ロングライドのコツと心得|ロードバイクで100kmを「疲れない」で走るマネジメント術
「100km先の景色を見に行きたい。でも、最後まで体力が持つか不安……」
「いつも後半になるとお尻や膝が痛くなって、走るのが辛くなってしまう」
ロングライドの成功は、脚力や機材の良し悪し以上に、自分自身をいかに管理するかという「マネジメント(管理)」にかかっています。
今回は、私が高校時代に経験した「大失敗」を教訓に、100kmを笑顔で完走するための具体的なコツと心得を解説します。
100km完走の鍵は「根性」ではなくマネジメント。 ルート設計→走り方(ペース)→補給→痛み対策→帰宅の順に整えると、完走率が一気に上がります。
とくに初心者は、距離だけで安心せず「獲得標高」「補給地点」「撤退路」まで含めた“行き詰まらない設計”が最優先です。
- 100km走っても「バテない」ペース配分がわかる
- お尻や膝の「痛み」を最小限にする方法がわかる
- 挫折しないための「ルート設計」のコツが身につく
目次
【教訓】プロが教える「失敗の教科書」
ロングライド以前にサイクリングで絶対にやってはいけないこと。それは、「ボトルなし、財布なし、無計画な距離延長」です。
高校時代の真夏の朝、実際に体験した話です。その日はマウンテンバイク(MTB)で少し近所を走るだけのつもりでした。朝飯も食べず、ボトルも持たず、財布も持たない完全な「手ぶら」。スマホすらない時代のことです。
ところが、あまりに気分が良くてつい無計画に距離を伸ばしてしまいました。ロードバイクより遥かに体力を削るMTB、しかも無補給。気温はぐんぐん上昇、帰り道は激しい頭痛に見舞われ完全にパワーと集中力が切れ、目の前の自販機の水すら買えない絶望の中、重いバイクをトボトボと押して歩いて帰るしかありませんでした。
だからこそ、走り方の話に入る前に、まずは「設計」の話から始めます。
ルート設計のコツ:完走率は「距離」より“行き詰まらない設計”で決まる
ロングライドの失敗は、走行中の根性不足よりも「設計ミス」で起きることが多いです。初心者が特に注意すべき4つの鉄則を紹介します。
鉄則① 距離だけで安心しない:「獲得標高」をチェック
同じ100kmでも、平坦と山岳では負荷が全く異なります。目安として、「獲得標高1,000m ≒ 距離+30km分の負荷」と考えましょう。
| 難易度 | 獲得標高(100kmあたり) | アドバイス |
|---|---|---|
| 初級(平坦) | 〜500m | 初めての100kmにおすすめ。向かい風に注意。 |
| 中級(丘陵) | 500〜1,000m | 小刻みなアップダウンで地味に脚が削れる。 |
| 上級(山岳) | 1,000m〜 | 峠越えレベル。補給ポイントの事前確認が必須。 |
鉄則② 補給・水が買える場所を「点」で押さえる
「そのうちコンビニがあるだろう」で山に突っ込むのは危険です。事前に地図アプリでコンビニや自販機の位置を確認し、特に山間部では「最後の補給ポイント」を把握しておきましょう。
鉄則③ 帰りを「難しくしない」
ロングライドは帰り道ほど集中力が切れます。初心者は、次のような“帰りやすい設計”が安全です。
- できれば後半が下り基調または追い風になるルートにする
- 夕方に渋滞しやすい幹線道路、街灯のない道を避ける
鉄則④ エスケープルート(撤退路)を決めておく
「無理をしない」ではなく、「無理な時にどう帰るか」を決めておくのがプロの設計です。ルート沿いの駅(輪行ポイント)を把握し、たとえば「15時の時点でここにいたら電車で帰る」といった撤退ラインを固定しましょう。
距離だけで判断せず、獲得標高/補給地点/撤退路までセットで決める。これだけで「途中で行き詰まるリスク」が激減します。
ペース配分のコツ:平均速度より「一定の負荷」
ルートが決まったら、次は走り方です。「前半の貯金は、後半の借金」であることを忘れないでください。
目安:100kmを完走する平均速度
100kmを完走するための平均速度の目安は、休憩込みで時速15〜18km程度(走行時速20〜23km)です。速さよりも、まずは“最後まで崩れない”ことを優先しましょう。
「会話ができるペース」を死守する
息が切れるペースは糖質を激しく消費します。世間話ができる程度の負荷を維持しましょう。
信号待ちは「リセット」のチャンス
加速時の踏み込みは脚を削ります。軽いギアからゆっくりと加速し、一定の回転数(ケイデンス80〜90程度)を保ちましょう。
登り坂で頑張らない
坂道でスピードを維持しようとすると、消費エネルギーが跳ね上がります。ギアを一番軽くして、ゆっくり登るのが完走のコツです。
補給の心得:バテる前に「補給」を習慣化する
自転車は人間がエンジンです。サイクリングの消費エネルギーは1時間で500〜1,000kcalにも及びます。
糖質摂取の目安は「1時間で60g」
体重60kgの人なら、1時間ごとに約60g(おにぎりなら約1.5個分)の糖質摂取が理想です。
補給ジェルを活用して「胃腸の負担」を減らす
走りながら食べ続けるのは大変です。当店では、少量で高エネルギーな「補給ジェル」を推奨しています。
メニュー例: ジェル1本(糖質約30g)+ スポーツドリンクや軽食。これなら胃もたれせず効率的にチャージできます。
「水だけ」は足攣りの原因に
大量に汗をかく場面で水だけを飲むと、体内の塩分濃度が下がり、足の攣りを招きます。必ず電解質を含むドリンクを併用しましょう。
痛み対策:お尻・手・膝が「限界になる前」に
同じ姿勢で乗り続けると、特定の部位に負荷が集中して痛みが出ます。「痛みが出てから」ではなく、出る前に逃がすのがロングのコツです。
「3点荷重」を意識する
ハンドル、サドル、ペダルの3箇所に体重を分散させます。お尻が痛いときは、少しだけ腹圧を意識して上半身を支えると和らぎます。
ポジションをこまめに変える
ブラケット、上ハンドル、下ハンドルを使い分け、手のひらの負担を一箇所に集中させないようにしましょう。
30分に1回の「姿勢リセット」
信号待ちで肩甲骨を寄せたり、首を回したり、足首を回したり。短時間でも“固まり”を解くと、後半の疲労感が変わります。
まとめ:100km先へ行くための「ハブ」
準備と設計、そして走り方。これらが揃えば100km完走は見えてきます。
スマホの電池切れや通信障害に備え、トップチューブバッグの中やスマホケースの裏には「お守り代わりの千円札」を忍ばせておきましょう。
- 持ち物を確認したいなら → 装備・持ち物チェックリスト
- 楽に走るための機材カスタム → カスタム優先順位
- 自分にぴったりの1台を選ぶ → ロングライド用ロードバイクの選び方
ロングライドは「頑張る競技」ではなく、自分を壊さずに遠くへ行く遊びです。設計が整えば、100kmは“苦行”じゃなく“冒険”になります。
