Domane AL 5 VS Emonda ALR 5 ハイエンドアルミロードを徹底比較
おはこんばんちは!多摩センターの大西です。トレックのアルミロードバイクといえば『Domane AL(ドマーネAL)』と『EMONDA ALR(エモンダALR)』の2種類があります。
最初のロードバイクとして選ばれる事の多い2つのモデルですが、今回はカタログスペックの近いDomane(ドマーネ)AL5とEmonda(エモンダ)ALR5の違いをまとめてみました。ロードバイク選びのご参考にご覧ください。
はじめに:トレックの名前表記について
トレックの車体名の表記は一定の法則性があります。まず最初にバイクの名前があります。『Domane(ドマーネ)』と『Emonda(エモンダ)』がそうです。
次に素材・品質レベルです。 ALが素材のアルミニウムを表します。Rがつくとよりグレードの高いレースを意識したフレームになります。カーボンフレームだと”SL”、”SLR”という表記になります。
最後にスペックのグレードが数字で表記されています。『5』は105コンポが搭載されています。数字が大きいほどパーツのグレードが上です。
これらの3つの表記を組み合わせてバイクの名前が出来上がります。
Domane AL 5とEmonda ALR 5の違い
両モデルにはどんな違いがあるのでしょうか。スペック表を確認した所、ほとんど同じパーツで構成されていました。その中で違いがあるのは4点になります。
-
フレーム
Domane ALのフレームは100アルファアルミニウム、EMONDA ALRのフレームはウルトラライト300アルファアルミニウム
-
タイヤサイズ
ドマーネは700×32Cサイズのタイヤ、エモンダは700×28Cサイズのタイヤ
-
ボトムブラケット
ドマーネはスタンダードなJIS規格のねじ切りボトムブラケット、エモンダは大口径のT47規格のねじ切りボトムブラケット
-
ハンドル
ドマーネはエリートIsozoneハンドル、エモンダはコンプハンドル
ハンドルに関しては製造時期によりスペック表記の違うものが付いていたりしますが、ハンドル上にクッションが搭載されているかどうかの違いが両モデルにはあるようです。
フレームの違いを詳しく解説
同じアルミフレームでも種類や製法の違う2つのモデル、更に詳しく見ていきましょう。
-
重量
両モデルのフレーム重量の公表はしていませんが、パーツがほぼ同じ事やタイヤサイズ重量差を考慮してもその差は約600gはあります。これがフレームの重量差と考えて良いでしょう。
-
ジオメトリー
ドマーネはエンデュランスジオメトリーを採用、スタックが高く、リーチが短いのでアップライトな乗車姿勢になり、ホイールベースも長いので安定した走行が可能です。エモンダはH1.5ジオメトリーを採用。マドンをはじめとする上位モデルのジオメトリーを採用してドマーネよりも前傾姿勢が深くなるので空気抵抗を抑えたり、ヒルクライムに向いたポジションが可能になります。ホイールベースやチェーンステーがドマーネよりも短くなるのでより反応の良い動きが可能です。
-
アルミの素材
トレックはアルミフレームロードバイクに100アルファアルミニウム、ウルトラライト300アルファアルミニウムと2種類ありますが、使用されるアルミ合金の種類(番手)は公表していません。メーカーに確認しましたがカタログスペック表記以上の事は教えてくれませんでした。両モデルには重量に大きな差がある事からアルミの種類が違う事は明らかでしょう。
-
製造方法
100アルファアルミニウムにはキャリアやフェンダーを取り付ける為のダボ穴が設置されています。加工しやすいアルミ素材の特長でもあります。
一方300アルファアルミニウムのフレームには溶接痕をそぎ落とす仕上げ処理がされており、軽量さと強度を確保しています。強度が高く、軽量なアルミほど加工が難しく、コストが高いとされています。
フレーム内部を徹底比較!
DomaneとEmondaの両モデル、確かに持ってみると重量差は感じるもののイマイチ違いがわからない・・・という訳でフレームをカットしてみました!
こちらがカットしたダウンチューブの切断面になります。フレーム製造の年代は違いますが左が300アルファアルミニウムフレーム、右が100アルファアルミニウムフレームです。
- 100アルファアルミと300アルファアルミでパイプの肉厚が違う
- 100アルファアルミニウムの肉厚は1.4㎜。柔軟性と強度に優れ、ダボ穴の設置も可能。様々な用途に使用できるオールロードバイクフレーム設計。
- 300アルファアルミニウムの肉厚は1.2㎜、軽量になるが加工がシビア、強度の確保の為ダボ穴の設置は不可。ピュアレーシングフレーム設計
厚みはダウンチューブの一番太い箇所で計測しました。わずか0.2㎜の差ですが、アルミフレームの肉厚差で考えると大きな差です。アルミ合金の番手を変えて、それぞれに適した加工を施しているがわかります。
タイヤとハンドルの違い
ドマーネとエモンダの違いにタイヤサイズがあります。ドマーネは700×32Cタイヤ装備でフレームは最大38Cサイズのタイヤが装着できます。
Domane ALのフレームにはタイヤだけでなくフルフェンダー取付の為のマージンも確保されています。太めのタイヤやフルフェンダーを装着したい場合はDomane AL5が良いでしょう。
またDomane ALのハンドルには振動を20%吸収するIsozoneフォームパッドが組み込まれており手首の疲れを軽減します。
一方エモンダは700×28Cタイヤが装備されており。タイヤクリアランスも28C迄となっています。これはフレームのジオメトリーや設計思想で違いがあります。エモンダはタイヤクリアランスを狭い設計にする事で、より軽量で反応が良いフレームになっています。
ライドインプレッション:乗り比べてみた!
それでは両モデルを乗り比べたインプレッションをお届します。
インプレライダーは年間約15,000㎞、全国各地を走破し、ドマーネSL6を乗り込んだ多摩センター店の森田です。ドマーネAL5とEMONDA ALR5の52サイズモデルを試乗して感じた事をまとめてみました。
Domane AL 5のインプレッション
- 重量を感じさせない加速感がある。時速30㎞までの巡行であれば楽にこなせてしまう。
- フルカーボンコラムでハンドルの操舵性が軽やか。乗り心地の良さに繋がっている。
- 振動の少なさと楽なポジションで長距離の走行に向いている。
- 登坂性能はエモンダには劣りトルクフルになるが、後ろに引っ張られるような重い意識を感じさせるほどではない。
- ストップ&ゴーの多い市街地の通勤や普段使いに良いと感じた。
Emonda ALR 5のインプレッション
- マドンをはじめとするレーシングバイクの乗り味を落とし込んでいる。30㎞以上の速度域でも安定して走行出来る。
- 軽量アルミになりがちなガチガチな硬さは感じない。カーボンフレームに近い乗り心地。
- 軽い力で進んでいくのでヒルクライム向き、下りのコーナーも狙い通りに曲がれる
- ドマーネよりも前傾姿勢になるが、きつい乗車姿勢ではない。緩斜面でも平地と同じような感覚でペダリング出来る。
まとめ
いかがでしたでしょうか。Domane AL 5とEmonda ALR 5はアルミフレームの上質な乗り心地と上位スペックのパーツが搭載されており、どちらも優秀なロードバイクです。
Domane AL 5は楽な乗車姿勢で乗り心地が良く、様々なパーツが取付可能なフレームマウントがあり、普段使いからツーリングまで楽しめるモデルです。
一方Emonda ALR 5は軽量でエアロ効果の高いアルミフレームを採用し、アグレッシブなジオメトリーで休日のサイクリングはもちろんヒルクライム、レースまで対応できるモデルです。