油圧ディスクロードバイク輪行の注意点!エア噛みパッド事故ローター曲がりを防ぐコツ

2025年12月20日by 戸田バイクプラス
油圧ディスクブレーキ搭載ロードバイクのイメージ
油圧ディスク輪行は「パッド事故」と「ローター汚れ&曲がり」さえ潰せば、むしろ安定します。

油圧ディスクロードバイク輪行:現地で「詰まない」ための極意

まずはこれだけ覚えよう:油圧ディスク輪行で“走れなくなる”原因はほぼ2つだけです。

  • パッド事故(ピストン飛び出し):ホイールを外した状態でレバーを握る
  • ローターの汚れ・曲がり:油分付着/衝撃で変形

この2点を潰す最短ルート:ホイールを外したら即スペーサー+ローターはカバーで隔離

ロードバイクの主流となった油圧ディスクブレーキ。制動力は最高ですが、輪行ではリムブレーキと違う「絶対守りたい注意点」があります。

私は店頭で、輪行先で困ったお客様(ローターが入らない、擦る、鳴く)を何度も見てきました。だからこそこのページは、“現地で詰まない”ための手順を、最短で再現できる形にまとめています。

輪行旅の準備ガイド(まとめ)👉


⚠️ 最重要!油圧ディスク輪行の2大リスク

油圧ディスクの輪行で、私が最優先で潰すべきだと思っているのがこの2つです。ここさえ固めれば、輪行は一気にラクになります。

  • パッド事故(ピストン飛び出し):ホイールを外した状態でレバーを握る → パッドが閉じる → ローターが入らず現地で走行不能
  • ローターの汚れ&曲がり:油分・汚れが付く/衝撃で曲がる → 音鳴り・制動力低下・擦りの原因
✅ 迷ったらこれ:ホイール外した瞬間に「スペーサー」→ ローターは「カバー」→ 触らない。
これだけで“輪行の不安”の7割は消えます(体感)。

🛠️ 油圧ディスク輪行に「必須」の追加アイテム

輪行袋・エンド金具などの基本装備に加えて、油圧ディスクではパッドスペーサーローター保護が必須級です。

輪行に必要な基本のアイテム(輪行袋、エンド金具、カバー類など)
輪行の基本セット。ディスクでも「まずはこの周辺装備」が土台になります。
アイテム 目的 備考
パッドスペーサー パッド事故の予防 最重要。ホイールを外したら即座にキャリパーへ差し込みます。
ディスクローターカバー 汚れ・曲がり対策 物理的な保護+ローターへの油分付着を防止。
レバー固定用バンド (推奨)エア噛み対策 レバーを「軽く」握った状態で固定(締めすぎ厳禁)。
💡 私の結論:ブレーキ周りの安全装置(スペーサー+カバー、それにレバー固定に使うヒモ)を揃えるのが、ディスク輪行の絶対条件です。

輪行に必要な用品を揃える👉


⚙️ エンド金具の選択に注意(規格確認)

ディスクブレーキ車体で多いミスがエンド金具の規格間違いです。最近のディスクロードは12mmスルーアクスルが主流。

輪行時にエンド金具を取り付けた状態
エンド金具は規格違いが起きやすいポイント。スルーアクスルなら12mm対応か要チェック。
  • 12mmスルーアクスル:最近のディスクロードの主流。
  • クイックレバー(QR):クロスバイクや旧型ディスクロードに多い。
📌 失敗回避のコツ:規格をミスると輪行袋に自立させられません。
不安な場合は、購入店でエンド幅・アクスル径を確認するのが最短です(うちでも聞いてOKです)。

📦 輪行袋への収納手順(ディスク特有の重要ステップ)

1. ホイールを外したら「即スペーサー」!

ロードバイクを逆さにして前後輪を外した状態
ひっくり返すと安定して作業しやすく、パッドの隙間も見やすいです。
ブレーキパッドの間にダミーローターを挟んだ状態
パッドスペーサー(ダミーローター)は輪行の成否を分ける守護神。外したら即装着!

2. エンド金具を装着

リアエンドにエンド金具を取り付けた状態
締め付けが緩いと金具が動いて危険。しっかり固定されているか手で確認しましょう。

3. (推奨)レバーを「軽く」固定(エア噛み対策)

ブレーキレバーをバンドで固定している様子
レバーを「軽く」握った状態で固定(締めすぎ厳禁)。気泡の移動を抑えやすくなります。

4. ローターカバー装着 → 固定

ローターカバーをローターに装着している様子
ローターは「曲げない・汚さない」が鉄則。カバーで油分付着リスクも激減します。

5. フレームの養生(特にカーボン車)

ホイールとフレームの当たる場所をフレームカバーで保護している様子
特にリア側は接触しやすい箇所。養生で「当てない仕組み」を作ります。

6. ホイールバッグで別持ちもアリ

2本用ホイールバッグにホイールを入れた状態
フレームへの傷が心配な場合は、ホイールバッグで別持ちも有効です。
✅ 事故率が下がる“順番”:
外す →(触る前に)スペーサー → エンド金具 → ローターカバー → 養生。
“順番を固定”すると、ミスが激減します。

🏁 現地で組み立てる時の最終チェック

現地は焦りがトラブルを呼びます。私はこの3点だけは必ず確認してから走り出します。

クイックレバーの締め込み具合の調整をしている様子
固定後に必ず再チェック。レバーの位置が走行の邪魔にならないかも確認。
  • ブレーキチェック:レバーを数回握り、タッチが戻るか。
  • センター確認:ローターが擦れず、スムーズに回転するか。
  • 完全固定:スルーアクスル(またはQR)が確実に締まっているか。
📌 ワンポイント:
駅前で焦って組むと、擦りに気づかず出発しがち。私は“回転チェック3秒”を必ず入れます。

🔧 トラブルシューティング:万が一の対処法

🚨 ローターが入らない!(レバーを握ってしまった時)

レバーを握ってしまいブレーキパッドが押し出されてしまった状態
パッドが閉じてしまったら、落ち着いて「押し戻し」を。

ピストンを押し戻す際は、油分の付いていない平らな工具(タイヤレバーなど)でゆっくり押し広げます。

工具でパッドとピストンを戻している作業
工具の油分はブレーキ性能を落とします。必ず清潔な状態で。

パッドスペーサーを忘れた場合

パッドスペーサーの代わりに紙を挟んで対応している様子
緊急時は厚紙でも代用可能。油分が付いていないことが絶対条件です。

💨 ブレーキレバーがスカスカな時

ブレーキレバーを握っている様子
まずはゆっくり数回握る。それでも直らないなら無理せずショップへ。

🎻 ローターが擦ってしまう

ディスクブレーキのメンテナンスイメージ
装着がわずかに斜めだと擦ります。一度緩めて“嵌め直す”のがコツ。

フレームに傷をつけたくない…

フレームを保護している様子
チェーンステー内側はローターが当たりやすい。事前養生が「傷ゼロ」の秘訣です。
輪行袋に収納する一歩手前の自転車の状態
正しい知識があれば、ディスクロードの輪行は怖くありません。旅を楽しみましょう!

❓ よくある質問(FAQ)

Q. レバー固定は本当に必要?

A. 必須ではありません。ですが私は「長距離移動」「輪行時間が長い」ほど、軽く固定しておく方が安心だと感じています(締めすぎは逆効果)。

Q. スペーサー(ダミーローター)は毎回必要?

A. はい。油圧ディスク輪行で“詰む”原因の最上位がパッド事故なので、私は毎回セットします。

Q. ローターって手で触ったらダメ?

A. 触って即アウトではないですが、油分が付くと音鳴りや効き低下の原因になりやすいので、触らない設計(カバー)にするのが安定です。

Q. 自分の規格(12mmスルー/QR)が分かりません。

A. いちばん確実なのは、ノギスで計測すること。もちろん購入店で「エンド幅・アクスル径」を聞いたり、スペック表を調べたりすることも。


宮崎 啓(Miyazaki Hiraku)

宮崎 啓(Miyazaki Hiraku)

バイクプラス戸田彩湖店店長自転車ショップ歴15年

大学生の時にサイクリング部に入部をきっかけにスポーツ自転車を始める。北海道や東北、九州など自転車ツーリングを楽しむ。卒業後はアウトドアショップなどを経験後にバイクプラスへ。20代はロードバイクでロングライドや輪行を楽しみ、最近ではフルサスのMTBやe-MTBでポタリングやたまにのダウンヒルを楽しむ。乗るよりもカスタムが好きなタイプ。

専門/得意分野
  • ロードバイク/マウンテンバイク/クロスバイクの販売整備
  • 得意分野:e-MTB/ツーリング/バイクカスタム
  • ライドスタイル:e-MTBでの通勤やトレイルライド/MTBでダウヒルやトレイルライド/ポタリング
保有資格
  • Keeperコーティング技術バイシクルコース終了
  • TREK プレシジョンフィッター認定
  • TREK University 2025認定ガイド取得