ディスクブレーキパッドとローターの摩耗の点検と交換の目安

2019年2月18日by Shopify API
マウンテンバイクのみならず、クロスバイクやロードバイクでもおなじみの「ディスクブレーキ」は、ブレーキ本体のパッド消耗の確認を怠ると、ブレーキの効きに影響が出たり、ブレーキパーツにもダメージを与えてしまう事があります。今回はディスクブレーキパッドやローターの摩耗や消耗についての注意点についてまとめてみました。 ディスクブレーキモデルの乗っている方も、これから乗る予定の方も要チェックです。

ディスクブレーキのパッドとは?

一気に普及の進んだスポーツ自転車のディスクブレーキ。ブレーキパッドの減りに気づかず乗り続けているとブレーキパーツが破損してしまったり、結果として思わぬ事故やケガなどにつながることも考えられます。
ディスクブレーキ本体から取り外したディスクブレーキパッド ディスクブレーキ本体から取り外したディスクブレーキパッド。車やオートバイでも使われる構造ですがスポーツ自転車用に軽量小型に設計されている。
通勤や通学など雨天を挟む走行であったり、下り坂でのの制動、そしてこちらも普及がすすむ電動アシスト車(Eバイク)など車体重量があるものであればブレーキの負担もより大きくなります。定期的な摩耗のチェックと交換作業が必要となってきます。

コンパクトなブレーキパッド

スポーツ自転車用ディスクブレーキパッドの大きさ パッド部分は3cm×2cm程度くらいと非常にコンパクトにできています。
ディスクブレーキの本体部分の中にセットされているのが「ブレーキパッド」。ブレーキブランド各社によってパッドの形状は異なり、また同じメーカーブランドでもブレーキの型式によって異なるケースもあるので取り換える際にはブレーキ本体に対してパッドの互換性があるかどうかチェックが必要です。
摩耗したディスクローター ディスクローターもパッドと一緒に削れていくので交換が必要なパーツ。
パッドが挟む円盤状のパーツを「ローター」と呼びます。一見丈夫そうに見えますが、パッドとの摩擦で少しずつ金属部分が削り取られ、痩せてしまうことで交換が必要となるパーツです。

ブレーキシューとディスクブレーキパッドの違い

ゴムでできているVブレーキ用のシューと厚みをそれぞれ比較してみました。ノギスで計測してみましたが、改めてディスクブレーキ用のパッドの小ささがお分かりいただけるかと思います。パッド部分の厚み部分は2mmとなっています。
ブレーキパッドの新品の厚み パッドを受けるベースを含めても4mm弱と薄いディスクブレーキパッド
vブレーキシューをノギスで計測する様子 Vブレーキシューのゴムの方がパッドよりもかなり厚みがある。
なお、パッドの使用できる範囲はシマノの場合だと0.5mmまで、なのでパッド全体の75%(1.5mm)以上消耗していれば交換のタイミングです。
ディスクブレーキパッドシマノ製品の交換のタイミング パッド厚が0.5mm以下なら交換が必要。シマノの取扱説明書より抜粋
なお、消耗のタイミングについては何キロくらいという目安が実はありません。 乗る方それぞれで体重や荷物の重さも異なること、晴れの日しか乗らないのか雨の日に走行するかという違いでも消耗するスピードが変わってくるからです。 ですので実際にパッドがどのくらい減っているかを実際に確認するのが確実な方法と言えます。

案外気づきにくいディスクブレーキパッドの摩耗

ブレーキ構造がコンパクトなのでパッド摩耗が目立ちにくい

上記のようにパッドが小さく、またブレーキ本体の中に装着されているブレーキパッドは目視で摩耗が判別しやすい一般的なブレーキシューと比べ、よくよく注意して見ないと消耗の度合いが判断しにくい特徴があります。
前輪を外した状態のブレーキキャリパー 前輪を外した状態で撮影。ディスクブレーキ本体は非常にコンパクトなつくり

油圧ディスクはブレーキの引きしろの変化が少ないので要注意

ディスクブレーキのレバーを握る様子 パッドが減ってもピストンが押し出されて引きしろが補正されるので摩耗による握った感覚の変化が少ない。
そして摩耗に気づきにくい特徴がもう一点あります。油圧ディスクブレーキはブレーキレバーを握ったさいの握りしろがブレーキパッドの摩耗に関係なく一定となるよう設計されています。 そのため新車の状態であってもある程度使いこんだ状態であってもレバーの引いた際の変化がほぼありません。ブレーキパッドが減ったことに気づきにくいのです。 ワイヤー式の一般的なブレーキであればワイヤーのなじみや伸び、そしてブレーキシューが減る事のレバーの握りしろが大きく変化するのとは対称的です。

ブレーキパッドが摩耗しすぎるとどうなる?

思ったよりも摩耗が進むブレーキパッド

新品と消耗したディスクブレーキパッドの比較 新品と摩耗が著しいものとの比較
今回クロスバイクなどでよく使用されているシマノのブレーキパッドを用意しました。手前が新しいもの、奥が摩耗しきったものを比較しています。 奥のパッドは使用できる範囲を大きく超えてベース部分の金属まで削れてしまっている状態です。 摩耗に気づかず乗っているとこのようにパッドの本来使える限界を大きく超えてしまうケースも出てきています。
摩耗したパッドは消耗限界を超えて土台の金属のベースまで削れた状態

ブレーキ本体やローター等の修理も必要になることも

なお、上の写真のようにパッドが無くなった状態でブレーキをかけ続けると、それを受けるローター側(ディスクの部分)も無事ではすまなくなってしまいます。 写真のようにこちらも大きく削られてしまっており交換が必要な状態となっていました。
使用で摩耗してしまったスポーツ自転車のローター 金属同士での摩擦ですり減ってしまったローター部分
見た目上はまだ使えそうにも見えますが、シマノの場合ローターの厚みが1.5mm以下になるかアルミ面(放熱性を高めるため複数の金属を貼り合わせた構造のものも存在します)が出てきてしまった場合は使用を中止するように説明書に明示されています。 使い続けるとローターの強度不足でブレーキング中にローターが割れてしまう可能性があり危ない状態です。
ディスクブレーキのパッド押さえバネの破損 手前のバネはローターと接触したことで先端部分が破損した状態。後ろ側が正常なもの。
左右のブレーキパッドの内側に装着されている「パッド押さえばね」というパーツです。 パッドが想定よりも消耗してしまった事でパッド押さえバネがローターと干渉し引っかかる事で変形、破損してしまった状態が手前側です。

想定外の摩耗は思わぬ事故やケガにつながる

ちなみに交換しないまま乗っているといざという時にしっかりブレーキが効かないなどブレーキの性能が維持できないだけでなく、ローターやブレーキ本体など思わぬ部品の消耗、破損など乗車中の事故やケガにもつながりかねず大変危険です。

普段と異なるブレーキ音がしたら要注意

なお、走行中やブレーキ中に普段と異なるブレーキ音がした場合はパッド消耗に起因する場合やブレーキ本体やローターのオイル漏れ、油分の付着など調子を崩している場合もあるのでまずは目視でのセルフチェックをぜひおすすめします。 油圧ディスクブレーキが装着されたクロスバイク なお、異常が把握できない場合は販売店など最寄りのスポーツ自転車専門店でチェックをお願いしましょう。
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Discブレーキのパッド摩耗の交換のタイミングは?

ブレーキキャリパー内のパッド残量を目視でチェックする

ではパッドの消耗はどのように判断すればよいのでしょうか? 少し見づらいですが乗車前などにブレーキパッドがどのくらい消耗しているか目視でチェックすることがおすすめです。 パッドが奥まって見にくいので懐中電灯やフロントライトを外してパッドの厚みがどのくらい残っているか確認してみましょう。
ライトを当ててパッドの厚みのチェックを行う様子 ライトを当ててパッドの厚みのチェックを行う。

前後の車輪を外すと確認しやすいが注意点も

車輪を外すとよりパッドの摩耗の状況が判別しやすくなるのでおすすめです。ただし外した際にブレーキレバーを誤って握りこんでしまうとピストン部が押し出されてしまって車輪を取り付けることができなくなってしまうので作業の際注意が必要です。
車輪を外したブレーキキャリパーの様子 車輪を外した状態でブレーキを握るとパッドが押し出されてしまい車輪の取り付けを行えなくなってしまう。

ブレーキパッド以外の消耗品もチェックしておきたい

チェーンやタイヤ、ワイヤー類も消耗もチェック

今回ブレーキパッドやローターの消耗をメインに取り上げましたが、自転車で走る事で消耗する部分は各所に存在します。タイヤがどんどんすり減っていくのと同じようにワイヤー類やチェーンなども定期的に状態をチェックして必要あれば交換する必要があります。
シフトワイヤーが破断した様子 ブレーキ以外にもタイヤ・チェーン・ワイヤー類など消耗する箇所が存在する。

油圧ブレーキのフルードオイルも定期的に交換を

油圧ディスクブレーキの場合であれば、ブレーキ内のフルードオイルも交換が必要です。ブレーキ内に空気が入る事で動きに異常が発生することがあったり、ブレーキを使うことで制動する際に熱が発生しますが熱によるフルードオイルの劣化、また経年による劣化も発生します。

心配であればスポーツ自転車専門店でパッドの状態のチェックを

いかがだったでしょうか?非常に機能的な油圧ディスクブレーキですがメンテナンスが不足することにより、パーツ破損や思わぬ事故やケガにつながる可能性もあるので、常日頃チェックをしておきたいものです。
スポーツ自転車の消耗状態は自転車販売店でチェックを ブレーキ以外の消耗品も問題が発生していないか定期的にチェックを行いたい。
消耗の状況の判断がつきかねる場合はスポーツ自転車を扱うプロショップにて点検整備を依頼しましょう。