油圧ディスクブレーキのメリットと搭載おすすめクロスバイク
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油圧ディスクブレーキを搭載したクロスバイクの選択肢が一気に増えてきました。ディスクブレーキ搭載だとリムのサイド面のカラーや形状のデザイン的な制限が減るので、引き締まったかっこいいデザインのホイールを搭載できていいですよね。
ということで『油圧式ディスクブレーキ搭載のクロスバイクってどーなのよ?』という点につきまして、昔懐かしいカンチブレーキの使用感やすでに過去の物となりつつあるものの一時代を築いたVブレーキの使用感など、ブレーキの進化の歴史を交えながら考察したあとに、『TREK(トレック)』のディスクブレーキ仕様クロスバイクおすすめモデルをご紹介させていただきたいと思います。
TREKはフレームが生涯限定保証付きなので、それだけでかなりお買い得です。
ブレーキングを繰り返していると、知らず知らずのうちにリムのブレーキ面が削れていくものです。坂道をよく走ったり、雨の日にもよく乗ったり、砂利道をよく走ったりするクロスバイクの場合はブレーキシューの減りが早かったり、ブレーキシューに小砂利を挟んでしまったりすることはよくあること。
シューの減りが早ければ当然リムの減りも早いですし、シューに小砂利が挟まって入ればリムは早く削れていってしまうものです。するとリムは傷だらけになるだけでなく次第に強度不足に陥り、空気でパンパンに膨らんでいるタイヤを保持できなくなりリムが割れるという事態に繋がってしまうのです(そうなる前にホイールを交換しましょう)。
ディスクブレーキだとリムではなくローターをブレーキで挟み込むので、ブレーキの摩擦からリムが解放されるので、ブレーキの摩擦が理由でリムが傷むこと自体無くなります。
リムがブレーキパーツの一部という役割から解放されたことで、異なるデザインが可能になったり、リムにカーボンを採用しやすくなったり、軽量化やエアロ効果といった様々な性能の向上に力を入れやすくなりました。
ここで紹介しているディスクブレーキ搭載クロスバイクもそうですが、Vブレーキ仕様のクロスバイクとは違い足回りからチャリ感がなくなったというか、銀色に輝く360度の輪がなくなったことでどことなく引き締まってちょっとした高級感を感じられるようになっています。実にカッコいいです。
また、重量が増加してしまうのではという疑問も多く耳にしますが、リムやフレームとフォークがディスクブレーキ仕様に最適化されたことでクリアできています。
タイヤを円形に保持しておく『リム』というパーツからブレーキの役目を排除することができたので、その結果としてリムの真円度の許容範囲を広くすることが出来ました。メーカー出荷時のホイールの品質としての許容基準が緩くなった訳ではありません。
このお陰で、サイクリング中に数ミリ大きくリムに振れが出たとしても、ブレーキにリムが当たってしまいスピードが思うように出せないとか、一定のリズムで聞こえてくる擦れている音とかから解放されただけでなく、リムの振れが原因でタイヤにブレーキシューが擦れていることに気がつかずサイクリング中タイヤが突然バーストする…なんてことも起きなくなったのです。
雨の日でも制動力が落ちないとよく言われますが、厳密には制動力はやや落ちます。ただし、雨の日のVブレーキの効かなさ加減と比較すると雲泥の差があります。何本もの指を使って思いっきりブレーキレバーを握ってもなかなか減速できなかったのが、油圧ディスクブレーキならば指一本(もしくは二本)でさほど力まずに操作できてしまうだけでなくもちろん減速も速やかです。
雨の日でもブレーキをかけるために入力する力が少なくてすむ上に、減速や停止にかかる距離や時間も短くてすむわけです。サイクリング中の下りでハンドルを握る握力すら残っていないなんていうことも起こりません。これはとても安心です。
握る力は弱くて済むのにストッピングパワー(車輪の回転の静止力)が全然違う
人間の力では持ち上げることができないようなモノも油圧ジャッキを使うと持ち上げることができたりしますよね。油圧ジャッキは『テコの原理』と『パスカルの原理』を利用しているからそのような仕事ができるのですが、油圧ディスクブレーキも同じです。
『パスカルの原理』が油圧ディスクブレーキの強い制動力のキモなのです。『テコの原理』の組み合わせでしかないワイヤー式のブレーキとではレバーを握った時のストッピングパワーが全然違うのです。
ちなみに理屈では、ホイールのなるべく外側を挟み込んだ方がホイールの回転を静止させやすいのです。これは『テコの原理』。扇風機の羽の回転を指で止めようとした時に、回転軸に近い方を抑えるより羽の外側に近い方を抑えた方が静止させやすいのと同じです。
そういう意味ではリムを挟み込む従来のブレーキは理にかなってはいるのです。ですがリムを挟むブレーキが油圧となると別の問題が発生してきます。
油圧リムブレーキだと今度はかえって効きすぎで “効かせている状態での強弱のコントロール” が非常に難しくなってしまい逆に実用的ではありません。先ほどの扇風機の話でもそうですが、指先で簡単に静止は出来ますが、小さな力で簡単に静止できてしまうからこそ、今度は回転を自在にコントロールしようと思うとなかなか指の力加減が難しいものなのです。
それはブレーキレバーを操作する指でも一緒です。
自転車のブレーキはタイヤを地面に接地させしっかりとグリップさせた状態でなければ自転車の速度コントロールという点において全く意味をなしません。ですのでただとにかく車輪の回転を静止できればいいということではないのです。
『小さい力で回転を完全に静止させること』以上に、いかに車輪の回転を静止させず(タイヤのグリップを失わず)に『様々な力加減で回転を自在に抑制させること』ができるか、この2つの性能が求められるのです。
そこでブレーキで抑える場所(回転軸からの距離)をどのあたりにするかが重要になってくるのです。MTBの世界で激しく山を下るダウンヒルMTBには203mm、XCレースには140mmや160mm、下り多めのフリーライドでは180mmといった具合にローター径の大小で選択肢があるのは、速度やライドシチュエーションに応じてその2つの性能を最適化するためでもあるのです。
ちなみにガッチリと車輪の回転を静止しておく必要があるトライアル競技の世界では理屈的には一番ガッツリ効く油圧のリムブレーキがかつては主流でしたが、現在ではMTBやロード、クロスバイクの流れと同様にディスクブレーキが主流になっています。
この背景には制動力の大小ということよりも、競技中にリムが大きく歪んでしまっても走行(競技続行)可能だからとか、雨天でも性能の落ち込みが少ないからといった理由があるようです。
油圧ディスクは車輪の回転の抑制させ始めから回転の完全停止に到るまで、効かせ方のコントロールの幅がとてつもなく広い
ストッピングパワーが強いという話をするとすぐにホイールがロックして(回転が完全に静止して)スリップしてしまいそうと感じるかもしれません。実際どんなブレーキでもパニックブレーキのように思いっきりレバーを握ると、ホイールの回転が完全に静止してしまいタイヤがグリップを失い自転車のコントロールができなくなることはあります。
それこそシマノが開発したVブレーキでもそうです。(クロスバイクに多く採用されているVブレーキは最初はMTBから普及したのですが)、MTBにVブレーキが採用され始めた当初は、全く効かない従来のブレーキ『カンチブレーキ』の要領で操作すると急に車輪がロックしジャックナイフ状態になり、そのままの勢いで前転し肋骨や鎖骨を折った人が何人もいた…なんてことがありました(実話)。
発売当初Vブレーキはストッピングパワーが強過ぎてコントロールしにくい印象のブレーキでした。
と言っても、それまで主流だったカンチブレーキがとにかくただただ効かないブレーキだったのでVブレーキのコントロールは慣れの側面もありましたが、レバーを握るに従ってテコ比が変化してそーっと効かせる効かせ方とガッツリ効かせる効かせ方のコントロールがしやすくなった(シマノ・サーボウェーブアクション)という技術的な進化も背景にありました。
Vブレーキにはどんな乗り手も一瞬にして慣れ、その制動力の高さとコントロール性の高さから一気に普及しました。
近年クロスバイクに標準で搭載されているVブレーキには、本体やレバーのテコ比やシューを再設計したり、アウターワイヤーにバネを仕込んだりすることで『効き』をクロスバイクに最適化したものもあったりしますが、現在流通しているディスクブレーキよりも発売当初のMTB用Vブレーキの方がすぐにロックしてしまい扱いにくかった印象すらあります。
さて、話をVブレーキから油圧ディスクブレーキに戻します。軽く握っただけでのストッピングパワーは半端じゃなかったものの、発売当初の油圧ディスクブレーキは発売当初のVブレーキと同様で、効かせ方の強弱のコントロールが難しい傾向にありました。
が、長年MTBで培ってきた技術によりMTBで油圧ディスクブレーキが登場した当時と比較すると、とてもロックしにくく且つコントロールしやすくなっているように感じます。もちろんシマノではレバーにVブレーキで評判が高かったサーボウェーブアクションが加えられました。
その他のメーカーでもおそらくパッドの材質や形状以外にも様々なパーツの設計がどんどんと最適化されて性能が向上したのでしょう。
今では車輪の回転を瞬時に “完全に静止させる効かせ方” から、車輪の回転を少しだけ抑制しようとする “ちょっとだけ効かせる”効かせる方” や、車輪の回転を完全に静止させる一歩手前のタイヤのグリップが維持できるギリギリの “回転をかなりしっかりと抑制させる効かせ方” ができる、非常に優れたコントロール性を持ったブレーキに仕上がっています。
特にサーボウェーブアクションは秀逸です。
たわみについても、ディスクブレーキをフレームに取り付けるマウント方式が理にかなった方式になったり、フォークのエンド幅が広くなったり、太くて剛性の高いスルーアクスルにハブ軸が進化したりして、随分と改善されています。ブレーキの効きを悪化させる摩擦熱についても随分と放熱性が改善されました。
人によっては購入後にかなり気になってしまうこともあるようなので、油圧ディスクブレーキ特有の煩わしい部分も正直にご紹介します。
1)パッドとローターの隙間が狭いので、高速でコーナリングしたりすると擦れてシャッシャ音がなることがある。
2)パッドとローターの隙間が狭いので、ローターの些細な歪みでもパッドに擦れてシャッシャと音がなることがある。
3)雨の日は特にものすごい音がすることがある。
4)ローターとパッドに油分が絶対に飛ばないように、洗車時やチェーン注油時などにかなり神経質になる。
5)輪行時にしっかりと養生しないとローターでフレームにガッツリ傷を入れてしまうことがある。
6)落車時にローターで足を切りそう(大昔にチェーンリングでふくらはぎを切ったことはありますがローターで怪我をしたことはありません)
7)ワイヤー交換よりオイル交換の方が手間が多くかかる。
でも結局油圧ディスクが一番いい
ちなみに私はこれだけ煩わしいと感じる点があっても、油圧ディスクブレーキをやめようとは思っていません。メリットや性能的な安心感を考えるとたいして大きな問題ではないとと感じています。
スポーツバイクに使われている他のタイプのブレーキの使用感と比較してご紹介します。
カンチブレーキ – 30年程前のカンチブレーキ時代には長い下りで車体を減速できる気がしませんでした。スピードが上がらないようにするだけで精一杯でハンドル操作なんかできませんでした。今振り返るとかなり危険な乗り物に乗っていたと思います。
Vブレーキ – その後MTBからクロスバイクと長く続いているVブレーキ時代では、減速できないという恐怖心や握力の疲れは随分と軽減されましたが、まだまだ山岳の長い下りでは力が必要でした。街中で雨の日に思いのほか止まれずにヒヤッとしたことはあります。
デュアルピボットブレーキ – ロードバイクの主流であるデュアルピボットブレーキでは雨のヒルクライム後の長い下りが恐怖でした。力の限りレバーを握っても全然減速できずハンドルを握れないくらい握力がなくなりその日疲労困憊だった覚えがあります。それはもうカンチブレーキの悪夢のようでした。
油圧ディスクブレーキを使い始めてから15年以上が経ちますが、握力を無駄に使わずに済む高いストッピングパワーと、優れた強弱のコントロール性のおかげでこういった無駄な疲労とストレスはおさらばできています。
長い下り坂やコーナー侵入時でもバイクのスピードを思い通りに制御できるようになったのはもちろん、指・手・腕がパンパンになることが劇的に減り、とても重宝しています。普通のサイクリング中の何気ないスピードコントロールなら指一本でかけたってしっかりと思い通りの速度に調整できます。こんなに楽で疲れないブレーキはありません。
危険を回避するための急減速・急停車においても、タイヤが滑ったりすることなく、ジャックナイフ状態になることもなく、とても短い距離で素早くコントロール可能になっているのも、市街地の路上ではかなりの安心材料です。
握力が消耗しない軽い力でも効率よくしっかり車輪の回転を止めることができる(疲れずに効率よく減速停車できる)イメージ通りに効きの強弱の調整が可能だから自在にスピードをコントロールできる(自分のライドイメージの支配下にバイクのスピードを常に置くことができる)
現在市販されているブレーキシステムの中で油圧ディスクブレーキが少なくともこの2点においてもっとも優れていると言えるでしょう。
カーボン製品の普及やアルミ製品のさらなる軽量化と高剛性化に伴いクロスバイクも軽くなりスピードも昔より出るようになりました。もちろんそれに伴いタイヤの性能も上がっています。
そういう時代において『効率よくしっかり回転を止める』『イメージ通りに回転を自在にコントロールできる』という油圧ディスクブレーキの性能は、安全にクロスバイクライドを楽しむ上で必要不可欠となってきているのではないでしょうか。
リムやフレームの設計やデザインの自由度が増したことも含め、自転車メーカー側が油圧ディスクブレーキをロードバイクやクロスバイクに普及させようとしていることは、ユーザーとしての目線でも普通にうなづけてしまうワケです。
長くなりましたが、いよいよおすすめのディスクブレーキ仕様クロスバイクを以下にご紹介させていただきます。ボタンをクリックすると各モデルの詳細レビューページにジャンプします。ディスクブレーキ搭載のクロスバイクはこんな風にラフにカジュアルに乗りこなしたいですね。
以下にリストアップしたクロスバイクが油圧ディスクブレーキを標準搭載している人気クロスバイクです。車体画像をタップして紹介ページをみてみよう!
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