ビンディングペダルのはめ方と外し方 慣れるための効果的な練習方法も

2017年5月13日by 三郷バイクプラス

ビンディングペダルは専用シューズを利用し、シューズとペダルを固定するものです。ペダルを踏むだけではなく、引き上げる、回す動作でも力を伝達できるので効率よく自転車を走らせることができるようになります。 こちらでは、代表的な2つのビンディングタイプの違いの紹介と、ビンディングペダル&シューズの着脱のメカニズム(という程のものでもありませんが)、実際にビンディングデビューする時の着脱の練習方法をしっかりとご紹介します。 慣れると一瞬でできる非常に簡単な動作ではあるのですが、実走行前に着脱の練習は絶対にしておいた方が身のためです!

ビンディングペダルの種類

ビンディングペダルは、コンポーネントメーカーのシマノから展開されているロードタイプ用ペダル(SPD-SL)とMTB・トレッキング用ペダル(SPD)が最もメジャーです。 これからビンディングデビューを考えているのであればシマノを選んでおけばまず問題なし!と言っても過言ではありません。

SPD-SL

SPD-SLペダル

SPD-SLペダル SPD-SLペダル(画像引用元:シマノ)

SPD-SLクリート

SPD-SL クリート SPD-SL クリート(画像引用元:シマノ)

SPD-SLタイプはクリートが樹脂でできていてペダルの踏み面が広く大型だけど軽量、力の伝導が良いので漕いでいる時のロスが少ないのが特徴です。片面のみの設計なのでペダル自体も軽量で、シューズとの固定力も高くなっています。

SPD-SLシューズ

SPD-SLシューズにクリートをつけた写真 SPD-SLシューズにクリートをつけた写真

ペンギンのような歩き方になる ペンギンのような歩き方になる

地面に立つとクリートが地面に直接接地します。クリートの厚みで少し足首を曲げた状態になります。ご飯、トイレ以外に歩くことが多くなる方には若干不向きです。ロードバイクで走ることを目的としている方にオススメのペダルです。 また、コンビニなどのお店の床で滑りやすいので最初は注意が必要です。

SPD

SPDペダル

SPDペダル SPDペダル(画像引用元:シマノ)

SPDクリート

SPD クリート SPD クリート(画像引用元:シマノ)

クリートが金属で頑丈、小型にできていて、ペダルも泥が詰まり難い構造になっています。MTBでのトレイルライド向けのペダルは裏表両面がビンディングになっていて、オンロードユースのペダルは片面になっています。

SPDシューズ

SPDシューズにクリートをつけた写真 SPDシューズにクリートをつけた写真

クリートが直接接地しない クリートが直接接地しない

またトレイルライド向けのシューズは登山靴のような深いトレッドがあり荒れた路面でも滑りにくくなっています。泥詰まりしないようにクリートが直接地面に接地しにくい構造になっているのも特徴です。 SPDシューズはMTBでのトレイルライドはもちろん、歩行による移動も含めたちょっとした散策やポタリングなどが目的の方にオススメのペダルです。 自身の使い方に応じて、使いやすい物を選択しましょう。

クリート(ペダル)とシューズの互換性:

SPD-SLは三本ネジ、SPDは二本ネジでクリートは固定されます。SL専用シューズにSPD、SPD専用シューズにSLのクリートは取付できません。稀に両タイプで使用できるシューズもあります。購入の際は注意してください。

ビンディングのメカニズム

ペダルの構造

自転車でビンディングというとイメージがわきにくいかもしれませんが、スキーなどのビンディングと基本構造はおよそ同じです。ペダル前方はクリートが引っ掛かるように設計されていて、ペダル後方は開閉式のアゴのような仕組みになっています。 踏み面後方のアゴのような部分の中心にネジがあり、そこで固定力(開放値)を調整できます。

クリートの構造

クリート先端はペダルに引っ掛かるように設計されています。クリート後方は上から踏み込むとペダルの開閉式アゴにツルリとはまり込みやすく、真上に引っ張っても外れにくく設計されていて、横にスライドするとアゴから解放されやすい形状に設計されています。 このような構造のため、嵌める時、外す時の動作は次のようなイメージで行います。

はめ外しのイメージトレーニング

はめる時のイメージ

つま先側を先に引っ掛けて、カカトを踏み下ろすことでペダル側のビンディングシステムに固定されます。ビンディングも足も宙に浮いている状態ではありますが、スキー板を履く時と全く同じ感覚です。

外す時のイメージ

つま先を軸にカカトを外に向かってひねることで安全にビンディングを解除することができます。スキーのビンディングが転倒時に自然解放されるメカニズムに似ています。

実際の動作の流れ

構造・はまり方・外れ方をなんとなく理解できたところで、もう少し詳しく実際の『はめ方』『外し方』動作の流れを説明します。 ペダルにクリートをはめる方法は、SPD-SLタイプとSPDタイプで基本は同じ動作です。

1)つま先でペダルの位置確認しつつ・・・

つま先をあててペダルを押す 上向きになっているペダルにつま先をあてて向きを確認

ロードバイク用のSPD-SLにおいてはペダルの仕組み上、後ろ側が重く上を向いています。ペダルの裏面はビンディングのシステムはないので、つま先でペダルの先を押していきます。 クランクの角度は写真のような角度(3時前後)が楽です。

2)ペダルとクリートの前側を合わせる

ペダルの先端にクリートをはめる シューズを前に移動させるとペダルの先の受けにクリートがはまります

つま先でペダルの先を押す動作をそのまま続けていると(と言っても一瞬の動作です)、クリートの先端のアゴのようになっている部分が自然にペダル広い穴に入り、クリートの先端部分がペダルに引っ掛かります。足の前後位置としては親指の付け根近くが引っかかるポイントになります。

3)押し込むように踏み込む

押し込むことでビンディングにはまります 先端が引っかかればそのまま押し込んでキャッチ!!

クリートが引っかかればあとは踏み込むだけ。カカトを踏み下ろすというより、ペダルの軸を押すように踏み込むというのがイメージとして近いでしょうか。ペダルに対してまっすぐ力を入れるとパチッと音がして固定ができます。

4)外す時は外側にひねるだけ

足を外側にひねると外れます つま先でターンするようにしてカカトをひねると外れます

もちろん上や真横には外れません。クリートのあるつま先側を軸にカカトをひねると外れます。押し付けながら回すようにすると簡単に外れますが、日常生活ではなかなかしない動きなので、走り出す前に繰り返し練習しておきましょう。

ビンディングペダル初心者によくある不安は意外と簡単に解消できる! ビンディングを外している様子 ビンディングペダルを使うにあたってよく聞く不安といえば『突然の時にペダルからシューズが外れないんじゃないの?』『止まった時に外れないでそのまま転ぶって聞くけど危なくないの?』など。 それは外す時にカカトを外側にひねる動作に慣れていないからであって、ちょっと練習して慣れてしまえば付け外しは簡単にできます。 焦らず余裕を持つ為にいくつかの練習方法をお伝えしますので参考にしてみて下さい。

ビンディング着脱練習方法

ビンディングを実際に嵌め外しする時は実際に漕いでいる時や漕ぎ出す時なので、一連の流れの中に『嵌める』『外す』の動作をスマートに差し込むことが肝心です。 ビンディングの実際の練習にはいる前に乗り降りの流れ振り返り、それをイメージしながら着脱練習を行うのがおすすめです。乗り降りの流れを先に整理したあとに、練習方法をご紹介します。

正しい乗り降り方法をおさらい

スポーツバイクは走っている時に適正な高さにサドルを設定しています。するとサドルに跨ったままで止まった場合、つま先立ちになるかならないかぐらいになるので不安定です。止まる際に正しく乗り降りすることが大切です。正しい動作に慣れるためにはスニーカーなどで練習をしておくのもオススメです。

漕ぎ出し

走り出す前に片足をペダルにはめている様子 まずはフレームにまたがって片足をペダルにはめてしまいましょう。

まずフレームにまたがって、片足を先にはめてしまいます。不慣れでも大丈夫。ペダルを見ながら焦らず、カチッと音が鳴るようにしっかり踏み込んで固定しましょう。この時はめる側に力を入れすぎて倒れてしまわないように、着地している反対側へフレームを傾けておきましょう。

走り出す前のペダルの位置 進行方向を見て、踏み出しやすい位置にペダルを引き上げます。

乗り方としては、サドルに直接座らずにトップチューブに跨ります。嵌めた側のペダルを力が入る位置に後ろ回しで引き上げ、踏み込みます。そのペダルに立つようなイメージです。そのまま一踏みしてスピードが乗って車体が安定してきたら、サドルに座ります。

停止

ビンディングを外す側を上にして降りる準備をする 着地をする側を上にしてビンディングを外します。

降りるときは止まろうとしている位置の20~30m前から降りる準備をします。ビンディングの場合、信号待ちなどで両足を着地することはほぼありません。着地をする足側のペダルを上にして外す準備をしましょう。

ブレーキをかけつつ外した足で着地する 片足は固定されたまま、外した方の足で着地します。

次に反対側(下側)のペダルに体重を乗せ、降りる側の足(上側)に体重が乗らないようにします。ブレーキをかけてスピードが落ちてきたら、前に足を出しつつ着地します。

信号待ち

車体から少し離すとバランスが取りやすい 着地する足を車体から少し離していくとバランスを取りやすくなります。

車体から少し離した場所に着地するイメージでいくと車体が安定して立ちごけしにくくなります。車体を真っ直ぐ立てようとすると、誤って反対側へ倒れてしまいかねません。 まずは広い公園など安全な場所で練習しておきましょう。そもそもスポーツ自転車はサドルが高くてまたぐのが大変・・・と思っている方も多いですが、ちょっとしたコツで乗り降りも楽になりますし、スマートに乗り降りできるようになれば気が散ることなくビンディングの練習ができるというもの。 乗り降りの方法は動画でもご紹介しているのでぜひ参考にしてみてください!⇒スポーツ自転車のスマートな乗り降り方法 さて、乗り降りをスマートにできるようになったらいよいよビンディングペダルにチャレンジです!

やりやすい方と苦手な方とあったりしますが、両足とも『嵌める』『外す』動作に慣れておいた方がよいです。野外で練習する際は、交通量のない広い場所で行いましょう。

固定式ローラー台を使った練習

ローラー台を使って練習している様子 固定式のローラー台を使えば安全に安心して練習をすることができます。

まだお持ちでない方がほとんどかとは思いますが、とにかく一番のおすすめはこちら。固定ローラーなら立ちゴケの心配なし!! 車体が倒れる心配がないので、じっくりとクリートをはめる感覚や外す感覚を身に付ける事が出来ます。 ビンディングペダルならではの引き上げる動きや効率の良い回転運動なども併せて練習することも可能です。

ビンディングスターターFITがおすすめ! バイクプラスでは、ビンディングシューズ&ペダルをお買い求めいただいた方限定で、ビンディングシューズの嵌め外しの練習に最適なメニュービンディングスターターFITをご用意しています。 料金には、ペダル交換工賃、クリート位置調整と取付工賃、サドル前後位置・高さ調整工賃などが含まれており、ビンディングデビューをトータルにサポートしています。 固定ローラー台で練習ができるのでとてもおすすめです。

壁やポール、フェンスなどを使った練習

壁を使って練習している様子 はめる側の壁などに手をついて、倒れないようにして練習しましょう

壁やポール、フェンスなどを使った方法のメリットは実際の走行中のはめ外しと同じ感覚で練習できる事です。固定式ローラー台の練習を行った方も、壁などを使った練習をしておくことをオススメします。練習をする時は片足ずつ行いましょう。 はめ外しを練習する足側を壁やポールになるよう位置取りをして練習すると転倒の心配がなく安心です。安全の為ヘルメットの着用も忘れずに!

最後に

嵌め外しができるようになっていざ路上で乗り始めた時にしばしば失敗が起きるのが、信号が変わって漕ぎ出し始めたタイミング。カッコよくスマートに嵌めることに意識が偏りすぎて、漕いで充分な速度にすることを忘れて嵌めようとし、なかなかはまらずに焦ってしまいバランスを崩し交差点中程で転倒…というケース。 自転車はある程度速度が出ていないとバランスを取ることが難しいため、低速で片足がペダルにくっついている状態だと転びやすいので注意してください。単独で転倒して恥ずかしい思いをするだけならまだしも、歩行者や他の自転車と接触してしまう可能性があり危険です。 不慣れなうちは、漕ぎ出してすぐに嵌めようとせず、元々くっついている方の足である程度漕いでスピードに乗せて、車体の充分な安定を保ってから、まだくっついていない方の足を落ち着いて嵌めるのがおすすめです。 外す時も停止位置まで充分ゆとりを持って外しておくと良いでしょう。 慣れればメリットばかりのビンディング、おすすめです!