今話題のWahoo(ワフー)のGPSサイクルコンピューター「エレメント」をインプレ!
レースやサイクリング、トレーニングの際に今や必須のサイクルコンピューター。距離やスピードなど走行状況の把握だけでなく、心拍数や標高など走行データ管理が手軽に行えることでこの10年で一気に普及したのがGPS機能の付いたモデルです。
この分野ではガーミンのEDGEシリーズが長らく圧倒的なシェアを誇っていましたが、最近他ブランドからも高性能かつコストパフォーマンスに優れたモデルが続々と登場しています。今回ご紹介するのはアメリカやヨーロッパで今ユーザー数を増やしているWAHOO(ワフー)のGPSサイクルコンピューター「エレメント」です。
アメリカのフィットネスブランドWAHOO(ワフー)とは?
ワフーって何?という方もまだまだ多いかも知れません。ロードレースを見ていると最近見かけることも多くなったWahoo、2014年からチームスカイの公式サプライヤーとしてパワートレーナーを供給をする中でこの数年で非常に認知度が高まったブランドです。
ポストガーミンの最有力候補ブランド
GPSサイクルコンピューターの分野では自転車用モデルが発売される以前からアウトドア用ポータブル端末に強みのあったガーミンが圧倒的シェア率を誇っています。
その牙城に様々なブランドが登場して挑んできましたがソフトウェアを含めたガーミンのトータルパッケージの完成度が高く、価格以外の訴求ポイントが打ち出せないものが大半でした。価格は手ごろだけど・・・、というところでしょうか。
またコンピューター端末や地図などのソフト、アプリの日本語化も販売にあたって壁となっている感がありますね。
世界の有力ブランドも使用するサイクルコンピューター
ただ、最近だとスマートフォンの普及でトレーニングやマップなどで洗練されたアプリケーションが増えた事で、端末とそういったアプリを同期させることでソフトの質を向上させる事ができるようになりました。STRAVAなど使っている方も多いのではないでしょうか?
そういった環境の変化にうまく乗っかったブランドの一つがWahooというわけです。
端末の高性能化もすすみ、現在だとボーラ・ハンスグローエだったりカチューシャ・アルペシンなどの有力チームがワフー「エレメント」を採用しています。
パイオニアとワフーが提携!
そしてここに来て面白いニュースが飛び込んできました。2018年9月25日のニュースですがワフーとパイオニアが技術提携を行うこととなったようです。パワーメーターの雄、パイオニアのペダリングモニター機能がワフーの「エレメント」そして「エレメントボルト」に表示が可能となりました。
元々ワット数値のみであればパイオニア以外のガーミンなどの端末にデータを表示させる事が可能だったのですが、パワーの左右バランスを確認したりクランクを踏み込んだどのタイミングで力が発生しているか可視化するには今まではパイオニアの専用の端末でしか見ることができませんでした。
今回のワフー、パイオニア両社の独占インテグレーション契約で力のかかり方を示すフォースベクトルがワフーのGPSサイクルコンピューターで表示が可能となった事で、パイオニア、ガーミンに次いでより詳細なパワー分析が行えることになったのです。
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ワフーエレメントの特徴
ワフーGPSコンピューターのフラッグシップ
今回紹介するモデルはWahooのサイクルコンピューターのフラッグシップといえる「エレメント」です。ガーミンで例えるならEDGEシリーズの1030を想像するとわかりやすいかもしれません。
39,800円(税抜2018年10月現在)という価格ながら2.7インチ大画面やワフーのオリジナル機能LEDステータスバー「Quicklook LEDインジケータ」、ガーミンコネクト的なスマートフォン対応の「コンパニオンアプリ」など魅力的な機能や拡張性を持っているのが特徴です。
GPSコンピュータに心拍トランスミッタ―、そしてスピード、ケイデンスセンサーが同梱されたものも出ていてこちらが48,250円(税抜2018年10月現在)。
エレメントの大きさ
ガーミンの1030、そして820と大きさを比べてみるとこのようになります。複数のデータ項目をライド中に確認したり、地図をチェックしたりする際に視認性や操作性に優れたサイズ感かと思われます。
画面コントロールはボタン操作
ガーミンとの考え方の違いがみえて面白いのがタッチパネルを採用していないこと。画面下に3つ、左サイドに1つ、右サイドに2つのボタンで画面の操作を行います。
設定はスマートフォンで楽々設定
初期設定だけなく、機能変更も含めスマートフォンを使用するワフーエレメント。なのでスマホは必須となります。本体側の設定機能を敢えて少なくしてスマートフォンアプリで本体をコントロールする考え方もガーミンとは結構違って興味深いですね。
エレメントシリーズ共通のモノクロ液晶
ガーミンの場合上位モデルは全てカラー液晶化されていますが、対するワフーエレメントシリーズはモノクロ液晶を使用。視認や操作性において必ずしもカラー液晶は必要ないという判断でしょうか。潔いです。
バッテリー稼働時間が長い
バッテリー駆動の長さはカタログ値フル充電で17時間とスタミナがあります。ブルべのようなケースではライド中の充電も必要にはなってきそうですが、一般的な半日から一日ライドであれば問題なさそうな数値です。
心拍管理やナビげーションで便利なLEDバー
また他ブランドに無い「QuicklookLEDインジケータ」もエレメントの特徴です。モノクロ液晶の視認性の問題点うまく克服したユニークな機能で画面上部と左側の2か所にあり、心拍やナビ以外の機能にも設定変更可能で例えばパワー出力(パワーメーターが別途必要)やスピードなどをLEDインジケータで表示することもできます。
実際にエレメントを使用した感想
という事で前置きが長くなりましたが今回ロングライドで実際にエレメントを使用してみました。普段はガーミンのEDGE820を使っていてルートラボやガーミンコネクトでGPXデータを事前作成してコンピューターに道案内させる事が多いのですが、そんなツーリング派の視点で操作性やガーミンとの違いなどを探ってみたいと思います。
専用アウトフロントマウントでハンドルに取り付け
ガーミンなどで採用されているハンドル前方に取り付けるアウトフロントマウント方式。マウント取り付けや本体の着脱もEDGEシリーズとほぼ変わらないデザインなのでセットするのに苦労することはありませんでした。
ちなみにシェアが広がってきたことでK-EDGEやレックマウントからも対応マウントが発売されているので取り付け方法のアレンジもいろいろ行えそうですね。
初期設定がカンタン
初期設定は結構カンタン。あらかじめスマートフォンにワフーのコンパニオンアプリを入れておく必要ありますが、そのあとはアプリのガイドに従ってエレメントの操作をすればあっさりペアリングも終了。このようにQRコードをスマートフォンカメラに読ませて同期させます。
センサー接続もスムース♪
今回「エレメント」を使うにあたってセンサーはデュオトラップセンサーSやガーミン!?製の心拍トランスミッターと同期させて使用しました。ANT+に対応するのでペアリングを行いましたが接続もあっさり。EDGEシリーズを使い勝手は変わらないのとライド中のセンサー動作も問題なく使用できました。
シマノDi2とも同期できる!
ワフーエレメントはワイヤレスユニットを搭載した電動コンポともペアリングが可能でした。このようにギア位置を表示させる事が可能です。
モノクロ液晶ってどうなの?
モノクロ液晶ってイケてるのか?と思ってたのですが杞憂でした。日中もコントラストが効いて見やすく、夜間はバックライト機能でしっかり視認が効くので問題なさそうです。
地図表示に限っていえば日中(バッテリー節約のため短く)と夜間(マップ視認のため常時点灯)で設定を変えたりする必要があるかもしれませんが、日中ライド主体の方なら全く問題なさそうです。
意外と操作しやすいぞ!ボタン操作
マップの拡大縮小やスクロールなど、むしろボタンの方が素早く操作できて便利じゃないかと思ったのがこの機能でした。
寒い季節であればフルフィンガーグローブで走る機会も多いですし、画面が小さくなればなるほどタッチパネルだとその操作がストレスに感じる機会も案外多いんですよね。
ボタンの機能操作に一旦慣れてしまえば「表示画面ページ送り」、「地図画面の拡大縮小」(←むしろガーミンよりサクッと操作できる)、そしてガーミンとの違いのひとつでデータ項目の増減をライド中右側のボタンで増減できるのが良いです。
見たい機能をフォーカスさせたりその逆に多機能を一画面に表示させたりがあっという間です。ガーミンだと設定機能からいじらないといけないのでこの機能は新鮮でした。
※ただし、そもそものデータの表示設定はあらかじめ何を画面に載せるかスマートフォンで設定しておく必要があります。EDGEシリーズだと本体設定画面からページの表示内容の変更が可能ですが、エレメントはその部分をスマートフォンに任せています。
よくも悪くもスマートフォンが必要
表示設定だけでなく、各種の設定変更にスマートフォンを使用するケースが多いです。コンピューター本体では設定変更できないものが案外多いのです。ただそれが不便かといえばライド中にケータイを持ち歩かないという事はまずないですし、走りながら設定変更するケースはおそらくそんなに多くはないはず。
唯一気にしなければいけないのはスマホのバッテリーが切れてしまわないようにというところですが、電池あっての携帯電話なのでこの部分もライド中心配になることもなさそうな気がします。
LEDステータスバーは結構便利
ワフーでしか見られないこのLEDバー機能ですが、エレメントでナビライド中はかなり便利。写真だとわかりづらいのですが、右左折に合わせて上部のLEDがフラッシャーのように曲がる方角表示をしてくれます。
ちなみにコースアウトすると赤いLEDバー表示で知らせてくれます。ルート復帰の際はバー表示がグリーンとなって元のコースに戻った事がわかるようになっているので安心。
ちなみに運動強度に合わせて心拍数の上昇を画面の左側に、このような形でLEDバーで表示できます。まさに心臓のレッドゾーンお知らせ機能という感じですが、個人的にはここはLEDバーよりBPM数値で確認すれば問題ないような気がしないでも。。でもガジェット感溢れて機能的には面白いですね!
ナビ画面上にキューシートも表示可能
ナビライド中のキューシートも表示可能なので、モノクロのマップの補完としては十分かと思います。LEDインジケータと合わせて曲がるタイミングが測れるのでコースアウトする事も少なかったです。
まれに右左折指示のタイミングが遅れることもありましたがこれはガーミンでもスマホナビアプリでもあるので仕方がないレベルだと思われます。
GXPデータによってはナビ機能が完全活用できない
ちなみにナビにあたって当初ルートラボからデータダウンロードしたもので行おうとしたのですが、前述のLED表示機能がうまく使えず??という感じに。コースアウト警告やコース復帰は教えてくれるのですが、肝心の曲がるタイミングをLEDで教えてくれないのです。。
調べてみるとGXPとして生成されるデータもいろいろあってルートラボのものだと「エレメント」ではすべての機能が活かせないという事が判明。という事でワフーがおすすめしていた「RIDEwithGPS」をスマートフォンにインストール。
この辺はワフーの取り扱い説明には載っていない部分なのでうーん、なるほど!という感じでした。キューシート表示もルートラボのデータでは表示できなかったのでRidewithGPSの方がメリットが多いですね。キューシートの記載内容の変更なども行えたりします。
連携アプリを活用してエレメントを使いこなす
なので、「RIDE with GPS」をはじめSTRAVAやTRAININGPEAKSなどなど、ロングライドやトレーニング管理のためのアプリをいくつかスマートフォンに入れておくとよさそうですね。ちなみにRidewithGPSはスマートフォンでルート作成が行えるのでPC環境が必要なルートラボやガーミンコネクトと比べるとアプリを入れる一手間は発生したものの便利です。
今回の走行データも朝輪行中の電車の中で作成したものなのですがこれはかなり便利。といってもワフーがすごい!というよりRidewithGPSが優秀なんですが。旅先でのルートプラン変更がカンタンなので個人的にはこのアプリとの出会えたのはうれしかったですね。
ガーミンコネクトとの違い
なので逆に言えば、連携サービスの各種アカウント作成、アプリ取得やワフーとの連携は自分で設定する必要が出てきます。トレーニングワークアウトやマップ作成や走行データ管理などガーミンコネクトであれば一括管理ができるのですが、ワフーの場合はこの部分は割り切っていると言えます。
エレメントの利便性をアップさせるためには複数のアプリはあると便利なのですが、アカウント開設やアプリ設定(日本語表示されないアプリも)がめんどくさっ!!という方はガーミンコネクト一択の方が良いかもしれません。サポートの部分においてはやはりトップブランドのガーミンに分がありますが、できることとやらない事の割り切りをはっきりさせているのがワフーの面白いところだと思いました。
バッテリーの持ちは結構優秀
ちなみにですが、今回EDGE820も一緒にもって出掛けてライド中比較してみました。どちらも新品というわけではないのである程度数値は割愛してみて頂きたいのですが、8時間ほどのライドを終えたエレメントのエレメントのバッテリー残量が30%ほど、820が10%だったのでバッテリーの持ちの良さに関しては心強い感じです。
ワフーエレメントはこんな人におすすめ
いろいろ書いてしまいましたが、まとめるとワフーエレメントはこんな方におすすめと言えそうです。
◇ライド中シンプル操作にこだわりたい!
アナログ液晶、ボタン操作など敢えてハイスペックを追わなかった点は実際使ってみると昼夜の視認性も悪くないですし、画面スクロールやメニューの拡大縮小など、タッチパネルよりもむしろ操作面で優れているのではと感じる部分も多かったです。
地図操作など長指グローブでの操作でもたつかないのがライド中非常にストレスなく快適でした。
◇コストパフォーマンス性と機能のバランスが気になる!
手ごろな価格であっても使い勝手がビミョーだとがっくりですが、操作性以外にもバッテリーの持ちであったり地図やルート表示機能も工夫されていたりとワフーエレメントとしても個性もあってガーミンよりも価格が抑えられているのは結構魅力的なのかなと思います。
◇人と違ったサイクルコンピュータを使ってみたい!
トレーニングやイベント、今回試してみたようなロングライドなど機能の信頼性が確保されているのなら、ガーミン以外でも良いよねという話にもなってきます。
海外では日本以上に認知度も上がってきているので人と違ったコンピューターを使ってみたいという方には響きそうなブランドです。
◇ずばりガジェット好き!
デザインも個性的で正直カッコいい!と思いますし、エレメントは画面も大きいのでマップの確認だけでなくデータ視認もしやすいので頼りになります。なんといってもライド中に光るLEDのステータスバーはガジェット好きにはハマるかも。ナイトライダー(古い!)的なピコピコ感ですがナビで移動中便利でしたよ。
ガーミンのGPSサイクルコンピューターと比較する
まったく余談ですが、日本語の表示がたまにちょっとヘンだったりするのはご愛敬というところでしょうか。。サイトやアプリなど含め、んっ?という言い回しもあったりします。アップデートで段々洗練されていくことを期待したいです。
電源OFF時の表示画面がかわいい(Please waitが直訳されてる!)とか暖かい目でそんなところを見守ってあげる必要はありそうですね。
という事でだいぶ長い記事になってしまいましたが、コストパフォーマンス性の良さ、モノクロ液晶やボタン操作とすることでバッテリー持続性やライド時の操作性などガーミンに対して優位性を持たせたワフーのエレメント。
まだまだ知らない方も多いですがじわじわと人気が上がってきているので今後の動きも要注目!なブランドなのでぜひ覚えておいてくださいね。