力を発揮できるのでしょうか。
強く減速すると、ライダーとバイクの荷重は前へ移ります。後輪に掛かる荷重は減り、反対に前輪へ掛かる荷重は増える。だから、しっかり速度を落としたい場面では、前ブレーキの方がより大きな制動力を受け持つことができます。
もちろん「前ブレーキを思い切り握ればいい」という話ではありません。特に浮き砂利では、前輪が使えるグリップ自体が舗装路より少なくなっています。急に強い制動力を要求すれば、前輪が滑ってしまう危険があります。
そこで大事になるのが、ブレーキの掛け方です。いきなり強く握るのではなく、タイヤが路面を捉えている感覚を確かめながら、徐々に制動力を高めていきます。
【前ブレーキを安全に効かせる基本手順】
まず軽くブレーキを当てる ➔ 減速によって前輪へ荷重が移る ➔ その荷重に合わせて前ブレーキを少しずつ強めつつ、身体の位置も意識する。
前後のブレーキを使いながら、この流れでしっかり減速できるようになると、コーナーへ入る前に自分が安全に曲がれる速度まで落としやすくなります。
前ブレーキをきちんと使えるようになると、グラベルでもこのメリハリが作りやすくなります。リアブレーキだけで恐る恐る速度を削り続けるより、私はこの方がずっと走りやすいと感じています。
基本は「曲がる前に減速」
コーナリングでまず覚えたいのは、曲がりながら何とか速度を落とすのではなく、バイクがまだ立っているうちに速度を落とすことです。
タイヤには使えるグリップに限界があります。強くブレーキを掛けながら強く曲がろうとすると、「止まる」と「曲がる」という二つの仕事を同時にタイヤへ要求することになります。だから、止まる仕事を先に済ませてから、曲がる仕事へ移る。まずはそれくらいシンプルに考えた方がいいと思います。
このとき視線は前輪のすぐ前ではなく、コーナーの出口、さらにその先へ。もちろん、見通せない先に障害物や対向車がいる可能性はあるので、実際に見えている範囲で止まれる速度が前提です。
慣れてくると、ブレーキは「抜きながら曲がる」
慣れてくると、コーナーへ入る前に完全にブレーキを離すだけではなく、ブレーキを少し残しながら徐々に抜いていくこともあります。私自身、前ブレーキを軽く使いながらフロントへ荷重を移し、曲がるにつれてブレーキを緩めていく感覚はよく使います。
ただ、これは「前ブレーキを掛けたまま強く曲がればいい」という意味ではありません。ブレーキングに使っていたタイヤのグリップを、ブレーキを抜きながら少しずつ旋回へ渡していくイメージです。最初からそこまで難しく考える必要はありません。まずは、「しっかり減速 ➔ ブレーキを緩める ➔ 曲がる」からで十分です。
コーナーの途中で大きな石が出てきたら?
これはグラベルで本当に怖いやつです。きれいなラインを走っているつもりなのに、コーナーを回った先で突然路面がさらにガレている。あるいは、コーナーの途中だけ砂が深い。こういう場面は今でも普通にビビります。
そこで、「避けなきゃ!」と慌ててハンドルを大きく切り、同時に「止まらなきゃ!」と強くブレーキを掛ける。これを一気にやると、かなり制御が難しくなります。パニックになりそうなときこそ、次のステップを意識します。
- バイクを少し起こす(タイヤのグリップを減速用に切り替える)
- 前後ブレーキでしっかり減速する
- ブレーキを緩めて、もう一度曲がり直す
言葉にすると「立てる、減速する、また曲がる」です。
バイクを起こすと、旋回に使っていたタイヤのグリップを、より減速に使えるようになります。速度が落ちたらブレーキを緩めて、再びラインを作ります。ただし、バイクを起こすということは、それまで描いていたコーナリングラインの外側へ進みやすくなるということでもあります。対向車、崖、路肩などがある場所では、当然そこまで含めて判断しなければなりません。
避けられない石なら、無理に避けない方がいいこともある
障害物を見つけたら、必ず避ければいいわけでもありません。発見が遅く、横へ避けるために無理な急旋回が必要なら、少し速度を落として、なるべく真っすぐ越えた方が安全なこともあります。
その場合は、ブレーキで必要なだけ速度を落とし、障害物を越える直前にはブレーキを緩め、腰を少し浮かせ、肘と膝を柔らかくして、バイクが石を越える動きを邪魔しないことを意識します。タイミングを合わせて抜重したり、前輪を軽く引き上げたりするイメージも大切です。
私もバニーホップはできませんが(笑)、そこまでできなくても、サドルへどっかり座ったまま石へ突っ込むのと、身体を少し浮かせてバイクを自由にしてあげるのとではかなり違います。
グラベルでは、「避ける」「減速してラインを作り直す」「そのまま越える」のどれを選ぶかという判断も大切です。もちろん停止したっていいんです。
3. フォームと身体の使い方
コーナリングでは、身体ごと倒れ込みすぎない
舗装路では、バイクと身体を比較的近い角度で傾けながら曲がることも多いと思います(リーンウィズ)。一方、浮き砂利や滑りやすい路面では、身体よりもバイクの方を大きく内側へ傾けるフォームが使いやすい場面があります。
難しい名前を覚える必要はありません。イメージとしては、「身体ごとバイクと一緒に倒れ込むのではなく、身体の下でバイクを内側へ傾ける」感じです。
ただし、「身体を起こす」といっても棒立ちになるわけではありません。胸は低く、肘と膝には余裕を残し、身体とバイクを別々に動かせるようにしておきます。
こうしておくと、タイヤが一瞬滑ったり砂利に取られたりしたときにも、身体までバイクと一緒に持っていかれにくくなります。
外足で支え、内腕で傾け、外肘から前輪へ荷重を伝える
たとえば右へ曲がるなら、右足が内側、左足が外側です。コーナリングでの身体の使い方には、大きく3つのポイントがあります。
- 外足(左足)を下げて荷重: 外足を下げることで身体を支えやすくなり、腰を外側へ残したまま、その下でバイクを内側へ傾けやすくなります。
- 内腕で押し込む: 内側の手でハンドルを身体の下へ押し込み、バイクをコーナーの内側へ傾けます。
- 外肘を開いて前輪へ圧を通す: 外肘を少し開き、上半身の位置を保ちながら、肩から肘、ハンドル、前輪の接地面へと力が伝わる感覚を意識します。肘を開くだけで前輪の荷重が増えるという意味ではありません。
「外側のハンドルを力任せに下へ押す」というより、外足で身体を支え、腰を外側へ残し、開いた外肘から前輪を路面へ差し込むようなイメージです。
外足で身体を支える。内腕でバイクを傾ける。外肘を開き、前輪の接地面へ圧を通す。
そして、頭はできるだけ傾けず、視線はコーナーの出口へ。腰や胸も、進みたい方向へ自然に向けていきます。まあ、いざビビり始めると身体が硬直して、全然イメージ通りには動いてくれないんですけどね(笑)。
※荒れた路面を通過するときや大きな障害物を越えるときは、左右のペダルを水平近くにして脚で衝撃を吸収します。ここで紹介した外足荷重は、あくまでルーズな路面を曲がるときの基本として考えれば十分です。
前輪が抜けるのが一番怖い。だから後ろへ逃げすぎない
グラベルのコーナリングで、私が一番怖いのは前輪が抜けることです。リアが少し横へ滑るくらいなら、「あ、滑った」で済むこともありますが、前輪が大きく逃げると、そのまま転倒につながることがあります。
特に怖いのが、硬く締まった路面の上に砂利が浮いているコーナーです。タイヤそのものが滑るというより、タイヤの下にある砂利ごとズルッと横へずれる感覚があります。
だからこそ、外肘から前輪へ圧を通すように意識しています。フロントタイヤの荷重を抜きすぎたくないからです。
きつい下りで怖くなると、肘を棒のように伸ばして腰を目一杯後ろへ逃がしたくなることがあります。しかし、後ろへ下がりすぎて前輪の荷重まで抜いてしまうと、バイクを傾けることも、フロントタイヤに曲がる仕事をさせることもしにくくなります。
怖くても後ろへ逃げすぎない。前輪にも荷重を残し、身体が動ける余裕を確保する。
胸は低く、肘と膝、腰には動ける余裕を残す。後ろへ逃げすぎず、前輪にもきちんと路面を捉えさせながら、自分の身体は前後左右へ動かせる位置に置いておきます。
この動かせる余裕は、ドロッパーシートポスト(※手元のレバー操作で走行中にサドルの高さを調節できるパーツ)でサドルを5cmほど下げるだけでもかなり増えます。特に下りでは、腰を後ろへ逃がすためというより、前後左右へ身体を動かせる余裕が増えることの方が、大きなメリットだと感じます。
それでも砂利の上で一瞬タイヤが横へずれたときは、慌ててハンドルを切ったり前ブレーキを握り込んだりせず、余計な入力を増やさないようにします。「滑ったらどう戻すか」よりも、最初から前輪が抜けにくい状態でコーナーへ入ることの方が大切です。
上ハンドル・ブラケット・下ハンドルを使い分ける
フレアドロップハンドル(※下部が外側に広がったグラベル向けハンドル)は、握る場所を変えられるのが大きなメリットです。状況に合わせて使い分けます。
トップ(上ハンドル)
上体を起こしやすく楽に走れます。舗装路や、見通しがよく路面の滑らかな登りに向いています。ブレーキレバーから手が離れるため、路面が荒れ始めたら早めにブラケットか下ハンドルへ持ち替えます。
ブラケット
一番使う時間が長いポジション。変速もブレーキ操作もしやすく、登りから平坦まで幅広く使えます。
下ハンドル
「空気抵抗を減らすため」と思われがちですが、フレアハンドルでは「荒れた下りやコーナリングで、バイクをしっかり操作するためのポジション」です。
手がハンドルから外れにくく、ブレーキレバーもしっかり握りやすい。肘も開きやすくなります。荒れた区間に入る前にあらかじめ持ち替えておくのがポイントです。
💡 あわせて読みたい: 自分に合ったグラベルバイクの選び方やパーツの特徴について、詳しくは「グラベルバイクの選び方ガイド」もご覧ください。
4. 登りとペダリングのコツ
登りでは、坂へ入る前に変速する
グラベルの登りで後輪が滑る原因のひとつが、ペダルへ急に大きな力を掛けることです。坂へ入ってから「重い!」となって慌てて変速すると、強くペダルを踏んでいるうえに、チェーンにも大きな力が掛かり、後輪もグリップ限界に近い状態で変速することになります。
だから、坂が見えたら少し早めに軽いギアへ入れておきます。ただし、軽すぎても急にクルッと回って後輪が空転することがあります。
大切なのは、「脚が止まるほど重くなく、後輪が空回りするほど軽くないギアで、滑らかに力を掛け続けること」です。
ケイデンスは「何rpm」より、トルクを滑らかに
重要なのは、一踏みだけ強くしないこと。右、左、右、左と、ペダルへ掛かる力をなるべくつないでいきます。
特に滑りやすい登りでは、「グッ、グッ、グッ」と一回ごとに大きなトルクを掛けると、その瞬間に後輪が滑ります。数字上の回転数よりも、滑らかなペダリングでトラクション(※タイヤが路面を捉えるグリップ力)を保つ意識が大切です。
漕ぎながらブレーキを掛けることもある
泥や砂、轍などで速度が落ちたときに、「軽くペダルを回しながら、リアブレーキを薄く当てる」ことがあります。
あえてブレーキで軽い抵抗を作り、その抵抗に対してペダルを踏み続けることで、駆動力が途切れず、超低速でも車体のバランスを取りやすくなります。「ペダル=進む」「ブレーキ=止まる」と完全に分けず、両方を同時に少しずつ使って絶妙な速度を作るテクニックです。
泥水の轍で遊ぶ「漕ぎながらブレーキ」
私の通勤路(約2kmのグラベル)には、トラックのタイヤで掘られた深い轍に、泥水がたまった場所がいくつもできます。
勢いよく突っ込むと泥水を盛大に浴びるし、遅すぎるとバランスを崩して片足を泥水に突っ込む……(実際何度も足をつけて悲惨なことになりました笑)。
速ければ泥水を浴びる。遅すぎればバランスを崩す。その間のちょうどいい速度を探す。
そんな絶妙な速度を探して遊んでいるうちに、自然とこの「リアブレーキを当てながらペダルを回す」走り方はわかってくると思います。
5. 急な下りと路面状況への対応
急な下りは「とにかく尻を後ろ」ではない
急な下りでは「とにかく腰を後ろへ引け」と言われることがありますが、ジオメトリーや車体によって、しっくりくる位置は違います。「急坂=とにかく尻を後ろ」と決めつける必要はありません。
大切なのは、次の状態をキープできるポジションにいることです。
- 前輪の荷重を抜きすぎず、後輪も浮かせない
- 前後ブレーキを無理なく操作できる
- 肘と膝を柔軟に動かせる
身体を一か所へ固定せず、必要なときに前後左右へ動ける余裕を残すこと。ドロッパーシートポストでサドルを5cmほど下げるだけでも、この動作空間は劇的に広がります。早い段階で導入することを強くおすすめします。
路面状況ごとの「ワンポイント攻略法」
同じ道でも数十mごとに路面は変化します。「路面が変わったら、自分の走り方も変える」のが基本です。
■ 浮き砂利
前輪が細かく振られても慌てて修正しようとしない。身体を固めず、コーナー前にしっかり減速する。
■ 砂
無理にハンドルを切って曲がろうとしない。突入前に減速を済ませ、ハンドルをこじらず視線を先へ送る。
■ 泥
無理に乗破しようとしない。滑るだけでなくドライブトレインに詰まるリスクもあるため、危ないと思ったら「降りて歩く」。乗車率100%(※足をつかずに走り切ること)を競う遊びではありません。
■ 濡れた木の根・岩
斜めに進入すると前輪が持っていかれる。避けるか、通過する場合はなるべく直角に近い角度で横切る。根の上ではブレーキを掛けない。
■ 轍(わだち)
入ってしまったら慌てて壁を乗り越えようとしない。無理に出ようとすると前輪を取られます。
「悪いラインに入ったらすぐに直す」よりも「いったん受け入れて、修正できる場所まで待つ」のがコツです。
■ ガレた路面
左右へ細かく蛇行すると石に取られるリスクが増えます。「進行方向はなるべく真っすぐ保ち、その中で平らな場所をつなぐ」意識で走ります。
6. 安全管理と練習の進め方
雨の日は「今の天気」だけを見ない
前日に大雨が降っていれば、当日晴れていても泥が残っていることがあります。反対に、晴天が続いて乾燥していれば、路面に砂利が浮きやすくなります。走り出す前には、今日の天気だけでなく、ここ数日の天候から路面の状態まで想像しておくことが大切です。
見えないコーナーでは「誰も来ない」と思わない
静かな林道でも、対向からジムニーや軽トラック、オフロードバイクが来る可能性があります。特に見通しの悪いコーナーでは、「自分の視界の範囲内で、確実に止まれる速度」まで落とすことが何よりの安全策です。
最初は、安全な場所で少し遊んでみる
見通しがよく、交通の少ない広い砂利道で少しずつ試してみましょう。
- 前ブレーキを少しずつ強く使ってみる(リアだけとの比較)
- ブラケットと下ハンドルの両方からブレーキを掛けてみる
- 緩いコーナーで身体とバイクの傾き方を変えてみる
- 小さな石を腰を浮かせて越えてみる
無理にスピードを上げず、「ここまでは大丈夫」という感覚を少しずつ積み重ねていくのが一番の近道です。
おわりに|上手くなくても、余計なミスは減らせる
私はいまでも、砂のコーナーは怖いです。前輪が抜ければ普通に焦りますし、曲がった先に大きな石があれば「うわっ」となります(笑)。
上手いライダーならもっとスマートにハイスピードで走れるのかもしれませんが、グラベルを楽しむのにそこまで上手くなる必要はありません。
大事なのは、前輪が少しずれても慌てず、バイクと身体を一緒に固めてしまわないこと。曲がる前には前ブレーキも使ってちゃんと減速し、進みたい方向へ視線を送ること。登りでは後輪を空転させないように滑らかにペダルを回し、下りでは前後輪のグリップを意識して身体を動かすこと。路面が変われば走り方も変える。そして、危ないと思ったら降りることです。
全部を完璧にコントロールしようとしなくていい。路面から伝わる動きを全部消そうとせず、大きなミスだけを避ける。
速くなくても、上手くなくても、ちゃんと止まれて、無理なところでは降りられて、また次も走りたいと思えれば十分です。
グラベルは、いつかもっと上手く走れるようになる日を夢見つつ、今の自分なりに知らない道の先へ行ってみることそのものを楽しめればいい。私はそんなふうに思っています。
グラベル、ちょっと走ってみたくなりましたか?
自分に合ったグラベルバイクで、知らない道の先へ
グラベルバイクといっても、舗装路を軽快に走りたい人、林道へ入りたい人、バイクパッキングを楽しみたい人では、選び方が変わります。
まずは「どんな道を走ってみたいか」から考えてみてください。バイク選びに迷ったら、Bike Plus各店でも実際の使い方を伺いながらご相談いただけます。
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