幾度となく通ったDH系トレイルの登坂にEマウンテンバイクで初挑戦!

2020年2月12日by 所沢バイクプラス
10代から幾度となく通ったダウンヒル系のトレイル。そんな楽しい長いくだりが続くトレイルの登坂に40半ばにしてまさかの初挑戦! 持っていったバイクは国内でもにわかに盛り上がりつつあるeMTB! 果たしてどれだけ登れてどれだけ乗りこなせたのか!?

行ったトレイルは私の原点とも言える馴染みの場所

あれは高校1年のゴールデンウィーク。初めてここに訪れた時の相棒は人生で2台目となるMTBでH社のクロモリ。今でこそ当たり前になったサスペンションフォーク"Rockshox"が産声を丁度あげたかどうかの頃なので、もちろん愛車はフルリジット。しかもブレーキは全然効かないカンチブレーキとUブレーキ。

今でも残っているその時のライドの思い出はと言うと・・・

目線はブレブレのガタガタでどんなにレバーを握っても減速できず転ぶまでは止まれない...序盤にしてすでにハンドルを握る握力は残っていない(涙

あーーーーー!! ドッカーン!! バキバキッ!! 痛ってーーーー!!! ウワッ鎖骨折れた!? 肩いてーーー!! ヤベッ自転車大丈夫??? ウオーーーハンドル明後日向いてるよ!!

と・・・こんな記憶です。

当時のMTBは今のバイクからは想像もできないくらいの性能でした。 その後C社、G社、S社、R社、T社など北米メーカーを十数台乗り継いできました。 フレームはクロモリからアルミ、カーボンへと性能アップ。ブレーキはカンチからV、油圧ディスクブレーキへと進化。

サスペンションもナシから、前70mm、前後120mm、前だけ140mm、前後150-160mmへとパワーアップし、バネ素材もコイルからエアーへとグレードアップ。 ホイールサイズも26インチの1.9から2.3、29インチの2.3、2.6に巨大化。リム幅もフレームのエンド幅やハブ軸の径も今も進化を続けています。

振り返るとバイクを購入する度にほぼこの場所にくだりに行っていました。ここは機材の進化の具合を楽しむ私にとっての原点のような場所なのかも知れません。 そんなお気に入りの場所で今回もまた最新機材の性能を楽しむライドをしてみたくなったわけです。

ただ、いつもと違う点は「初めて登ってみる」ことと、欧米で大旋風を巻き起こしている「電動アシストMTB(e-MTB)Eマウンテンバイク」であること。

頭を離れないのが、果たしてeMTBは誰のための遊び道具なのか?ということ

...ちなみにですが、私は機材の進化と軽量化に反比例するかのように心肺機能や柔軟性、体力はもちろん、視力までもが退化、体重においては目下記録を更新中ときたものです。いかにもeバイクに飛びつきそうなタイプの代表格であります(笑

というわけで、満を持して、この男が、このバイクで、このトレイルで、登坂ライドをしてみよう‼️という展開になったわけです。くだったことしかない、登ろうなんて今まで一度も考えこともない、このくだりが長くて楽しいトレイルで「登るだけライド」を(笑)

果たしてeMTBは誰のために作られたモノなのか?その結論を探しながら...

登れる気にさせられたeMTBはこちらのバイク

トレック レイル9.7 Eバイクの画像 前置きが長くなりましたがこちらが今回使用したeMTB(eマウンテンバイク)TREK Rail 9.7(詳細紹介ページ)。どれだけ走れる気にさせてくれるワクワクするバイクなのかご紹介します。

マウンテンバイクとして考えると重めの20kgオーバーですが、純粋なアシスト関連パーツでの重量増は、バッテリーパックが2.8kg、アシストモーターユニットが2.9kg、合計で5.7kg。

この5.7kgの車体重量増こそ、eバイクをeバイクたらしめるための機能と性能の証しだぜ〜!

たいしてこぐことなく下りだけを楽しんでいれば良さそうなバイクですが、そんなに重くしてまで装備させたいeバイクの機能性能は一体どんなものか???期待が膨らみまくりです。

海外のインスタやYouTubeでeMTB動画を毎日のように観てきた結果、余裕の表情でヒョイヒョイと激坂を登り森林限界を超え、目の前に広大な自然が飛び込んでくるような、刺激的かつ爽やかなアクティビティのイメージを持ってしまっています。

そんな妄想も手伝って、電動アシストというズルイ道具を手に入れたことで、俄然やる気が出てきて、出来る気になってしまった自分(笑 重さには正直不安を隠せませんが、そこはアシスト機能分だから問題なし!! 普通のMTBで自走で登れる体力も技術もなく、今まで一度たりとも登ろうと思ったことがないこのトレイルの登坂にeMTBでチャレンジです!

いろんな意味でその重みを噛み締めながら!?

ライドはのっけから超興奮!! アシストモードを制する者がeMTBライドを制す!?

ヘルメット上のカメラから撮影した細いシングルトラックの登りとeMTBの前輪とハンドル部分の写真 スタート直後からアシストのパワーの強さや反応に驚き、しばらくはその機能に振り回され、瞬時に働くアシストパワーにカラダが後傾気味になりターンが間に合わなかったりギャップごえのテンポがずれたりと、毎日平地で乗ってはいるのですが付き合い方が分からず試行錯誤が続きました。

自転車に振り回されている感じは今までに経験したことがなく楽しかったんですが、テクニカルな登りはアシストを手に入れたところで難しいものに違いはない、アシストがあるからって巧くなったわけではない!と、悟りました(笑

eマウンテンでの登坂は路面状況にあったアシストモードの選択がカギ

テクニカルなトレイルの登りでは一般的に、低速でのスタンディングスキル(前後左右のバランススキル)が必要となります。 勾配や路面状況によって、上体の前傾具合やサドルの座る位置などに変化を加えながら後輪と前輪への荷重をバランスし、前輪が浮いたり後輪が滑ったりしないよう前後のバランスに神経を使いながら横にフラフラしないよう、真ん中に乗る。

そして真ん中に乗りながら一定のトルクで足を回すペダリングスキルと適したギアを選択するシフトチェンジスキル、それに前輪を狙った場所に向かせたり持ち上げたりするスキルが必要です。 浮いた岩や倒木、落ち葉に埋もれた根っこや岩、ウネウネ曲がりながらも断続的に続く大小様々な段差...かなり苦労しました。

細いシングルトラックであればあるほどラインどりに失敗が許されない、eMTBでなくても難しい路面です。

テクニカルな路面ではアシストのパワーに頼らない方が登りやすい

 

路面によっては踏み込みすぎるとアシストが働きすぎて後輪がスリップしやすいく、急激にアシストが働かないように踏み込むのではなくとにかく足を回すことを意識すること、踏み込みんだ時のアシストが働くタイミングと自分がペダリングでイメージしているタイミングとのズレへの対応に悩まされました。

eMTBの場合は、普通の登りスキルに加えて「路面や速度にあったアシストモードを選択し、そのモードに適したパワーでペダリングするスキル」と「アシスト加速のタイミングでも重心位置をキープするスキル」、「アシスト加速に影響されない(もしくは上手に利用する)ホイールリフトスキル」なんかが求められる気がしました。

これがeMTB特有の登りの楽しさでもあり、なんだかものすごく刺激的ではあったのですが、テクニカルな路面ではアシストを活用できた気がせず、全然うまく登れた気がしていません。

むしろアシストに振り回された感じです(笑)

ちょっとしたギャップを乗り越えるために前輪を持ち上げようとペダリングをするとアシストがノンアシスト車のタイミングより若干遅れて働き瞬時に加速するeMTB特有の挙動にとにかく四苦八苦しました(笑

踏み込んだ後にアシストがかなり伸びるターボモードは、ほんとテクニカルな登りでは扱いが難しい。。。

で、下手なりに導いた結論は...

ペダリングのタイミングや力加減が重要なテクニカルな路面では反応がペダリングの感覚に近いemtbモードを使ったり、アシストがかかりすぎないようにecoモードにしたり、思い切ってオフにしてしまった方が車体をコントロールしやすい!ということ(笑

今回のライドでは前半が崖っぷち過ぎて恐怖心が先行してしまい押し歩きが多く、中盤はさほどテクニカルではなくアシスト全開でパワーで登っていけて、後半は積雪でにっちもさっちもいかずだったので、テクニカルな路面でのアシストとの付き合いかたがまだイマイチ掴みきれませんでした。

(楽をしたくてターボに頼りすぎるとかえって苦労します)

テクニカルな路面では正直乗りこなせた感はゼロです...。まあもっとも、普通のMTBでも乗りこなせるのかと言われるとムリだったと思います(笑

難しい路面もターボモードのアシストパワー任せにガーっと登る...なんていうことを少し期待していましたがテクニカルな路面ではほぼムリでした。。

比較的楽に登れる長い登坂はトコトンアシストに甘えろ! アシストのパワーに踊らされ、こがされてしまっては呼吸を忘れ酸欠状態になる(笑

低速では足を回せば回すほどアシストがどんどん働き激坂でもぐんぐんと加速していきます。もう楽しくて楽しくて仕方ありませんっ!
トレイルの登りをeバイクでこいで登るgifアニメ タイムラプス撮影の設定秒数とペダリングのタイミングがぴったりで全然漕いでいるように見えませんが、こいで登ってます(笑
ちびマリオからスーパーマリオに変身した気分です。 最高です、最高。 トレイルの登りをeMTBでこいで登るgifアニメなのでそんな自分の登坂速度に興奮しどんどん足を回してしまう始末。するとあっという間に無酸素運動状態に陥り、気がつくと息が苦しくて苦しくて(笑)

 

パワーアップした自分が楽しくて何度も何度も心肺能力の限界を超えて登ってしまいバタンと倒れこんでゼエゼエハアハアゼエゼエハアハア。パンク修理用のCo2ボンベよりも酸素缶が必要でした(笑

余裕で登れてしまう難易度が低い路面の長い登坂は、普通の自転車での長い登坂と同じで呼吸を意識することがとても大事です。

自分の力量を勘違いする、そんなeMTBがまた楽しい♪

呼吸を意識しながら無理のないペースで淡々と登っていくべきなのはアシストがあろうとなかろうと変わりません。アシストが効いていて速く登れるからといって頑張りすぎずペースを維持する我慢が肝心です。

(と言っても、やっぱり相当ラクでした! さすがeMTBです)

「アシストを活かす走り」がここでも大事になってきます。 ちなみに、スキルも体力もある人ならアベレージスピードがアシストのおかげでさらに上がるのでより刺激的で楽しいライドになることでしょう。

Walkボタンよ誤作動してくれ〜!!

 

乗ってクリアできないような岩場や段差の登坂はただのお荷物!!

乗って超えられない、押したり持ち上げたりしなければならない大きな段差や岩場、超急勾配ではこれがホントにただただ重い!! 私が今までメインで乗っていたFuelEXの倍近い重量なのでとにかく重い!!

 

ボッシュ電動アシストのコントローラーには、押し歩きするときに補助的に自転車を自走で進ませることができる「Walk」というボタンがあるのですが、日本では法的に電動アシスト自転車ではなくなってしまうためその機能が使えないようにプログラムされています。

ヒイコラヒイコラ言いながら押して登っているとそのボタンがチラチラと見えるんですが、それがまた腹立たしい。いつものダウンヒルライドでは全く気がつきませんでしたが、いざ登ってみると押し歩きしなければならないエリアが想像以上に多く、正直重たかったです。

他国で使えてなぜ今ここで使えないんだーーー!!と、ボタンの存在がさらに重さに拍車をかけることに(笑

eMTBの感想はこの辺まで、後半は写真メインでライドをお伝えします。

吹き溜りにつもりに積もった落ち葉。迂回すればいいものを一番深そうなところを進んでみたくなる(笑
深い落ち葉に埋もれたTREKレイル9.7電動アシストマウンテンバイクの写真 表面的には難易度が低いなんてことはない路面に思えた場所でしたが、後輪が落ち葉の中でちょいちょい空転しなかなか前進できない場所があり、しまいには前輪が落ち葉に隠れた何かに突っかかり停止。

...自転車を降りてみるとビックリ仰天。80cm近くあるハンドルの半分が落ち葉に埋もれてしまいました(笑 こ

ういった場所ではアシストモードをeMTBモードではなくエコやツアーモードにすれば乗れたかも...と思ったりもしましたが、停車して寝っ転がってみたりして落ち葉と戯れる方が楽しめます。

音はカサカサですが座るとほんとフワフワでした。

eMTBモードで息が上がらないようにペースを抑えながら黙々と登る

eマウンテンバイクでトレイルを登っている様子 落ち葉の下には浮いた岩や枯れ枝、泥濘、深い霜柱、残雪が隠れていることも。無駄に神経を使う場所は避け比較的安定した路面を選んでアシストのパワーを頼りに登っていきます。 枝打ちをした杉の枝葉が無数に転がっているトレイルを進むeバイクTREK Rail 9.7の写真 ちょうどカメラを設置した場所あたりが急勾配だったんですが、反応の良さとパワーの強さが違うeMTBモードアシストのおかげで楽勝でクリア! 枝打ち直後の場合は枝を巻き込んだりしてドライブ周りやスポークなどを壊しやすいのでいつでもすぐに止まれるくらいの速度で注意しながら走行します。 枝打ちをした杉の枝葉が無数に転がっているトレイルを進むeバイクTREK Rail 9.7の写真2 いつもなら気持ちよくくだっている場所も今回はダラダラとした登坂(笑 e-MTBでひたすらトレイルを登り続ける様子 ですが、一定のリズムで呼吸を意識しながら登っていけばeMTBなら登りも余裕です。 eマウンテンバイクで黙々とトレイルを登っていく写真 アシストがないと死に物狂いでのペダリングになっていそうな場所でもアシストを活かした我慢のペダリングをすれば笑っちゃうほどにグングンと登っていきます。 標高が上がるにつれて雪が残っている場所が増えてきました。 以前積もった雪が少し残っている道を前に一休みするeMTBライダーの写真 雪の上は、人の足跡、他のマウンテンバイクのタイヤの跡、鹿の足跡など色々と残っています。 キシキシという雪を踏み締める音も久しぶり。 積雪も多く凍っていて購買もあるためこいで進むことが困難になり押して歩くeMTBの写真 ツルツルと後輪が滑ってグリップが抜ける感覚が楽しめるのは積雪シーズンならではですが、ここまでしっかり積もっていると後輪が滑ってなかなか大変(汗 たまらず滑って転倒 完全に進まなくなってそのまま転倒(笑 この先山頂まで急激に標高を稼ぎながら細くて険しい道のりが続くんですが、雪もありライドできた場所はほんの少しでした。

ビンディングシューズで歩きにくいわ、靴下までビッチョビチョで冷たいわ、車体が重たいわ...雪の上を20kg超の自転車を押してビンディングシューズで歩いて登るのが一番辛かった!!

フルサスeMTB TREK Rail 9.7で登りだけのトレイルライドをやってみて思うこと

電動アシストスポーツバイクにもっともハマるだろうと思われている「運動不足だけど元々自転車で遊ぶのは好き。体が全然ついてこないけど昔みたいにまた自転車で遊びたい。」という夢見る中高年男性(の比較的若い方)を代表し、岩や倒木、落ち葉や枯れ枝、残雪や凍った地面、それに激坂と、なかなかヘビーなトレイルでカラダを張って遊んで来たわけですが、

eMTBは一体誰のための遊び道具なのか?の答えが少し分かったような気がします。

欧米でのeバイクの普及は、体力に自信がない人や年配の方から広がりを見せたようですが、ラクが出来るだけでなく、自分の体力で今までよりもずっと速く遠く高くまで走れることへの達成感や刺激的な走りから広がりを見せ、今ではスポーツサイクリングの1つのカテゴリーとして、様々な年齢や体力の方が所有し思い思いのサイクリングを楽しんでいます。

MTBのレースではeMTBカテゴリーがあったりするくらいです。

今回eMTBでトレイルを登り倒して・・・

アシストというだけあって普段苦だったことを少しラクが出来るようにする補助器具的な捉え方をしがちですが、そういう側面だけではありません。年齢や体力に応じて必要か不必要かを考える対象ではなく、全てのひと一人ひとりの限界を広げてくれる、刺激な遊び道具であり、とても夢のある乗り物だ!!

・・・という考えに至りました。 トレイルの激坂ではアシストの挙動そのものが一つの楽しいアトラクションです。 欧米ではそういう部分が評価され、元々スポーツとしてサイクリングを楽しんでいた層にもスポーツやアクティビティの道具として受け入れられてきたのではないでしょうか。

私も実際eMTBを手に入れたことで、若く体力があった頃ですら一度もチャレンジしようと思わなかった長いトレイルの登りを登ってみたくなってしまったわけです(笑

eバイクは原動機付自転車ではなく、こがないと進まないアシスト機能付きの自転車なので、体を動かした疲労感や充実感は距離や運動強度に応じて感じることができます。今回のライドは正直疲労困憊ですが(笑

eMTBがようやく国内で手に入れることが出来るようになったから、自分に出来るわけがないと鼻から諦めていたライドに出かける気になりましたし、(歩きも多かったですが)完遂も出来ました。久しぶりに感じた刺激、楽しさ、面白さでした。

そう、eMTBなら・・・

  • 気持ち的にもアシストされている感じがあってとにかく自転車で出掛けたくなる!

  • サイクリングを諦めていたひとにもサイクリングが身近になる!

  • サイクリングをするためにカラダを鍛え直すほどの根性や時間もない人でも楽して本格的なサイクリングを楽しめるようになる!

  • 登りが苦手だった人が限界を超えてさらに高いところに自分の足で到達出来るようになる!

  • 10kmのサイクリングも苦だった人がもっともっと走れるようになる!走ってみたくなる!

  • 自走で登ったらダウンヒルする体力がなくなることを理由に車でピストンしていたトレイルで登りも下りも楽しめるようになる!

  • 稲城のスマイルバイクパークまでなんだかんだ自走でいけるようになる!

・・・こんな感じで世界が広がるんです!

 

時速24kmでアシストが切れるので時間的にも距離的にもオートバイツーリングのようなスケールの「旅」はできませんが、eバイクなら、より多くの休憩や、より多くのSNS映え写真撮影、より多くの会話を楽しみながら、より多くの楽しいひとときや充実した時間に出会えるに違いありません。

eバイク、私のようなタイプだけでなく、様々なバックグラウンドをお持ちの全ての方にオススメです♪ 長い登り坂を効率よく進む電動アシストマウンテンバイクの写真

eMTB、気持ちいいですよ〜!! ここはくだるともっと気持ちいいんですけど(笑

 


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