ロードバイクでもほぼ主流になった油圧ディスクブレーキですが、輪行はできるのか? どうやるのか? 気になりますよね。ということでディスクブレーキの輪行についてご案内します!
おすすめロードバイク
全て見る輪行の基本セット
ディスクブレーキモデルのロードバイクであれクロスバイクであれ基本的に必要なアイテムはリムブレーキモデルと一緒です。
輪行袋、エンド金具、スプロケットカバー、チェーンカバー、フレームカバー。
まずはこの5点セットは必須です。輪行袋自体もディスクブレーキ用というのはないので何でも大丈夫です。
ハンドルを左右にきるのが難しいエアロ系のロードバイクの場合、ひとまわり大きいワイドタイプの輪行袋も販売されています。クロスバイクやMTBなどハンドル幅があるものもワイドタイプが安心です。
エンド金具に注意
ディスクブレーキの車体で気を付けたいのがエンド金具。ホイールの固定方式でクイックレバータイプかスルーアクスルタイプかで使用する金具が変わってきます。
クロスバイクに多いクイックレバータイプのフレームは一般的な135㎜用のエンド金具で対応できますが、最近のディスクロードは12㎜スル―アクスルで統一されているので12㎜スル―アクスル対応のエンド金具を用意してください。
初期のディスクロードやMTBでは15㎜スルーアクスルのタイプだったりします。そういった場合はさまざまなエンド規格に対応できるアイテムもあります。
どのエンド金具を購入したらいいか不安な場合はショップにて相談するのお勧めします!
パッドスペーサーは必須
油圧ディスクブレーキの場合、ホイールを外した状態でブレーキレバーを握るのはご法度。ホイールなしでレバーを握ってしまうとブレーキキャリパーのピストンが押し出され戻らなくなってしまいます。そうなると左右のパッドの隙間が少なくなり、ブレーキローターが差し込めずホイールの固定ができなくなってしまいます。
それを防ぐのがパッドスペーサーです。ホイールを外した後にパッドの間にスペーサーをかますことでトラブルを防ぐことができます。メーカー純正のスペーサーもありますし、オーストリッチなどからでているダミーローターなどいろんなブレーキに使用できる輪行グッズもあります。
ローターカバーも必須
輪行するときブレーキのディスクローターはフレームや輪行袋を傷つけてしまったり、ローターが曲がってしまう恐れもあるのでしっかり保護したいところ。また、ローターに汚れや油分がつくとブレーキの効きが落ちてしまったり、音鳴りの原因にもなるので要注意です。
実際に輪行袋に入れてみましょう
基本的にはリムブレーキもディスクブレーキも輪行のやり方は一緒です。ディスクブレーキの場合の注意点を中心にご紹介します。基本的な輪行のやり方は『輪行袋(輪行バッグ)の使い方をマスターしよう!』のページをご覧ください!
ホイールを外す
まずはホイールを外します。ホイールを外すときは自転車をひっくり返すとバイクも安定して作業しやすいですし、ホイールをはめる時もパッドの隙間が見えるのではめやすくなります。ただしライトやサイコンが傷ついてしまうのでそういったもの外しておきましょう。輪行袋を下に敷いて作業すればレバーやサドルの傷防止にもなります。
パッドスペーサーを挟む
ディスックブレーキ輪行において一番大事なのはホイールを外した状態でレバーを握らないこと。その状態でレバーを握るとブレーキパッドが出てきてしまい、自然には戻らなくなってしまします。それを防ぐために必ずパッドの間にスペーサーを差し込んでください。
エンド金具を装着
変速機やフレームを守るためにエンド金具を付けます。ディスクブレーキモデルの自転車の場合、使用できるエンド金具がモデルによって異なるので要注意。写真は12㎜スルーアクスル用のエンド金具を使用。このタイプの金具は片側にしか取り付けしないので、車体を立て作業するときは壁に立てかけるようにするが良いです。
取り付けはクイック式になっているのでホイールを固定する要領で行えば大丈夫。注意点としてはレバーの締め付けが緩いと金具が動いて変速機などが地面にあたりダメージをあたえてしまうので、手でゆすって動かないか確認してください。
またチェーンフックなどを使えばチェーンにテンションがかかり輪行中に外れてしまうことをふせげますし、ディレイラーをロー側へ変速させておくとでっぱりが減りディレイラー周りのトラブルを減らせます。この辺はリムブレーキモデルと共通ですね。
ブレーキレバーを固定してエア噛み防止
ディスクブレーキ輪行で懸念されるのがエアが噛んでしまう事。自転車を逆さにしたり立てたりするとエア噛みしてしまうと心配される方もいらっしゃると思いますが、エア抜きがしっかりできているバイクであれば逆さにしても問題ありません。
ただ稀にレバー内部にあるオイルタンク内のエアがホースなどに侵入してブレーキがスカスカになってしまう事もあります。それを防ぐ方法としてベルクロテープやトゥストラップなどでレバーを軽く握った状態で固定するのが良いです。
ローターカバーも忘れずに
あとはホイールをフレームに固定すれば良いのですがその前にローターもしっかり保護しましょう。ローターに油や汚れが付くと音鳴りしたりブレーキが効かなくなってしまう恐れが。
また基本的なことですがローターには触らない事。手の油でもブレーキングに影響がでてしまうのと、走行直後などではかなり熱をもっているので触ると火傷してしまいます。
ローターを保護したら通常通りベルトでフレームとホイールをしっかり固定してください。ローター側が外になるように固定すればローターやフレームへのダメージも減らせると思います。
ホイールを固定して袋に入れる
ホイールとフレームが接触する部分はフレームカバーでしっかり保護すれば傷などもつかないでしょう。
ホイールをフレームに固定する時不安なのがフレームへのダメージ。上手く固定できていなかったらフレームに傷が…カーボンフレームの場合なおさら心配ですよね。ディスクブレーキだとローターが曲がってしまったりという事も。
ホイールバッグを使用するのもあり!
フレームへの傷などが心配ならばホイールはホイールバッグに入れて別持ちするのも一つの方法です。薄手のナイロンで作られているホイールバッグならばたためることができ、バッグに入るぐらいの大きさにはなります。ただ荷物の数が増えるので電車内では他の乗客の方に迷惑にならないよう置く場所など注意が必要です。
組み立てる時の注意
現地に着いて自転車を組み立てる際、いくつか注意点があります。ホイールをはめる時はしっかりブレーキローターを左右のパッドに間にいれ、レバーもしっかり固定してください。とくにクイックレバータイプのものだと締め込みが緩いとレバーが外れブレーキ―ローターに巻き込んだり、ホイールが外れてしまう危険性もあります。
クイックレバーの締め加減のは完全に開放した状態からレバーを指で軽く起こした際に、車輪の軸とほぼ一直線上にレバーがくるようにするのが適正です(写真のような状態)。出せる最大限の力で締め付けられる固さに調整するのがベストです。
また、ホイールを固定してすぐに走りだすのはNG。ブレーキにトラブルが起きていないがしっかり確認しないと危険です。油圧式のディスクブレーキの場合レバーを握るとスカスカでブレーキが効かないということもあります。
走りだす前にまずはしっかりブレーキレバーを握って異変がないかチェックしてください。再度ホイールがしっかり固されているかもチェックしましょう。
パッドスペーサーがない…
パッドスペーサーを忘れたり、落としたり、無くしてしまう。そんなこともあるかと思いますが安心してください。パッドスペーサーがないときは厚紙や段ボールなどでも代用はできます。コンビニでお菓子を買ってその箱を使うという手もありますね。油分がついていないものでブレーキパッドの隙間に入るものであれば何でも大丈夫です。厚みが足りなければ折りたためばOK!
レバーを握ってしまった…
あまり起こる事ではないですがホイールを外した状態で、ついブレーキレバーを握ってしまった時、パッドスペーサーをしていれば問題ないのですが、そうでない場合はパッド(ピストン)が出てきてしまいディスクローターの入る隙間がなくなってしまいます。そんな時はパッドを押し戻しましょう。
ピストンの戻し方
携帯工具が手元にあればマイナスドライバーなどでこじってパッドを押し広げれば元に戻ります。ただし注意点として工具に油分が付いていないことが絶対条件です。アルコールが入ったウェットティッシュで工具を拭いたり、紙やティッシュを巻いた状態で使うのもあり。パッドの隙間がそれなりにあれば割り箸や木の枝を使うという手もありますね。
ブレーキレバーがスカスカに…
輪行して無事現地に付きホイール固定してブレーキの調子確認のためレバーを握ってみたらスカスカなんてことも。そういった場合は何回かレバーを繰り返しゆっくり握ってみてください。だんだんとレバーが固くなって回復してきます。
レバーのオイルタンク内などにあったエアが輪行で自転車を逆さにすることでホース内に入り込んでしまうことが原因です。レバーを何回か握ることでエアがタンクに上がり、もとの状態に戻り回復します。
基本的にはしっかりエアが抜けていれば輪行してもレバーがスカスカになることはないので、そういった症状があった場合は一度エア抜き作業をオススメします。
ローターが擦ってしまう
スルーアクスルだとあまり起きないのですが、クイックレバータイプのホイールだと締め付けの強さでブレーキのセンターがずれてローターがパッドに接触することもあります。一箇所擦っている場合は気になるものの走行上問題はありません。ローター片側が全面擦っているようであれば調整が必要です。
調整の前にまずホイールを固定し直してみてください。ホイールが斜めにはまっているだけだったり、レバーの締め付けの微調整で解決する場合もあります。ただし危険なので緩めすぎは禁物です。
それでも直らない場合は調整が必要。出先で行うのはなかなか難しいですが、ブレーキキャリパーを固定しているボルトを緩めてセンター出し、ローターが曲がっているようであれば修正します。
その際便利な工具もあります。使い方を含め以前書いたブログ『こんな工具が欲しかった!ローター左右のあの僅かな隙間を左右均等にするディスクローターセンタリング工具他』を参照してください。
フレームに傷がつくのが怖い…
ホイールを脱着する際、ディスクローターがフレームに接触して傷をつけてしまう恐れがあります。フロントでそういった事が起こるのは少ないのですが、リアは変速機がついている関係で、ホイールの脱着の際にローターがフレームに接触して塗装が欠けてしまう事が多々あります。
輪行するときは多少の傷は覚悟してのぞむほうが気が楽ですが、もし傷が気になるようであれば接触してしまいそうな箇所に厚めのシリコンテープなどで養生しておくのもい良いでしょう。タオルやフレームカバー、ローターカバーなど手持ちのものでガードするのもありかと思います。
ホイールの脱着もバイクを天地逆さまにしておこなうとパッドの隙間などが確認しやすく、トラブルも少なくできると思います。
あとは実践あるのみです!
ディスクブレーキだからといって輪行が難しいということはありません。基本的にはリムブレーキのもとの変わりがなく、いくつかの注意点さえ把握しておけば問題が起こることはさほどありません。必要なアイテムを準備して、しっかり手順通り行えば大丈夫。どんどんチャレンジしてください。
バイクプラス各店舗では定期的に輪行袋の使い方講習会を開催しています。スタッフが実演してレクチャーさせて頂いていますが、わからない事、疑問点などあればどんどん聞いてください。