『よし、自転車で出かけよう』と思ったら、『えっ!なんかチェーンやギア錆びてない!?』という経験ありませんか? 一般的なシティサイクルと違ってスポーツ自転車の場合フレームがアルミやカーボンでできている事が多く、一見変化がないようにも思えますがチェーンやギア周り、ワイヤーなどは雨など水分が原因で錆びが発生していることも良くあります。
錆びだらけになってどうしようもなくなる前にセルフメンテナンスしてみませんか?今回は汚れや錆びの目立つチェーンを中心としたメンテナンスに使用するグッズをご紹介します。意外とカンタンなのでぜひチャレンジしてみてください♪ 『あっ!自転車のチェーンが錆びちゃった...』そんな時もあきらめないで!軽い錆びならスポーツ自転車のチェーンやギアを早めにメンテナンスすれば機能回復できるかも。
サビが及ぼす影響
意外とスポーツ自転車は雨が苦手

スポーツ自転車は一般的な自転車と違って前にも後ろにもギアの付いたモデルがほとんど。ちょっと難しい言葉で言うと多段変速と呼ばれます。シティサイクルにも『高→中→低』というような変速機がついているものは内装変速と言います。この多段変速は平地や急坂などでシティサイクルなら降りないと走れないような場所でも変速させることでスイスイ走ることができるのが最大のメリットです。
ところがこの外装変速、意外と水の浸入がニガテ。どうしても外で保管しなければいけない、駐輪場に屋根が無い、通勤通学などで雨でも出かけるという方もいらっしゃると思いますが、そのまま掃除や注油をせず放っておくと翌日にはうっすら錆びが発生していることもよくあります。
錆びに自転車の高い安いはあまり関係なし

ちょっと話が飛びますが、じゃあ何十万もする自転車なら大丈夫?と聞かれると答えはNo。場所によってはスチールを使った部品が同じようにあってチェーンやギアやボルトなどにも使われているため、ノーメンテナンスのままだと錆びて大変なことになってしまいます。
また、精度が高く作られている分ちょっとした錆びなどで発生した狂いが変速などにも影響を及ぼしてスムースな変速やブレーキ操作ができなくなります。なので錆びさせない事がとても大。マメな掃除と注油が不可欠なんです。
錆びてしまうとこんなことが

古墳から出土した鉄剣のような激しいサビ
代表的な部分はチェーン。錆びることでチェーンの継ぎ目部分が新しいチェーンに比べて摩擦が大きくなってしまい、スムースに回らなく事で変速性能が著しく低下します。またチェーンに塗布した油分が抜けきってしまっていることがほとんどです。結果チェーンとギアの金属同士が触れあうことでそれぞれがけずれてしまいパーツ寿命を大幅に早めてしまいます。
ギア(カセットスプロケット)

この程度のサビなら多少磨けば気にならない程度まで戻せる
直接注油することはしませんが、チェーンの油が切れているとギアもこのようにスチール部分は注油しまま置いておくと錆びてしまいます。これ油は切れの状態です。この程度であればメンテナンスをすることである程度良い状態へ戻す事が可能ですが、錆で完全に覆われるほど進行してしまうとアウトとなってしまいます。錆びが金属内部まで進行してしまうと表面が金物ヤスリのようにザラザラになってしまいます。元に戻すためにはこのカセットスプロケットを交換しなければいけなくなります。
ワイヤー類も要注意

ワイヤーもスチールを使ったモデルが多いのですが同じように雨に濡れることで錆びてしまいます。シフトワイヤーの場合だと、錆びによって抵抗がふえる事でスムースな変速が難しくなります。またブレーキワイヤーの場合、レバーの引きが重い、戻りが悪いなどのトラブルが発生します、ただ一番怖いのは錆びたワイヤーが切れてしまうこと...。場合によっては命に関わることもあるのです。
錆びがひどくなる前・錆びさせないためのセルフメンテンテナンスが大切
お伝えしたように完全に錆びきってしますと取り返しがつかない部品もありますが、早めに発見することである程度快適に使える状態に回復させる事が可能です。掃除や注油を行なう際に必要なものをいくつかご紹介したいと思います。
メンテナンス前に用意するもの:
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ウェス
- パーツクリーナー(ディグリーザー)
- チェーンオイル
- ブラシ類
メンテナンスの仕方のよってはいろいろこれ以外にも持っておきたいモノもありますが最低限作業の際にあると便利なのが上記となります。ウェスは入手が難しいようならご自宅のTシャツの着古しでもOKです。
掃除の際に汚れが手に付くとなかなか石鹸等で落ち辛いので耐油性のあるグローブなどがあるといいですね。市販のゴム手袋やキッチン用のものでも代用できそうです。洗浄剤の刺激が強いので肌が弱い方は着用された方が良いでしょう。
タオルの使用は避けた方が良いかも

よくある質問で『使わなくなったタオルで代用できますか?』と聞かれることもありますがこれは避けたほうが良いでしょう。
表面がパイル状に毛羽立っており、チェーンやギアのとがった部分に引っかかることでそれ自体が新たな汚れやトラブルの原因となってしまうことがあるため使わない方が無難です。
拭いても拭いてもホコリが付着するのはかえって煩わしいです。
お店で購入しておきたいもの
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パーツクリーナー:
チェーン汚れは思った以上に手ごわく、カンタンにふき取ることが難しいことが多いです。
台所の油べったりの換気扇を想像するとわかりやすいかもしれません。
このパーツクリーナーを使うと頑固な油汚れも落としやすく便利です。
比較的オールマイティーに使えるものや、逆にガンコ汚れ専用といったキャラクターの違いもあるので用途にあったものを選びたいところ。作業の際ほぼ必須となります。
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チェーンオイル:
油汚れをただふき取っただけでは終わりとはいえません。チェーンが裸の状態なので注油を行う必要があります。走行する条件や保管状況などに合わせて適切なものを選びたいところ。
ほぼ週末ライドで雨天時に走る事がない方であれば汚れが付きにくいドライコンディションに適したものを、逆に通勤や通学などで雨天や雨上がりなどでも走る必要のある方ならウェットコンディションに適したものがオススメです。
ロードバイクなどにはより走行中の静粛性を高めるためにセラミック粒子の入ったタイプが人気。
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ブラシ類:
チェーンやスプロケットなど複雑な構造の物も多くウェスでふき取ることができない箇所が多いためこのようなブラシ類を使うと作業時間の大幅な短縮が可能です。
例えば手前の赤いブラシはチェーン専用に作られたユニークなもの。コの字型に配置されたブラシでチェーンの四隅の汚れをかき出します
ギアの内側、フレームなどのデリケートなか所、ハブ軸など掃除しずらい場所に対応するようなブラシセットもあると便利。
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メンテナンススタンド:
作業の際にあると大変便利。なぜかといえば後輪を浮かせる事でペダルを回して車輪を回転させることができるので煩わしさがありません。
スタンドがないと『自転車を手で持ち上げ→ペダルを回して→また地面に下ろして→注油して』が延々続くのでやっぱり大変です。
さて、話も長くなってしまったので今回はいったんここまで。次の機会にメンテナンス作業をご紹介させていただきます。講習会(予約制)も行っています。詳細はこちらのリンクをご覧ください。
ギア周りクリーニング講習会