グラベルタイヤの選び方|太さ・トレッド・ケーシング・空気圧をどう決める?
グラベルライドを始めると、かなり早い段階で気になってくるのがタイヤです。
「40Cと45Cならどちらがいいのか」「舗装路も走るならセミスリックの方がいいのか」「林道へ行くならもっとゴツいタイヤが必要なのか」「空気圧はいったい何psiにすればいいのか」。
グラベルタイヤは、太さだけでなく、トレッド、ケーシング、重量などによって走りの性格がかなり変わります。
舗装路を軽く走れるものもあれば、ルーズな砂利道でグリップを発揮するもの、荒れた林道での耐久性を重視したものまであり、選択肢はかなり豊富です。
それだけに、いきなり商品名やブランドから選ぼうとすると、かえって迷いやすくなります。
まず考えたいのは、自分がどんなバイクで、どんな道を、どんなふうに走りたいのかです。
タイヤ幅・トレッド・ケーシングは、商品名を見る前に「必要な性能」から考えてみましょう。
路面の荒れ具合だけでなく、登りや下り、コーナーの多さ、走る速度、自分のライディング経験、トラブルをどこまで許容できるかまで考えると、必要なタイヤがかなり見えやすくなります。
この記事では、単に「このタイヤがおすすめ」と紹介するのではなく、タイヤ幅、トレッド、ケーシング、空気圧がそれぞれ何を決めているのかを整理していきます。
そのうえで、僕自身が長く林道を走ってきた中で感じてきたことや、実際にタイヤを選ぶときにどこへ余裕を持たせているのかも加えていきます。
一般的な理屈と、実際に山へ入ってみて初めて分かること。その両方を使いながら、自分でタイヤを選べるようになることがこの記事の目的です。
まずは「どんな道を、どう走るか」を考える
グラベルタイヤ選びというと、最初に「40Cにするか45Cにするか」とタイヤ幅を考えたり、「ブロックの大きいタイヤが必要か」とトレッドから考えたりしがちです。
でも、本来はその前に考えることがあります。
そのタイヤで、どんな道を、どんな走り方で楽しみたいのか。
よく締まった砂利道なのか。浮き石の多い林道なのか。岩や木の根が現れる荒れた道なのか。それとも雨のあとに泥になるような道なのか。
さらに同じような路面でも、平坦を一定速度で走るのか、急な登りが続くのか、下りが中心なのか、急なコーナーが連続するのかによって必要なタイヤ性能は変わります。
「路面の荒れ具合」と「路面の安定性」は別に考える
ここで僕が分けて考えているのが、路面の荒れ具合と路面の安定性です。
例えば、大きな石や凹凸はあるけれど、石そのものはしっかり固定されている路面があります。
こういう場所では、タイヤが大きく変形して石や段差へ追従できるエアボリュームが大きな助けになります。
一方で、凹凸そのものはそれほど大きくなくても、深い砂利や浮き石がタイヤの下で動き続ける路面もあります。
この場合は、タイヤを太くするだけでは十分ではありません。駆動、制動、コーナリングで路面を捉えるトレッドも重要になってきます。
「荒れている」と「不安定」は同じではありません。
凹凸の大きさにはエアボリュームが効きやすく、動く砂利や柔らかい土ではトレッドの役割がより大きくなります。
| 路面 | 特徴 | タイヤに求めたいもの |
|---|---|---|
| 舗装路+ハードパック | 比較的平滑で締まっている | 転がりの軽さ、低めのセンタートレッド |
| 一般的な砂利林道 | 細かな砂利、多少の浮き石 | 速度、エアボリューム、グリップのバランス |
| ルーズな砂利 | 表面の石が動きやすい | 駆動・制動トラクション、ショルダーグリップ |
| 岩・木の根・深い轍 | 路面の凹凸が大きい | エアボリューム、耐衝撃性、路面追従性 |
| 泥・柔らかい土 | タイヤが沈み込みやすい | 高く間隔の広いノブ、泥抜け |
「まずトレッド」という考え方もある
Cyclingnewsのグラベルタイヤ比較では、まず走る路面に必要なトレッドを考え、そのあとに幅、ケーシングを決めるという選び方が紹介されています。
これは非常に分かりやすい考え方のひとつです。
ただ、僕自身は林道を走ってきた経験から、必ずしも「トレッド→幅→ケーシング」という一方向の順番では考えていません。
同じ荒れた路面でも、タイヤを太くしてエアボリュームを増やせば、高速寄りのトレッドでも十分に走りやすくなる場合があります。
反対に、十分な太さがあっても、急な登りやルーズなコーナーが多ければ、より明確なトレッドが必要になることがあります。
また、路面そのものはそれほど荒れていなくても、高速で走るならケーシングやリムへ入る衝撃は大きくなります。
この記事では、タイヤ幅、トレッド、ケーシングをそれぞれ別の調整軸として考えます。
ひとつずつ順番に決めて終わりではなく、走るコースを想像しながら三つを行き来して、全体のバランスを決めていきます。
路面の荒さとエアボリュームの関係
グラベルタイヤの太さを理解するときに、とても大切なのがエアボリュームという考え方です。
単純に「荒れた道だから太いタイヤ」と覚えるより、なぜ太さが必要になるのかを理解しておくと、タイヤを選びやすくなります。
路面が荒れるほど、タイヤには大きな変形が必要になる
よく締まった砂利道なら、タイヤは細かな凹凸へ追従できれば十分です。
ところが、浮き石、拳大の石、岩、木の根、深い轍などが増えてくると、タイヤは単に路面の上を転がるだけでは済みません。
石や段差を包み込むように変形しながら、できるだけ接地を失わずに転がる必要があります。
その変形量を確保するために欲しくなるのが、タイヤ内部の大きな空気量です。
↓
凹凸へ追従するために、タイヤにはより大きな変形量が必要になる
↓
その変形量を確保するために、大きなエアボリュームが欲しくなる
↓
太いタイヤなら、荷重を支えながら空気圧を下げやすい
↓
タイヤが大きく変形し、石や段差を包み込むように越えられる
↓
タイヤが跳ねにくく、接地を維持しやすくなる
↓
グリップ・快適性・走破性が高まりやすい
タイヤが太くなれば内部の空気量が増えます。
すると、同じ荷重でもタイヤを過度につぶさずに空気圧を下げやすくなり、路面に合わせて変形する余裕を大きく取ることができます。
ここが、太いタイヤが荒れたグラベルで強い大きな理由です。
タイヤも最初の「サスペンション」
グラベルを走っていると、タイヤそのものが小さなサスペンションのように働いていることが分かります。
小石や細かな凹凸なら、タイヤ自身が変形することで吸収できます。
しかし路面の凹凸がさらに大きくなり、岩や木の根が連続するようになると、タイヤだけで必要な変形量を確保することが難しくなります。
空気圧を下げすぎればタイヤがヨレ、リム打ちやバープのリスクも高まります。
そこまで荒れてくると、前輪そのものを上下させて接地を保つサスペンションフォークが欲しくなってきます。
タイヤが路面を包み込んで追従できるうちは、タイヤ自身がサスペンションとして働きます。
そこを超えて、前輪そのものを上下させなければ接地を保ちにくくなってきたら、サスペンションの出番です。
グリップはノブだけで決まらない
「グリップの高いタイヤ」というと、大きなノブを想像するかもしれません。
もちろんトレッドは重要です。
しかしグリップには、タイヤが路面の形に沿って変形し、接地を維持できるかどうかも大きく関係します。
十分なエアボリュームを持つタイヤを適正な空気圧で使えば、タイヤそのものが路面へ追従しやすくなります。
だから、タイヤを太くしたからといって、必ずしもトレッドまでゴツくする必要があるわけではありません。
タイヤボリュームに余裕があれば、少し転がりの軽いトレッドでも必要なグリップを確保できる場合があります。
グラベルタイヤの太さは何mmを選ぶ?
少し前まで、グラベルタイヤといえば35〜40mm程度が一般的でした。
しかし近年はフレームやホイールの設計も変化し、45mm前後は珍しいサイズではなくなりました。さらに荒れた路面を走る場合には、50mm以上も現実的な選択肢になっています。
海外メディアVeloでは、2026年のグラベルタイヤガイドで、おおよそ次のような幅を選択の出発点として紹介しています。
| 主な走行環境 | 幅の目安 |
|---|---|
| 舗装路中心+滑らかなグラベル | 35〜40mm |
| 舗装路と一般的なグラベルを両方走る | 40〜45mm |
| 未舗装路中心+多少荒れた道 | 46〜50mm |
| ほぼダート、トレイル寄り | 50〜56mm |
ただし、これは絶対的な答えではありません。
タイヤ幅は路面の種類だけで決めるものではないからです。
タイヤ幅を決めるときに考えたいこと
| 考えること | タイヤ幅への影響 |
|---|---|
| フレーム・フォークのクリアランス | 物理的に装着できる上限。泥や石を逃がす余裕も必要。 |
| リム内幅 | 装着後の実測タイヤ幅や断面形状に影響する。 |
| 路面の荒れ具合 | 凹凸が大きいほど、大きな変形量を確保できるエアボリュームが欲しくなる。 |
| 路面の安定性 | 深い砂利や動く石では、幅だけでなくトレッドとの組み合わせも重要になる。 |
| システム重量 | ライダー、自転車、荷物が重いほど、大きなエアボリュームが有利になりやすい。 |
| 許容できるタイヤ重量 | 太くなるほど重量が増える傾向があるため、軽快さとのバランスを考える。 |
| バイクの設計思想 | その自転車が本来狙っている走りを生かせる幅を考える。 |
「太いタイヤ=遅い」とは限らない
ロードバイクの感覚からすると、太いタイヤは重くて遅そうに見えるかもしれません。
しかしグラベルでは話がそれほど単純ではありません。
Cyclingnewsが同じ系統のグラベルタイヤを複数の幅で比較したラボテストでは、滑らかな試験面でも太いタイヤほど転がり抵抗が小さくなる傾向が確認されています。
もちろん、これは「一番太いタイヤがいつでも一番速い」という意味ではありません。
実走では重量や空気抵抗も関係します。特に高速の舗装路では、タイヤとリムの組み合わせによる空力性能も考える必要があります。
それでも、少なくとも細い=速い、太い=遅いという単純な考え方だけでタイヤ幅を決める必要はありません。
同じタイヤでも、40C・45C・50Cで性格は変わる
タイヤ幅の違いを理解するときは、同じトレッドパターンの中で比べると分かりやすくなります。
例えば Panaracer GRAVELKING ZX には40C・45C・50Cがあり、どのサイズも高速グラベルを意識した基本的なトレッド特性は共通しています。
| サイズ | 主に変わること | 考え方 |
|---|---|---|
| 40C | 小さめのエアボリューム、軽量 | 軽快さや舗装路比率を重視 |
| 45C | エアボリュームと重量の中間 | 速さと路面追従性のバランス |
| 50C | より大きなエアボリューム | 高速トレッドの性格を残しながら追従性や安定感を増やす |
ここで大切なのは、50Cにしたからといって、トレッドまでゴツくなったわけではないことです。
50CでもZXの基本的なトレッド特性は高速側のままです。
主に増えるのはエアボリューム。より低い空気圧を使いやすくなり、タイヤを大きく変形させて路面へ追従させる余裕を増やせます。
だから、路面の凹凸が少し大きくなったからといって、すぐにブロックの大きなタイヤへ変える必要があるとは限りません。
一方で、50CのZXへ太くしても、ルーズな急登で後輪が空転したり、強いブレーキングでセンタートラクションが不足したりするなら、それはエアボリュームではなくトレッド側の問題かもしれません。
その場合は、 GRAVELKING X1 や GRAVELKING SK のように、トレッドそのものをグリップ側へ振ることを考えます。
「タイヤを太くすること」と「トレッドを強くすること」は別の調整です。
ZX 40C→45C→50Cは主にエアボリュームの調整。ZX→X1→SKは主にトレッド特性の調整、と考えると分かりやすくなります。
舗装路を走るからといって、タイヤを細くする必要はない
ここでもうひとつ、僕自身がタイヤを選ぶときにかなり意識していることがあります。
舗装路を走るからといって、必ずタイヤを細くする必要はないということです。
舗装路で速く走りたい場合でも、最大速度が目的ではなく気持ちよく効率よく走りたい場合でも、まず考えたいのはトレッドです。
スリックや高速系センタートレッドを選ぶことで、タイヤの大きなエアボリュームを残しながら、舗装路での走行性能を高めることができます。
舗装路だから細くするのではなく、舗装路ならトレッドを舗装路向けにする。
タイヤ幅は、バイクの設計、必要なエアボリューム、重量、速度域などから別に考えます。
例えばパフォーマンスロードなら、そのバイクが想定するロードタイヤの範囲内で、空力や軽快さとのバランスを見ながら比較的太めを選ぶ。
エンデュランスロードやオールロードなら、さらに大きなエアボリュームを積極的に生かす。
そして50mm前後まで装着できるグラベルバイクなら、舗装路中心だからという理由だけで30〜35mmまで細くせず、40mm台後半や50mmクラスの軽量でしなやかな高速タイヤを使うという考え方もあります。
僕自身は、かなり自然な選び方だと考えています。
グラベルバイクらしい安定感や大きなエアボリュームを期待してそのバイクを選んだのなら、舗装路を走るときにも、その特徴を全部消してしまう必要はないと思うからです。
タイヤで、そのバイクらしさを消さない
もちろん、物理的に入る最大幅を何でも履けばいいという意味ではありません。
例えば高速走行を重視したパフォーマンスロードでは、タイヤとリムの空力的な相性、重量、レスポンスまで含めてタイヤ幅が考えられています。
仮に非常に太いタイヤが物理的に装着できたとしても、それがそのバイクに求めている走りと一致するとは限りません。
一方で、エンデュランスロード、オールロード、グラベルバイクでは、広いタイヤクリアランス自体が走りのキャラクターを作る重要な要素になっています。
グラベルらしい走りを楽しみたくて50mm近いタイヤまで使えるバイクを選んだのに、「舗装路しか走らないから」という理由だけで30mm程度まで細くすると、そのバイクが持っている魅力の一部を自分から小さくしてしまうこともあると思っています。
最大タイヤクリアランス=必ず最適なタイヤ幅、という意味ではありません。
ただし、そのバイクが性能を発揮することを想定しているタイヤレンジの中では、必要以上に細くせず、太い側が持つメリットを積極的に使うという考え方は十分に合理的です。
トレッドの選び方|どこで、どの方向へグリップが必要か
次に考えたいのがトレッドです。
グラベルタイヤは「スリックかブロックか」という二択ではありません。
特に注目したいのが、センタートレッドとショルダートレッドです。
センタートレッドは直進・駆動・制動に関係する
タイヤ中央部は、まっすぐ走っているときに主に路面へ接触します。
ここを滑らかにしたり、小さく低いノブを密集させたりすると、舗装路やハードパックで軽く転がりやすくなります。
一方、グラベル上の登りで強くペダルを踏んだり、強くブレーキをかけたりするときには、センタートレッドのエッジやノブもトラクションに関係します。
ショルダートレッドはコーナリングで効いてくる
タイヤの左右にあるショルダーノブは、自転車を傾けたときに路面へ接触します。
そのため現代のグラベルタイヤには、センターは速く、ショルダーではしっかりグリップするというセミスリック系のデザインが数多くあります。
舗装路を自走して林道へ向かうような日本のグラベルライドにも相性のいい考え方です。
トレッドは、グラベル区間で何をするかまで考える
同じ程度に荒れたグラベルでも、コースによってタイヤへ求められるグリップは変わります。
平坦な直線を一定速度で走るコースと、急な登り、下り、ヘアピンが続く山岳グラベルでは、タイヤへ加わる力が違うからです。
| コース・走り方 | 重視したいトレッド性能 |
|---|---|
| 舗装路の割合が多い | センターの転がり効率を重視。 |
| 平坦で直線の多いグラベル | 高速系センタートレッドを使いやすい。 |
| グラベル上の登りが多い | 後輪の駆動トラクションを重視。 |
| 急勾配の登りが多い | センタートレッドのエッジやノブによる駆動グリップが重要。 |
| ダウンヒルが多い | ブレーキンググリップと前輪のコントロール性を重視。 |
| 急なコーナーが多い | ショルダーノブと横方向のグリップを重視。 |
| 山岳グラベル | 駆動、制動、コーナリングすべてに余裕を持たせたい。 |
| グラベル初心者 | 転がり抵抗だけを追わず、コーナリングと制動に余裕を持たせたい。 |
ここでは単純な獲得標高より、その獲得標高のうち、どれだけをグラベル上で登り、どれだけをグラベル上で下るのかまで考えると分かりやすくなります。
舗装路で1000m登ってグラベルはほぼ平坦というコースと、1000mの登りをほぼすべて砂利の上でこなすコースでは、後輪へ必要なトラクションはまったく違います。
同様に、林道区間の距離が短くても、そのほとんどが急な下りなら、前輪のショルダーグリップやブレーキング時の安定感はかなり重要になります。
グラベル初心者ほど、グリップに余裕を持たせたい
タイヤ選びには、走る路面だけでなくライダーの経験やスキルも関係します。
グラベルに慣れているライダーなら、タイヤが滑り始める感覚を早い段階で察知し、ブレーキを緩めたり、荷重や車体の傾きを調整したりしながら立て直せることがあります。
一方、グラベルを走り始めたばかりの人にとって厄介なのが、コーナリング中にグリップが抜けることです。
舗装路では問題なく曲がれそうな速度でも、砂利の上ではタイヤが横へ動きます。
特に前輪のショルダーグリップが不足した状態で車体を傾けると、フロントタイヤが外側へ逃げるように滑り、そのまま転倒へつながることがあります。
もうひとつ難しいのが急なブレーキングです。
砂利の上では舗装路よりタイヤがロックしやすくなります。後輪が滑れば車体が左右へ動き、前輪のグリップを大きく失えば進行方向を保つこと自体が難しくなります。
ブレーキングではショルダーノブだけではなく、センタートレッド、タイヤの路面追従性、空気圧なども関係します。
僕がグラベル経験の少ない人へタイヤを提案するなら、舗装路で数ワット軽いかどうかより、コーナーへ入ったときや、思ったより急に止まらなければならなくなったときに、タイヤがどれだけ余裕を残してくれるかをかなり重視します。
初心者に必要なのは「絶対に滑らないタイヤ」ではなく、滑り出すまでの余裕を大きくしてくれるタイヤです。
コーナリングではショルダーグリップ、強い制動ではセンターを含むトラクションと路面追従性。その両方に少し余裕を持たせると、安心して操作しやすくなります。
泥ではノブの高さだけでなく間隔も重要
路面が柔らかくなるほど、ノブの高さが必要になります。
そして泥では、ノブの高さだけではなく、ノブ同士の間隔も重要です。
間隔の狭いタイヤは泥が詰まりやすく、トレッドが埋まってしまうと十分にグリップできなくなります。
泥用タイヤで高く、間隔の広いノブが使われるのはそのためです。
ただし、大きなノブは舗装路では振動やノイズ、転がり抵抗を増やします。
トレッドは「ゴツいほど安心」ではなく、必要なグリップを確保できる範囲で、余計な抵抗を増やさないという考え方で選びます。
ケーシングの選び方|しなやかさ・重量・丈夫さをどう考える?
トレッドに比べると少し分かりにくいのがケーシングです。
メーカーや資料によってはカーカスと呼ばれることもありますが、ここではタイヤの骨格となる構造をまとめてケーシングと呼びます。
ケーシングはタイヤのしなやかさ、重量、路面追従性、耐衝撃性、耐パンク性に大きく関わります。
しなやかなケーシングは路面の細かな凹凸へ追従しやすく、快適性や転がりの軽さにつながります。
しかし、グラベルでは尖った石や岩、段差などへタイヤを強く当てることがあります。
そのため単純に「薄く柔らかいほど良い」とは言えません。
以下の分類は各メーカー共通の正式名称ではありませんが、ケーシングの性格を考えるときの大まかなイメージとして整理したものです。
| 大まかなタイプ | 特徴 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| Race | 軽量、しなやか、転がり重視 | レース、高速グラベル |
| Standard / Endurance | 速度と耐久性のバランス | 一般的なグラベルライド、林道 |
| Protection | 重量は増えるが保護性能を重視 | 荒れた林道、長距離、バイクパッキング |
ケーシングは、どこまでリスクを受け入れるかで選ぶ
実際のケーシング選びでは、路面だけを見るのではなく、その路面をどんな速度で走り、トラブルが起きたときにどこまで対応できるかまで考えたいところです。
| 考えること | ケーシング選びへの影響 |
|---|---|
| 許容できるタイヤ重量 | 軽快さを優先するか、保護性能を増やすか。 |
| グラベルでの走行速度 | 速度が上がるほど、石や段差へ当たったときの衝撃も大きくなる。 |
| 路面の荒れ具合 | 尖った石や大きな段差が多いほど保護性能が欲しくなる。 |
| 路面状態の安定性 | 路面状況を予測しにくい林道ほど、少し余裕のあるケーシングが安心。 |
| ライディングスキル | ライン選択や抜重が難しい場合は、タイヤ側にも保護性能の余裕を持たせたい。 |
| 荷物の量 | システム重量が増えるほど、タイヤやリムへ入る衝撃も大きくなる。 |
| 走行距離 | 長距離ほど、一度のトラブルがライド全体へ与える影響も大きくなる。 |
| 修理スキルと装備 | プラグ、チューブ交換、サイドカットなどへ対応できるか。 |
| トラブルへのリスク許容度 | 数十gの軽さを優先するのか、トラブルの可能性を下げる方を優先するのか。 |
| リカバリーの難しさ | 山奥や圏外など、走行不能になったときに助けを得にくい環境では耐久性を重視したい。 |
例えば同じ岩へタイヤを当てるとしても、15km/hでラインを選びながら越える場合と、35km/hで下りながら当てる場合では、タイヤやリムへ入る衝撃は同じではありません。
また経験のあるライダーなら、石を避ける、抜重する、速度を落とす、走るラインを変えるといった操作によってタイヤへの負担を減らせる場面があります。
反対に、グラベルに慣れていないうちは路面を読み切れず、避けたかった石へ正面から当ててしまうこともあります。
僕は、知らない林道へ入り、自走で何十kmも走って帰ってくるようなライドでは、数十gの軽さよりも少し丈夫な方を選ぶことが多いです。
家からすぐの河川敷でパンクするのと、山の奥でサイドウォールを切って走行不能になるのでは、同じ「パンク1回」でも意味がまったく違うからです。
タイヤが少し重いことよりも、自力で帰れなくなる可能性をどこまで許容できるのか。その方が僕にとっては重要な判断材料です。
TPIの数字だけで比べない
タイヤには60TPI、120TPIといった表記があります。
一般的にはTPIが高いほど細い繊維を高密度に使えるため、しなやかなタイヤを作りやすくなります。
ただし、異なるメーカーのタイヤをTPIだけで単純比較するのはおすすめできません。
Cyclingnewsのテストでも、ケーシング性能はTPIだけではなく、繊維の積層方法や耐パンク層などによって変化することが指摘されています。
実際の商品選びでは、TPIだけを見るよりも、メーカーがそのケーシングを何のために設計しているのかを見る方が分かりやすいでしょう。
「パンクに強い」にも種類がある
耐パンク性能も一種類ではありません。
尖った石や異物がトレッドを貫通するパンク。
サイドウォールを岩で切ってしまうパンク。
段差へ強く当たり、タイヤが大きく潰れてリムへ衝撃が入るピンチフラット。
GRAN FONDOの比較テストでも、貫通パンクへの強さと、強い衝撃によるピンチフラットへの耐性は別々に評価されています。
「耐パンクタイヤ」とだけ考えるのではなく、どんな壊れ方に強いのかまで確認すると、用途に合ったケーシングを選びやすくなります。
グラベルタイヤの空気圧|高ければ速いわけではない
いいタイヤを選んでも、空気圧が合っていなければ性能を十分に引き出せません。
グラベルでは特に、タイヤと空気圧をセットで考えることが大切です。
まず確認したいのは実際のタイヤ幅とシステム重量
空気圧を決める大きな要素は、実際のタイヤ幅と、ライダー+自転車+荷物を含めたシステム重量です。
同じ45mmタイヤでも、軽いライダーと、大きなバッグやキャンプ用品を積載したライダーでは適正空気圧が異なります。
また通常はリア側へ多く荷重がかかるため、前輪より後輪を少し高めに設定するのがひとつの基本になります。
空気圧が高すぎると、むしろ遅くなることがある
グラベルで特に注意したいのが、空気圧を高くしすぎることです。
タイヤが硬すぎると、路面の石や凹凸へ当たったときにタイヤが変形せず、自転車そのものが上下へ跳ねます。
すると、前へ進むためのエネルギーの一部が車体やライダーを上下させるために使われます。
さらに接地が減るため、ブレーキングやコーナリングのグリップも低下します。
グラベルでは、「硬くして跳ねながら走る」のではなく、「タイヤを路面へ追従させながら転がす」ことが重要です。
「45Cなら30psi」と固定しない
具体的な空気圧は、計算ツールなどで基準値を出し、そこから実走で微調整するのがおすすめです。
BikeRadarが紹介する計算例では、システム重量80kg、45mmタイヤ、混合グラベルという条件で、およそフロント30psi、リア32psi前後がひとつの出発点になります。
ただし、これは正解ではありません。
タイヤ選びと同じで、計算値も「答え」ではなく調整を始める場所と考えた方がいいでしょう。
- タイヤが跳ねるなら少し下げる
- コーナーでタイヤがヨレるなら少し上げる
- リムを打つ感触があるなら上げる
- 路面への追従性やグリップが不足するなら少し下げる
というように調整します。
1psi程度ずつ変えるだけでも、意外なほど違いが分かることがあります。
公称45C=実測45mmとは限らない
タイヤ側面に45Cと書かれていても、装着した状態で必ず45mmになるわけではありません。
実際のタイヤ幅は、タイヤそのものだけでなくリム内幅によって変わります。
GRAN FONDOが同一条件で比較したテストでも、公称45mmタイヤの実測幅には違いがありました。
数mm違えば、フレームとのクリアランスにも影響します。
リム内幅によってタイヤの形も変わる
太いタイヤを狭いリムへ取り付けると、断面が丸く立ち上がり、低い空気圧でコーナリングしたときにタイヤがヨレやすくなる場合があります。
逆にリムが広くなると、タイヤの実測幅も広がる場合があります。
太いタイヤへ交換するときは、
- タイヤの公称幅
- 装着後の実測幅
- リム内幅
- フレーム・フォークのタイヤクリアランス
をセットで確認してください。
特に最大クリアランスに近いサイズを使う場合は、単にタイヤが回転できるだけではなく、フレームメーカーが求めるクリアランスや、泥・異物を逃がす余裕も考える必要があります。
グラベルとチューブレスの相性はいい
現在のグラベルタイヤでは、チューブレス対応タイヤがかなり一般的になっています。
グラベルとチューブレスの相性がいい理由は、比較的低い空気圧を使いやすいことです。
インナーチューブがないため、タイヤとリムの間でチューブを挟むリム打ちパンクを避けやすく、小さな穴ならシーラントが塞いでくれる場合もあります。
ただし、チューブレスだから絶対にパンクしないわけではありません。
大きな穴やサイドカットではシーラントだけで修復できないことがあります。
林道へ入るなら、タイヤプラグなどの修理用品と、最終手段として使える予備チューブも携行しておくと安心です。
荒れた路面ではタイヤインサートも選択肢
岩の多い林道を低い空気圧で走る場合には、タイヤ内部へ入れるインサートも選択肢になります。
インサートは、タイヤが大きくつぶれたときにリムへ入る衝撃を和らげるほか、低圧時のタイヤのヨレを抑える役割もあります。
また、インサートがタイヤ内部からサイドウォールやビード周辺を支えることで、低い空気圧でもタイヤの形状を保ちやすくなり、強いコーナリングや衝撃を受けたときのバープ(一時的なエア漏れ)やビード外れのリスクを抑えやすくなる製品もあります。
さらにインサートの種類によっては、パンクなどで空気圧を大きく失った場合でも、タイヤとリムの間をインサートが支えることで、すぐに走行不能にならず、低速で安全な場所まで移動できることがあります。
ただし、すべてのインサートが同じ性能を持つわけではありません。
リム保護を主目的とするもの、低圧時のタイヤ支持を重視するもの、空気が抜けた状態での退避走行まで考えられたものなど、製品によって設計思想は異なります。
一方で、インサートを入れると重量が増えます。また、トラブル時に現場でインサートを外してインナーチューブを入れる作業が難しくなることもあります。
そのため、すべての人に必要な装備ではありません。
空気圧をもう少し下げて路面追従性を高めたいけれどリムへの強い打撃が心配、荒れた下りを速いペースで走るようになった、あるいは低圧でもタイヤをもう少し安定させたい。そんな段階になったら検討するといいでしょう。
前輪と後輪で違うタイヤを使ってもいい
前輪と後輪に同じタイヤを使わなければならない決まりはありません。
むしろ前輪と後輪では担当する仕事が少し違うため、コースによっては違うトレッドを組み合わせることに合理性があります。
前輪と後輪では求めるものが少し違う
前輪では、操舵、コーナリング、強いブレーキング時の安定性が重要です。
特にフロントタイヤの横グリップを大きく失うと、そのまま転倒につながりやすいため、前輪にはグリップの余裕を持たせたい場面があります。
一方で後輪は、ペダリングによる駆動トラクションを路面へ伝える役割が大きく、タイヤの転がり抵抗もライド全体の走行効率へ影響します。
そのため、舗装路やハードパックの割合が多く、グラベルの下りやコーナーでは前輪にもう少し余裕が欲しい場合には、フロントを少しグリップ側、リアを少し高速側へ振る方法があります。
3ブランドで同じ考え方ができる
| ブランド | フロント | リア | 狙い |
|---|---|---|---|
| Panaracer | GRAVELKING X1 | GRAVELKING ZX | 前輪のグリップ余裕を増やしながら、後輪の高速性を残す。 |
| Pirelli | CINTURATO GRAVEL RM | CINTURATO GRAVEL RH | ミックス路面での前輪コントロールと、ハードパックでの後輪効率を両立。 |
| Schwalbe | G-One R PRO | G-One RS PRO | 前輪のコントロール性能を確保しながら、後輪の低い転がり抵抗を生かす。 |
メーカーは違っても、考え方は同じです。
前輪に少しグリップ側のタイヤを置き、リアへ高速系を組み合わせることで、コーナリングや下りでの安心感を残しながら、平坦や舗装路での走行効率も確保できます。
でも「前はグリップ、後ろは速さ」と決めつけない
ここはかなり重要です。
前後異種タイヤは、単純に「前をゴツくして、後ろを速いタイヤにすればいい」というテクニックではありません。
例えばグラベル上の急登が多ければ、後輪にも強い駆動トラクションが必要です。
その場合は、
- Panaracerなら X1+ZX → 前後X1
- Pirelliなら RM+RH → 前後RM
- Schwalbeなら R PRO+RS PRO → 前後R PRO
という方向へ変えた方が合理的です。
反対に、さらに荒れた下りが多くなれば、前輪だけもう一段グリップ側へ振ることもできます。
- Panaracerなら フロントSK+リアX1
- Schwalbeなら フロントRX+リアR PRO
といった考え方です。
前後異種タイヤは「フロントはグリップ、リアは速さ」という公式ではありません。
前輪には何をさせたいのか。後輪には何をさせたいのか。登り、下り、コーナー、路面のルーズさを見ながら、前後それぞれの仕事からトレッドを考える方法です。
林道を走ってきて感じる「路面はいつも同じではない」
僕自身、昔からサイクリングロードより林道の方が好きでよく走ってきました。
長く走っていると強く感じるのが、林道は一度走ったことがあるからといって、次も同じ状態とは限らないということです。
去年はきれいに締まった砂利道だったのに、久しぶりに行ってみると雨で表面の土や細かな砂利が流され、大きな石が露出している。
オフロード車に人気の林道だと深い轍ができていることも。
反対に法面から土砂が流れ込んで、以前よりずっとルーズな路面になっている。
そんなことは珍しくありません。
大雨や台風のあとには、道そのものが変わる
特に短時間に大量の雨が降ったあとや台風のあとなどは、路面の印象がまるで変わっていることがあります。
水が流れた場所だけ表土が削られ、深い谷ができていたり、大きな石が露出していたりすることもあります。
逆に土砂や砂利が流れ込んで、以前は締まっていた場所が深いルーズ路面になっていることもあります。
最近は極端な雨が降ることも多く、以前走った記憶だけで路面を決めつけない方がいいと感じています。
林業の作業や強風で、枝が路面を覆うこともある
日本の山では林業が盛んな地域も多く、枝打ちや伐採作業のあとに細かな枝が路面を埋め尽くしていることがあります。
台風や強風のあとには、葉を付けた枝が大量に落ちていることもあります。
立ち枯れした木から落ちた硬い枝が散乱していることもあります。
こうした枝は、石や根とは少し性質が違います。
石や路面の凹凸なら、タイヤの太さ、エアボリューム、空気圧、トレッドによって対応できる範囲があります。
しかし枝は、踏んだ瞬間に向きが変わったり、跳ねたりします。
落ち葉の下に隠れていることもあります。
タイヤが太いから、サスペンションがあるからといって、勢いのまま突っ込めばいいものではありません。
僕は「ギリギリ走れるタイヤ」を選ばない
こういう経験をしてきたので、グラベル区間が少ないコースだったとしても、砂利道や林道そのものを楽しみたい僕は、その道を「ギリギリ走れる」性能だけでタイヤを選ばないようにしています。
40mmでも走れそうだから40mm。
この程度の砂利ならセミスリックでも大丈夫そうだからセミスリック。
そうやって現在分かっている路面だけにギリギリ合わせるよりも、
- 少し太め
- 少しグリップに余裕がある
- 少し丈夫なケーシング
そのくらいの余白があった方が、林道では結果的に楽しめる場面が多いと感じています。
僕にとって林道用タイヤの「余裕」は、速く走るためだけのものではありません。
昨日まで知らなかった道へ入ってみるための余裕であり、予想していた路面と違っても落ち着いて対応するための余裕です。
もちろん、タイヤを太くしたり丈夫にしたりすれば何でも走れるという意味ではありません。
枝が大量に散乱していれば速度を落とす。
落ち葉で路面が見えなければ慎重に走る。
崩落や倒木があれば無理をしない。
必要なら自転車を降りるし、危ないと思えば引き返す。
そういう判断も含めて林道ライドです。
だから初めてグラベルタイヤを選ぶ人にも、舗装路で数ワット速いことだけではなく、「この先ちょっと荒れてきても落ち着いて走れそうだな」と思える余裕を残してほしいと思います。
条件から具体的なタイヤを選ぶ
ここまで考えられれば、最後に商品名へ落とし込めます。
Bike Plusで取り扱っているタイヤを、ブランドではなく「どんな道を、どんなふうに走りたいか」で整理してみます。
ここでも「このタイヤが一番」という決め方はしません。
同じカテゴリーでも、転がり、エアボリューム、グリップ、ケーシング、重量など、メーカーごとに性格が違います。
| 走り方 | Panaracer | Pirelli | Schwalbe |
|---|---|---|---|
| 舗装+ライトグラベル | GRAVELKING | CINTURATO ALL ROAD | G-One Allround Performance |
| 高速ハードパック | GRAVELKING ZX | CINTURATO GRAVEL RH | G-One RS PRO |
| ミックスグラベル | GRAVELKING X1 | CINTURATO GRAVEL RM | G-One R PRO |
| グリップ重視 | GRAVELKING SK | ― | G-One RX |
| 長距離・積載 | ― | CINTURATO ADVENTURE | ― |
舗装路を中心に、ライトグラベルまで楽しみたい
- Panaracer GRAVELKING :舗装路中心からライトグラベルへ行動範囲を広げたい。
- Pirelli CINTURATO ALL ROAD :舗装路での使いやすさや耐久性も重視したい。
- Schwalbe G-One Allround Performance :普段使いから乾いたライトグラベルまで幅広く使いたい。
舗装路とグラベルをバランスよく楽しみたい
舗装路を長く走りつつ、林道へ入ったときにはショルダーグリップも欲しい場合には、セミスリック系が使いやすくなります。
- Panaracer GRAVELKING SS :舗装路での軽快さを残しながら、グラベルでのコーナリンググリップも確保したい。
舗装路とハードパックを速く走りたい
- Panaracer GRAVELKING ZX :高速系トレッドを40C・45C・50Cのエアボリュームと組み合わせたい。
- Pirelli CINTURATO GRAVEL RH :硬く締まったグラベルで高速性能を重視。
- Schwalbe G-One RS PRO :舗装路や高速ハードパックで走行効率を重視。
舗装路から一般的な林道まで幅広く楽しみたい
- Panaracer GRAVELKING X1 :速さを残しながらグラベルでの駆動・制動・コーナリンググリップを増やしたい。
- Pirelli CINTURATO GRAVEL RM :ミックスサーフェスやルーズ路面まで幅広く対応したい。
- Schwalbe G-One R PRO :速さとコントロール性能を高いレベルで両立したい。
荒れた林道でグリップを優先したい
- Panaracer GRAVELKING SK :全面ブロックで駆動・制動トラクションを確保したい。
- Schwalbe G-One RX :荒れた砂利、岩、ルーズ路面でグリップを優先したい。
キャンプ道具を積んで長距離を旅したい
- Pirelli CINTURATO ADVENTURE :バイクパッキング、キャンプツーリング、長距離で耐久性と信頼性を重視。
Adventureは、RMやRXより「さらに悪路向け」という意味ではありません。
荒れた路面を攻めるためではなく、荷物を積み、さまざまな路面を長く走り続けるためのタイヤという別の軸で考えるモデルです。
深い泥を中心に走るなら別のカテゴリーになる
深い泥や粘土質の路面を主目的にするなら、高く間隔の広いノブを持つ専門的なマッド向けタイヤが必要になることがあります。
ただ、舗装路を自走して一般的な林道を楽しむBike Plusのお客様の使い方を考えると、そこまで専門的なマッドタイヤが必要になるケースは多くありません。
泥が一部に現れる程度なら、タイヤだけで全部解決しようとせず、路面を見て速度を落とす、必要なら降りるという判断も含めて考える方が現実的です。
まとめ|幅・トレッド・ケーシングを行き来しながら決める
グラベルタイヤ選びでは、太さ、トレッド、ケーシングをひとまとめに考えないことが大切です。
| 選ぶもの | 一番大きな問い | 主に考えること |
|---|---|---|
| タイヤ幅 | どれくらい路面へ追従させたいか | クリアランス、エアボリューム、路面の荒れ、システム重量、タイヤ重量、バイクの設計思想 |
| トレッド | どの方向へ、どれだけグリップが必要か | 舗装路の割合、登り、下り、勾配、コーナー、駆動、制動、ライディングスキル |
| ケーシング | どれくらいの衝撃とトラブルリスクを受け入れるか | 速度、荒れ具合、重量、スキル、積載、走行距離、修理能力、リカバリー難易度 |
そして、この三つは一度ずつ順番に決めて終わりではありません。
例えば太いタイヤにしたことで、高速系トレッドを使いやすくなることもあります。
反対に、十分なタイヤ幅があっても急登が増えれば、トレッドをグリップ側へ変えたくなるかもしれません。
さらに速度が上がれば、軽量ケーシングから少し丈夫なものへ戻したくなることもあります。
↓
必要なエアボリューム、グリップ、耐久性を考える
↓
タイヤ幅・トレッド・ケーシングをそれぞれ検討する
↕
三つのバランスを見ながら行き来して調整する
↓
リム内幅・実測幅・クリアランスを確認する
↓
最後に空気圧を合わせる
そして僕自身は、そこへもうひとつ「少し余裕を残す」という考え方を加えています。
林道は毎回同じ状態ではありません。
走る路面も、走る速度も、自分のコンディションも、トラブルが起きたときの状況も毎回違います。
だからギリギリの性能を選ぶより、少し太く、少しグリップが高く、必要なら少し丈夫な方へ。
その余裕が、知らない道へ入る楽しさや、予想外の路面へ出会ったときの安心感につながると感じています。
そして舗装路を走るからといって、そのバイクらしいタイヤ幅まで捨てる必要はありません。
太さ、トレッド、ケーシングにはそれぞれ別の役割があります。
どのブランドが一番かではなく、自分がどんな道を、どんなバイクで、どんなふうに楽しみたいのか。
そこから一本を選んでみてください。
この記事を書くにあたり参考にした主な資料
-
Cyclingnews「Lab tested: What is the fastest gravel tyre setup?」
タイヤ幅、トレッド、ケーシングと転がり抵抗の比較について参照。 -
Velo「The Seven Tires that Define Gravel Riding in 2026」
路面別タイヤ幅、トレッド、前後異種タイヤ、ライダーの技量とグリップの考え方について参照。 -
BikeRadar「Gravel bike tyre pressure explained」
システム重量、タイヤ幅、空気圧、リム内幅、チューブレス、インサートについて参照。 -
GRAN FONDO「The Best Gravel Tire on Test – 32 Tires in Our Big Group Test」
転がり抵抗、実測タイヤ幅、グリップ、耐パンク性能の比較について参照。
グラベルタイヤ選びのよくある質問
グラベルタイヤは40Cと45Cのどちらがおすすめですか?
舗装路の割合が多く比較的滑らかなグラベルが中心なら40C前後、より大きなエアボリュームや路面追従性が欲しいなら45Cや50Cも候補になります。ただし路面だけで決めるのではなく、フレームクリアランス、リム内幅、システム重量、タイヤ重量、バイクの設計思想も合わせて考えてください。
舗装路しか走らないなら細いタイヤの方がいいですか?
必ずしもそうではありません。舗装路での走行効率を高めたい場合は、まずスリックや高速系トレッドを選ぶ方法があります。タイヤ幅は、そのバイクが想定しているタイヤレンジ、必要なエアボリューム、重量、空力などから別に考えるのがおすすめです。
タイヤを太くすることと、トレッドをゴツくすることは同じですか?
同じではありません。タイヤを太くすると主にエアボリュームが増え、低い空気圧で路面へ追従しやすくなります。一方、トレッドを大きくすると駆動、制動、コーナリングでの機械的なグリップを高めやすくなります。同じ高速系トレッドのままタイヤだけ太くするという選択もできます。
グラベル初心者はどんなタイヤを選べばいいですか?
初めて林道を走る場合は、転がり性能だけを追わず、少しグリップに余裕のあるタイヤがおすすめです。特に前輪のショルダーグリップはコーナリング時の安心感に関係します。また急なブレーキングではセンタートレッド、路面追従性、空気圧なども重要なので、制動時のトラクションにも余裕を持たせると扱いやすくなります。
グラベルタイヤの空気圧は何psiが適正ですか?
タイヤ幅、実測タイヤ幅、システム重量、前後荷重、路面、リム内幅などによって変わるため、一つの数字には決められません。計算ツールなどで基準値を出し、実走しながら1psi程度ずつ調整する方法がおすすめです。
前輪と後輪で違うグラベルタイヤを使っても大丈夫ですか?
問題ありません。前輪には少しグリップの高いタイヤ、後輪には転がりの軽いタイヤを組み合わせる方法があります。ただし前輪はグリップ、後輪は速度と機械的に決めるのではなく、グラベル上の登りが多ければ後輪にも十分な駆動トラクションを持たせるなど、前後それぞれに何をさせたいかで考えることが大切です。
グラベルタイヤは軽い方がいいですか?
軽いタイヤには加速感や軽快さのメリットがありますが、必ずしも軽いほど良いわけではありません。走行速度、路面の荒れ具合、ライディングスキル、積載量、山奥でトラブルが起きた場合のリカバリー難易度まで考え、軽さと保護性能のバランスを決めるのがおすすめです。
グラベルタイヤはチューブレスにした方がいいですか?
ホイールとタイヤが対応しているなら、グラベルライドではチューブレスとの相性はとても良いです。比較的低い空気圧を使いやすく、小さな穴ならシーラントで塞がることもあります。ただし大きな損傷に備えて、プラグや予備チューブも携行しておくことをおすすめします。
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