県道223(ふじさん)号線で行く、河津桜サイクリング

2023年6月14日by 多摩バイクプラス

今年の河津桜はどのルートで行こう…

朝焼けの国道16号

 2023年3月、自分の中の恒例行事である"河津桜"の開花状況が気になる季節がやってきました!

いまや各地に河津桜の名所が生まれていますが、ワタシがめざすのはただひとつ!!本場伊豆半島の河津町!!!

ここ3年間、毎年コースを変えながら訪れてはおりましたが、そろそろ新しいコースをひねり出すのが難しくなってきたなぁ…などと思いつつ地図とにらめっこをしていると、ふと目に入ったのは西伊豆をショートカットするフェリー航路。

よくよく見てみると、静岡市の清水港から駿河湾を横断して西伊豆の土肥港を海路で結ぶ航路のようです。

しかもこのフェリー航路、道路として登録されているというのだから、じつに興味深い!!

ということで、今年の河津桜サイクリングは西伊豆からアプローチするコースに決定と相成りました(^_-)-☆

2022年の河津桜サイクリングブログはコチラ☞"乗り鉄と伊豆の河津桜はしごサイクリングに行ってきた"

西伊豆への玄関口、清水へ向かう輪行の旅

サイクリング当日は早朝の小田急線に乗車して、まずは小田原に向かいます。

この日はこのうえない晴天で、ときどき見え隠れする富士山に、ますます気分も盛り上がってきます♪♪

小田原駅で東海道線に乗り換え!朝ラッシュの時間帯でしたが、ここまでくると下り線は混雑もしておらず、輪行でもムリなく移動することができました。

東海道線清水駅ホーム

小田原駅から約1時間半、途中熱海駅で乗り換えが生じますが(JR東日本/JR東海の境界駅となっているため)、おおむね順調に乗り継ぎつつ、混雑に巻き込まれることもなく、下車駅の"清水"まで無事到着することができました!

清水港線の廃線跡を辿って港へ向かいます

清水駅前で自転車組み立て

下車した清水駅の駅前ロータリーはとても広く、ぐるっと見回して自転車を組み立てるのにちょうど良いスペースを見つけて、悠々と準備をすすめてゆきます。

清水港線遊歩道

準備ができたところでさっそくスタート!

駅から港に向かって走り出すと、すぐに自転車歩行者専用道があらわれたので、道に沿ってすすんでゆきますが、実はこの道の生い立ちは…

清水港線モニュメント

「旧清水港線遊歩道と申しまして、1984年に廃止された旧国鉄清水港線の廃線跡を転用した道路なのでした(^_-)-☆

 昭和30年代には日本一の黒字路線だったこともあれば、末期には一日一往復という、日本一旅客列車が少ない路線の栄誉?に輝いたりと、時代の流れに翻弄された路線だったようです。

清水港のテルファークレーン

さらに遊歩道(廃線跡)をすすんでゆくと、なにやら巨大な金属製構造物が現れました!

ここが『清水港駅(貨物)』のあった場所で、このおおきな設備は「テルファークレーン(テルハ)」というものだそうで、貨車と船の間で直接木材の積み込みをするためのもので、当時(1928年)としてはとても近代的な運搬システムだったそうですよ!

こちらは国の重要文化財に指定されていて、大切に保存されているように見えました。

それにしても美しい造形ですよねぇ…こういった産業遺構とか古いモノには目がないテツ店長なのでした❤

清水港からの富士山

清水港テルファーからもう少し走ったら、今回お世話になる『駿河湾フェリー』の乗り場に到着します。

ここまで正味2㎞ちょっとしかありませんでしたが、見どころが多くて個人的には満足度の高いプロローグではありました♪♪

駿河湾フェリーでしばし船旅を楽しむことに

駿河湾フェリー清水港乗り場

ということで、清水港のフェリー乗り場に到着!

ちょうどこの時期は『全国旅行支援』で、フェリー料金が半額になっていて、なんと!大人1名+自転車で¥1,400という格安料金で利用することができました♪♪

今回のサイクリングはこの半額が決め手になったというウワサもありますが、そこはあえて深く考えないことにしましょう(笑)

駿河湾フェリー車両デッキ乗船

乗船の手続きを終わらせたら、係員さんの誘導に従っていよいよ乗船です!

この日は河津桜の時期でもあったためか、平日にもかかわらず車両甲板は8割方クルマで埋まっていましたが、自転車はテツ店長含め2台だけでした…

駿河湾フェリー船内

自転車を車両甲板に固定したら、身ひとつで客室に上がってきました。

広々した客室は座席がメインでしたが、一部に座敷スペースがあったので、ここは迷わず横になれる座敷でスペースを確保してノビノビさせてもらうことに(笑)

駿河湾フェリー県道223号と富士山

10:35に清水港を出港してから土肥港までは70分の船旅。

出航してすぐにデッキに出てみると、さきほど同様の富士山が姿を見せてくれていたので、県道223(ふじさん)号の標識と一緒にパチリ!

駿河湾フェリーのたこ焼き

駿河湾フェリーに乗ったらぜひ味わっておきたい!それがデッキ上で営業している屋台のたこ焼き!!

船の上でいただく焼きたてのたこ焼きというのもまた一段と美味しく感じるものでして、これから先のキビしいサイクリングにも備えて、ここはしっかりと腹ごしらえをしておきましょう。

土肥からはドキドキの西伊豆サイクリングに突入!

土肥港の風景

70分の船旅は本当にあっという間(半分は横になって寝ていましたが…)で、到着のアナウンスと共に車両甲板まで下りて待つこと数分、自動車が下船したあとに悠々と伊豆の地に上陸を果たしました。

国道136号の菜の花

ここ"土肥"からは海沿いの国道136号を南下してゆきます。

3月の西伊豆は春爛漫で道中を色とりどりの花が迎えてくれました。

富士山の見えない恋人岬

走り出すとすぐに上り区間がはじまりました(汗)

勾配がそれほどキツくないのが救いですが、だらだらと上ること7㎞少々で『恋人岬』の看板が登場!

ちょっと疲れたのもあるし、今日は天気も良いからさぞかし景色も楽しめるであろうということで、さっそく寄り道してみましたが…

いつの間にやら厚く雲が張り出してきて、富士山の姿はいずこへ?

とりあえず、晴れた日の画像をみて想像で恋人岬からの眺めを楽しんで、ここはとっとと退散しましょう(笑)

 新鮮な海の幸でランチを漫喫

西伊豆町沖あがり食堂の入り口

恋人岬からはアップダウンしながら走ること13kmすこし、ちょうどお昼時ということで、西伊豆町の仁科漁港にある漁協直営の食堂『沖あがり食堂』に立ち寄ることにしました。

沖あがり食堂のメニュー

人気店のようでお店の外で行列をなしていましたが、ここまで来たらちょっとは美味しいモノを食べておきたいという欲求が勝り、並ぶこと15分くらいだったでしょうか?

メニューを見ての通り、こちらの推しは"イカ"ということで、ここは迷わずイチ押しの『いか様丼』をオーダー!!

沖あがり食堂のいか様丼

 席に通されるとまもなくお楽しみの『いか様丼』が出てきました♪♪

生と漬けの2種類の刺身が乗っただけの、シンプルといえばシンプルなメニューでしたが、イカの鮮度が抜群で歯ごたえが違うんです!!甘みもあってこれはイカ好き(ワタシのこと)にはたまらない❤

またしてもリピートしたいお店が増えてしまいました…

伊豆半島を西から東へ抜ける峠越え

那賀川沿いの菜の花

腹ごしらえが終わったところで、いよいよ今回のサイクリングで最大の?難所西伊豆から東伊豆への峠越えに向かいます!

とはいうものの、道中は春爛漫で目を楽しませてくれる場所が多くて、ついつい足を止めてしまいます(笑)

道の駅 花の三聖苑 伊豆松崎

松崎町に入り、県道15号(下田松崎線)を走っていると、またもや気になるものが目に入ってきました!

レトロな和洋建築が並ぶのは、「道の駅 花の三聖苑伊豆松崎」という施設で、こちらの「三聖会堂」は、幕末から明治期に活躍した松崎出身の3名の偉人や歴史などを紹介するための施設だそう。

私財を投じて公立の学校を建てたり、日本の近代化に貢献したとして、今も地域の誇りになっていることが伝わってきました。

バサラ峠のバス停

寄り道もほどほどに道の駅を出発すると、ここから5km少々が課題の峠越え区間です。

平均勾配は5%程度なので、ここは我慢してコツコツと標高を稼いでゆくと、間もなくトンネルが見えてきます。

そしてトンネルを抜けると『婆娑羅峠』に到着!!まあ実際の峠はこのトンネルの上ということで、"バサラ峠"バス停が唯一の目印だったりしますが、とりあえず峠は越えたようです(汗)

ちなみに"婆娑羅"とは、華美で飾りたてた風体や、派手で勝手気ままな様を表す言葉だそうで、今時だと「チャラい」ってニュアンスなのでしょうか?

でも、なんかカッコいい響きですよね(^_-)-☆

バサラ峠の湧き水

 峠には一息いれるのにちょうど良い水飲み場がありましたが、こちらは「大師の聖水」と呼ばれる湧き水で、一口含んでリフレッシュしたところで、ここからの下り区間に備えます!

山を下って河津の街へやってきた!

国道414号の河津桜

峠を下り、その後もアップダウンしながら東へすすんでゆくと、ピンク色の花を咲かせた河津桜がだんだんと増えてきました!

河津町への入り口

まもなくすると"河津桜まつり"の看板も出てきて、ようやく山場は越えたとホッとしながら河津の街中に入ってゆくと…

コロナ禍明けの河津桜は大賑わいだった…

峰温泉大噴湯公園入口

まずやってきたのは『峰温泉大噴湯公園』。

これまで何度も河津町までやってきていましたが、一度も立ち寄ったことがなかったので、興味津々でやってきたのでしたが…

河津温泉大噴湯のやぐら

「東洋一を誇る峰温泉の大噴湯」ってのもちょっとレトロな表現で好きですが、実際100℃の温泉を30mの高さまで吹き上げる自噴水という、じつはリアルに凄い場所らしい…

一日に7回吹き上がることになっているのですが、到着したのがちょうどその日最後の回が終わったあとで、現場を見ることは叶いませんでした(涙)

思い残しが出来てしまったので、これはまた次回の課題ということで…

河津川の河津桜並木

ということで場所を変えて、いよいよ河津川沿いの桜並木へやって来ました!

いやはや満開です(笑)、今回はちょうど満開に合わせてやってきたので、当たりまえといえば当たり前ですが、このタイミングに合わせて来るというのが何気にむずかしいので、今回はひときわ満足度が高いのでありました。

河津桜原木と渋滞

しかし誰も考えることは同じで、人出もすごかった…

コロナ禍明けということもあり、一気に人が集まってきた感がありますが、その気持ちワタシにもよくわかります❤

とりわけ道路の渋滞が激しく、街中の道路がクルマで埋まっているのではないかと思えるくらいに…

こうなると自転車で走りまわるのも往生するため、この後は川沿いの遊歩道を押して歩くことにしました。

混雑する河津川の遊歩道

遊歩道は遊歩道でこんな状態(汗)

みなさん3年間も我慢し続けてきたのだから、こうなるのも無理もない…

むしろ、これだけの賑わいを取り戻していることは喜ばしいことですね♪♪

特急踊り子に乗ってふたたび輪行の旅へ

臨時特急踊り子のE257系5000番台

ということで、大賑わいだった2023年の河津桜詣もそろそろ終わりにして、帰路に就くことにしましょう。

この日は特に帰りの列車を決めていなかったため、とりあえず河津駅で自転車を畳んで改札口できっぷを買うことにしましたが、改札口手前もまたスゴい人混みです!

東京方面に向かう"特急踊り子"の指定席も案の定『満席』の表示でしたが、窓口で聞いてみると伊東までの指定席ならわずかに空きがあるとのことで、ここは抜かりなく海側の窓側席をお願いして、伊豆急行線内のみ特急列車の旅を楽しみましょう♪♪

人がいっぱいのホームで待つこと数分、やって来たのは通常の『特急踊り子』とは違う、緑色を纏ったE257系5000番台という、臨時列車に充当されるレアな車両だったためテツの血が一瞬騒いだのですが…

E257系の自転車置きスペース

車内は何のことない、ちょっと前まで中央線の『特急あずさ』で使われていた中古車両でして、もともと公衆電話があったと思われるくぼみに自転車を置けたりと、ちょっと古い車両ならではの便利なポイントを見つけたりして、ココロはすっかり乗り鉄モードに(笑)

特急踊り子車窓風景

車内はやはり満席だったものの、海側の座席を取っていたので車窓風景も眺められるし、やっぱり列車の旅はいいなあなどと旅気分に浸ってはいたものの、もっとも気になったのが…

車内がほぼ『特急あずさ』のままなんですね…

特にシートのモケット(布地)が”武田菱”のままだったりして、テツ店長(マニア)的には特急あずさで伊豆急行線を走る疑似体験できたのがなんとも萌えたのでした(意味不明…)

伊東温泉で汗を流してサイクリングを〆る

伊東駅前の提灯飾り

約40分の特急あずさ…もとい特急踊り子の旅を終えて、伊東駅で途中下車。

次の普通列車までしばらく時間があるので、ここは『伊東温泉』に入らない手はないでしょう!!

伊東温泉 湯川第一浴場 子持ち湯

ということで、地図検索したところ、駅近に『湯川第一浴場 子持ち湯』なる公衆浴場を発見!

入浴料金¥250という、いったいいつの時代だよ!!と突っこみたくなる料金設定に期待が高まります♬

狭い階段を下りてトビラを開くと…もうそこはカンペキな昭和の風景♥

お世辞にも設備はキレイと言えないですが、こういう古い施設は急速に消滅しつつあるので、個人的にはとても貴重な体験で大満足でした(笑)

その後、ひとっ風呂浴びて汗を流したら、夜の普通列車に揺られてのんびりと帰途に就いたのでした。

いつものことながら、コンテンツ詰め込みすぎのきらいはありましたが、ほぼコンプリートもできたし、充実した休日でした♥

このブログを見て、輪行でサイクリングに行ってみたい!という気になったら、『輪行講習会』も定期的に開催しているので、ぜひご参加ください!

"輪行講習会スケジュール"

(終)


バイクプラス多摩センター店外観写真

バイクプラス多摩センター店

こちらのブログは私たち多摩店スタッフが書きました!