エモンダとドマーネ何が違う?どっちが好み?

2024年4月9日by miyazakisayaka
エモンダとドマーネどっちタイトル画像

TREKのロードバイクのラインナップで特に人気のあるEmonda(エモンダ)とDomane(ドマーネ)。どちらを選ぶべきか迷われる方も少なくありません。来店されるお客様からも、この二つのモデルの違いについて質問を受けることがあります。

今回はエモンダとドマーネどっちがいいのか、人気のカーボングレードSLシリーズをメインにそれぞれの特徴や違い、おすすめのカスタマイズまでをご紹介します。Emonda 、Domaneの順に紹介していきますので、先にDomaneを読みたい方は目次から飛んじゃってください。

これぞロードバイクの王道を行く軽量シリーズEmonda

そもそもEmondaとは?

TREKEmondaSLの右側全体

Emonda(エモンダ)の名前はフランス語の「削ぎ落とす」という動詞に由来します。トレック史上最軽量のロードバイクを作るため2014年に新しいロードバイクシリーズとして誕生しました。当時リムブレーキのハイエンドモデルで車体重量4.65kgという破格の数字をたたき出したときに実車を持ち上げたときの驚きといったら。ただ軽くするだけではなく走行性能をまったく犠牲にせずに、踏めばしっかり進む実用機材としてやってのけたというのが衝撃的でした。

ディスクブレーキ時代に突入してからもトレックの最軽量シリーズということは変わりません。最近では「軽量で登りに強い」というだけでなく、フレームがセミエアロ形状になり「速さ」がプラス。サクサク登り、下りは高速、平地でも体力を温存できるようになりました。
TREKEmondaSLのフロントフォークの先端

つまるところエモンダは平坦なステージで体力温存、山岳ステージで軽さと反応の良さを生かして駆け上るレースマシンとして進化を続けています。プロロードレースの最高峰ジロ・デ・イタリア、ツールドフランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ、いわゆるグランツールを優勝するために作られたバイクの血統を持つシリーズなのです。

Emondaの走りの特徴

軽くて加速が良くて、反応も良くキビキビ動く

エモンダは短めのチェーンステーで踏み込んだ力を後輪に伝えるのが速く、反応が良く加速が良いという特徴があります。発進時にあっという間にトップスピードへと持っていけるキビキビ感がたまりません。

またヘッドチューブの角度も立ち気味で、ハンドル操作に対して前輪が機敏に反応します。振り回しやすく思い通りにサクサクと動かせるようになるとたまらなく気持ちいいバイクです。乗りこなせてる自分にほろ酔いしそう。

反応性の高さはポジション争いでの駆け引きや、カーブの後の加速やアップダウンのようなの一度減速する場面で有利に進めることができます。

また軽量なことは登りで有利なのは言うまでもありません。入力に対してキビキビ、サクサク、テンポよく走ってくれるので、やっぱりロードバイクはこうでなくちゃ!と思える面白さを教えてくれます。

TREKのEmondaSLのヘッドチューブ

さらにここ数年の間にフレームがセミエアロ形状になったことで、平地の高速巡行や下りでも空気抵抗を減らして、より速く走れるようになりました。無駄のない形もカッコいいですよね。

Emondaのフィットから見る特徴

ペダルへの踏み込みやすさや空気抵抗を減らすことでよりスピードを出せる

ロードバイクに乗る際、風がない時でも常に空気を押し分けて進む必要があります。空気抵抗は、速度の上昇とともに指数関数的に増加しライダーのエネルギーの消費も大きくなります。

スマートローラーにエモンダSLにを載せた体験している

EmondaのフレームはH1.5というフィットを採用し、Domaneと比較してもヘッドチューブが短く、ハンドルが低めです。(ちなみにもっとヘッドチューブが短いのがH1で少し前のプロ仕様はそうなっていました。)空気抵抗を抑えることで速く走ることができ、前傾姿勢をとれることで踏み込みもしやすくなっています。

フィッティングについて

Emondaはどんな人におすすめ?

ヒルクライム・反応性・オールラウンドなバイクが欲しい方

Emondaはロードバイクとして正統に進化している軽くて速く走るためのシンプルなロードバイクです。要所要所で剛性を保ちながら、最適なジオメトリーでもって無駄なく軽量化、見た目も美しい王道のロードバイクといえます。ロードバイクで気持ちよく疾走したいという願いを叶えてくれるでしょう。

ロードバイクらしい走りを楽しみたい、乗りこなしてカッコよく走りたい、登りを積極的に攻めていきたいということであればエモンダがベストです。またクロスバイクに乗っていて、タイヤを細くしたり、ホイールを変えたり、軽量化路線まっしぐらな方はロードバイクに買い替えるならばドマーネよりもエモンダの方が合っていると思います。

乗るならやっぱりスポーツカー、やるならやっぱり短距離走(ちょっと違うか)。登りを苦と思わない体力ありあまる若い方にも人気です。試乗でも数回踏めば、軽さと加速の気持ちよさを感じられます。とても気持ちいい。

ただ、実際には、結局どれくらい速く走れるかはエンジン(自分)次第ということはお忘れなく!

エモンダSLインプレッションブログはこちら↓
ドマーネ好きが新型エモンダを購入したワケ

細部比較:こんなところもDomaneと違います

emondaSL のハンドルを回転させる様子

ステアリングストッパー(Emodna SL/SLR)

ハンドルの回転角度を制限することで、フレーム内のブレーキホースやシフトワイヤーダメージを減少させることやハンドルがトップチューブに接触して損傷を引き起こすのを防ぐ機構です。

EmondaSLのDuoTrapS取り付け口

DuoTrap S

速度とケイデンス(ペダルの回転数)を測定できるセンサーを取り付けが可能。BluetoothやANT+を通じてサイクルコンピューターやスマートフォンなどのデバイスに送信する機能を持ちます。

スリムなデザインかつフレームに直接取り付けられることで見た目をスマートに保つことができます。結束バンドやゴムバンドで外部に取り付けるタイプのセンサーに比べて固定力がよくダメージや紛失のリスク減らします。

SLシリーズの現在のラインナップ
Emonda SL5
Emonda SL6
Emonda SL7

Emonda におすすめのアップグレードパーツ

軽量なエモンダシリーズの良さを引き立てるパーツのアップグレードを紹介します。

ハンドル

Emondaは一体型ハンドルがおすすめ!

Bontragerの一体型ハンドルAeolusRSLハンドル

Aeolus RSL VR-C Road Handlebar / Stem

EmondaSL/SLRと共に開発されたハンドル。ハンドルとハンドルステムの一体成形により、軽量性と空力性能を向上できEmondaのコンセプトと一致しており相性が良いです。バイク上部のパーツを軽量化することでダンシングの操作性を高めるメリットも。

ホイール

エモンダはLow~Middleハイトのカーボンホールがおすすめ。

TREKのロードバイクEmondaSL6の紫色と白色

ヒルクライムレースなど登りに特化したいなら30mm前後のリムハイトの軽いホイールがおすすめ。風の影響を受けにくく、特に強風時や横風が強い条件下でハンドリングがしやすい特徴もあります。

EmondaSL6にAeolusElite50に交換

オールラウンドに走りたいなら50m前後のミドルハイトのホイールがベスト。一度加速した後の速度維持がしやすくなります。高いリムは剛性も高く力強いペダリングやスプリントでもしっかり推進力に変えます。何よりもかっこいい!

サドル

TREK/Bontragerのサドルは「トライアスロン」「レース」「パフォーマンス」「フィットネス」「コンフォート」5段階あり、そのバイクや乗り方によってさまざまありますが、エモンダなら「レース」系のAeolusシリーズがおすすめ!

Aeolusサドル

BontragerのAeolusCompサドル

アイオロスサドルは、エモンダの前傾姿勢を助けるサドル形状をしています。クッション量もほどよく、血流を良くするために空いた中央の溝が前方まで伸びていることなどが特徴です。パッドの量を最小限にすることで軽量化につながっています。「Aeolus Comp」「Aeolus Elite」「Aeolus Pro」「Aeolus RSL」の4つのグレードからお選びいただけます。

 

パリ・ルーベを勝つためにつくられた快適で速いバイクDomane

Domaneとは?

TREKDomaneSLの右側全体

一方のDomane(ドマーネ)は石畳など多様な路面のレースにおいて、効率的に走破できるように2012年に開発されたモデルです。ファビアン・カンチェラーラというクラシックレースの鬼でありTT(タイムトライアル)のスペシャリストの選手のために開発されました。

ドマーネは振動吸収能力や凹凸のある道でのバランスの維持に重点が置かれています。シートチューブがしなる独特の構造ISO Speedという技術で特許を取得し、路面状況最悪でも体への衝撃を緩和して体力を温存、踏み込めばぐいぐい加速するバイクが完成します。

Domaneは見事パリルーベもツールドフランドルも制覇ドマーネが速くて乗り心地の良いバイクだということを証明したのです。ISO Speedは形を変えながら、現在のDomaneシリーズ(カーボンフレームモデル)に脈々と受け継がれています。

Domane の走りの特徴

ドマーネは、ホイールベースが長いのが特徴です。チェーンステーもエモンダに比べると長く、ヘッド角度も寝かせ気味でホイールベースが長くもなっています(ホイールベースが長い方が直進安定性に優れます)。

ボトムブラケット(フレームの一番地面に近い場所)の位置もエモンダより低く低重心です。もともと石畳の道でもバランスを失わずにしっかりと踏み込んでスピードを出すためのバイクですから、こうした設計になっています。低重心安定型の起き上がりこぼしを想像してみてください。

また安定性に優れた設計がペダリングに集中できる環境を作り、下り坂などスピードが出やすい場面でも恐怖心を軽減し、カーブなどでも安心して身を任せることができます。

いやいや、石畳なんて走らないよと思う気持ち分かります。しかしながら路肩には溝もあればグレーチングもあり、キレイな舗装なんてそうそうありません。ちょっと林道へ入ればひび割れだらけです。日常のサイクリングであってもISO Speedのしなりが、振動が体へ伝わるの緩和してくれるので、サドルに座っていながらも快適な状態が続きます。

たとえばスピードが出ている状態でちょっとした段差を越える際、エモンダだったらお尻をサドルから浮かせて衝撃に備えるようなときも、ドマーネであればサドルに座ったままでも気にならないといった感じです。本当に同じ路面かと思うほど乗り心地が変わります。ずっと座り続けても快適です。

 Domane(EnduranceFit)

リラックスした姿勢で体力を温存したい・首や肩、腰など体の負担を少なくしたい

Domaneのエンデュランスフィットはアップライトな姿勢でリラックスしやすいことが特徴です。姿勢を維持するための体幹の疲労を溜ためにくく、首や肩への負担を軽減されるため、スポーツバイクがはじめてでも乗りやすいともいえます。

スマートローラにドマーネSを載せて体験している

ヘッドチューブは長く、角度が寝ていることもあってハンドル位置は高め&近めになります。そのため、同じサイズ、同じサドル高さでエモンダと比較したときには、ハンドルが高め&近めの乗車姿勢になります。

ハンドルの近さ、遠さに関しては、フレームサイズ選びさえ間違えていなければ、正直なところステムやハンドルのパーツ交換でいかようにでもできます。体幹や柔軟性が上がってくればより深い前傾姿勢をキープできるようになるのでハンドルを低くしていく方も多いです。

ただし、あとからハンドルを高くしたいというのはやや限界があります。もともと体が硬い方や、加齢とともに柔軟性が落ちてしまっている方、体格がよく前傾姿勢をとりにくい方は、エモンダよりもドマーネの方が体に無理がない場合があります。いずれにしても、ご購入前にサイズフィッティングで、無理なくスタートできるサドルの高さやハンドル位置を確認することをおすすめします。

フィッティングについて

体が硬すぎてドマーネを選んだスタッフによるドマーネSLインプレッションブログはこちら↓
ドマーネSLシリーズに1年乗ってみたロングライド好きスタッフのインプレ

 

Domaneはどんな人におすすめ?

ロングライド・快適さ重視・路面の状況に左右されずにライドを楽しみたい方

海岸沿いで撮影したDomane SL6 イータップ

ロングライドやブルべなどで体力の温存をしたい方や乗り心地を重視している方、下り坂が苦手な方、スピードよりもマイペースに疲れず走れる方がいいという方、がっつりライドというよりはポタリング気分で気ままに走りたい方、舗装路を疾走するだけでなく楽しみ方の幅を持たせておきたいという方にはドマーネがベストです。あまり難しいことを考えずにとにかく脚を回していれば、バイクの方でバランスをとってくれるので前に進んでいきます。

もともとは石畳のレース用からスタートした快適性を追求したロードバイクですが、最近ではフレーム内に小物を入れられるストレージが付いたり、装着できるタイヤの太さに余裕があったり、速く走るための機材ではありつつも、ホビーユーザーにとってはいろいろな楽しみ方ができる快適バイクになりつつあります。

タイヤを少し太くしたり、グラベル用のタイヤにして未舗装路を走ったり。車でいったらSUVみたいな感じですね。


 細部比較:こんなところもEmondaと違います

TREKのDomaneSLのIsoSpeed
IsoSpeed

(Domane SL/SLRに搭載)IsoSpeedはシートチューブをトップチューブから分離し、垂直方向に十分しならせることで路面からの振動を減らし快適性を高める。路面から振動を軽減することで長時間のライドでも快適に走行を続けることができます。

TREKのDomaneSLのフロントフォーク前方
最大38Cタイヤが履ける

ワイドタイヤを取り付け可能な広いタイヤクリアランス。最大38cのタイヤを取り付けることが可能です。路面のコンディションに合わせてタイヤを選べば、舗装路だけではなくグラベルなど様々なライドを楽しむことができます。

フレームストレージ

長距離ライドではパンクが不安になるもの。Domane SL(SLRも同様)にはフレームの内部にパンク修理キットやマルチツールを収納することができます。フレームの中なら走行性能をほとんど犠牲にすることなく外観もスマートに保てます。

SLシリーズの現在のラインナップ

Domane SL5
Domane SL6


Domane SLのアップグレードにおすすめのパーツ

ハンドル

快適なドマーネシリーズの良さをさらに引き立てるカスタムパーツをご紹介します。まずはDomaneにはやはり振動吸収の高いハンドルを。

BontaragerのカーボンハンドルであるIsocoreProハンドル

Bontrager Pro IsoCore Road Handlebar

ドマーネに推奨されるこのカーボンハンドルはハンドルとバーテープとの間に片側2箇所ずつクッションを挿入することで手の痛みを軽減。またハンドルに採用されている連続インナーラミナー技術はカーボンの成型過程で振動を抑制する素材をサンドイッチ状に配置し、振動を約20%減らすことが可能です。

 

 DomaneはLowハイトかつワイドなリムのカーボンホイールがおすすめ。

ドマーネの乗り心地を生かすなら低めのリムハイトかつワイドなホイールがおすすめです。ローハイトのリムは振動を抑えワイドなホイールはDomaneと相性の良いタイヤの太さを使用することで効率的な走行を可能にします。

最大の38cを装着するならグラベルホイールもおすすめです。

バイクプラスはBontragerのAeolusホイールの試乗が出来ます。ぜひアップグレードにお役立てください。各店で試乗ホイールを2カ月おきに回しています。スケジュールやAeolusホイールの詳細、注意点などはこちらからご確認ください

ホイール試乗サービス

サドル:Verseシリーズ

BontaragerのVerseCOMPサドル

重量やパッドの厚み、強度などバランスの良いサドルです。ドマーネのようある程度体を立てて痛みを感じにくく、サドル選びに迷いがあれば最初におすすめしたいサドル。「Verse Comp」「Verse Elite」「Verse Pro」3グレードからお選びいただけます。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。

長くなりましたが、エモンダとドマーネはそれぞれの異なるコンセプトで生まれたバイクです。なので得意分野が違います。どちらがいい悪いではなく、乗る方の好みやライドスタイルに合わせて選ぶものです。

バイクプラスでは購入前にそのロードバイクの特性に応じたサイズフィッティングサービスや試乗サービスなどをご用意しています。実際に乗り比べることでしか感じ取れないフィーリングはやはり人々それぞれですので、迷ったらご試乗をおすすめします。どっちがお好み?の答えは、結局試乗してみるのが一番のように思います。

ご来店の際に今回このページでお伝えしきれなかったこともご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。ぜひ皆様のご来店を心よりお待ちしております!

 


Trek ロードバイク

当店は、クルマ界のトヨタに例えられるような世界的に人気の総合スポーツ自転車専門メーカー「Trek」のコンセプトストア。

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