電動アシスト×ロードの極み!Domane+SLR 7の実走レビュー
こんにちは。オンライン担当の宮崎です。電動アシスト付き E-Road 「Domane+SLR7」が組みあがりましたので実走レビューをお届けします。
埼玉が誇るヒルクライムの名所・白石峠および激坂数本を登ってみましたが、果たしてバイクの実力はいかに?
結論から申し上げますと、半年以上待ったかいがあった、高いお金を払った甲斐があった最高に満足できるロードバイクでした!
Domane+SLR7の基本スペックをおさらい
ベースはDomaneのハイエンドバイクです
フレームには、Domaneシリーズの最高峰「SLR」を採用。軽量かつ剛性の高いOCLV800カーボンを使用し、バッテリーやモーターを搭載しても**実測重量は12.25kg(ペダルなし)**という驚きの軽さです。
さらに、Domaneシリーズの象徴ともいえる「IsoSpeed」テクノロジーを搭載。これにより振動吸収性が高く、長距離でも快適な乗り心地が特徴です。
TQ製アシストユニットを採用
ドイツ製のアシストユニット「TQ-HPR50」を採用。重量は約1.85kgと非常に軽量で、特許技術「ハーモニックピンリングドライブ」により小型かつ静音。ペダリングに対するアシスト感も自然で、出力性能は定格250W、最大300W、トルク50Nmというパワフルさを誇ります。
▶車体についてもっと詳しくはコチラ→Domane+SLR 7
現時点で、TQユニットを搭載したトレックのEバイクは、このDomane+ SLRシリーズのみ。
前情報が少なすぎたため、果たしてDomane+ALと同じように(以前のライドブログ参照:「坂バカさんの休日に電動アシストロードDomane+ AL5でついて行く!100㎞完走!」)坂バカさんたちと一緒にヒルクライムライドを楽しめるだろうかと、ドキドキしておりました。
ライドフィーリングは?アシストの自然さとロードらしさの両立
漕ぎ出しの加速感が秀逸
まず秀逸なのが、発進時の加速感。ほとんどモーター音がせず、漕ぎ出しとともにスルスルーッとなめらかに加速していきます。感覚としては「5回くらい漕いだら、あっというまに時速24㎞でアシスト切れちゃってるじゃん」という感じです。
フルカーボンゆえのマイルドな乗り心地、チューブレスならではの滑らかな走りを感じられて、平地の伸びやかな走りがめちゃくちゃ気持ちいいです。さすがハイエンドバイク。
アシストなしでの平地巡行は?
電動アシストバイクには時速24㎞の壁があります。時速24㎞でアシストは頭打ち、そこから先のスピード域では踏む力とバイクの走行性能が試されます。
ドマーネ+SLR7の入荷を待ち焦がれて書いた記事「私がドマーネプラスSLR7を購入しようと思った理由」のなかでも触れていますが、ドマーネ+SLRならもう少し速く走れるのではなかろうかと、期待をしておりました。
平地30㎞/h巡行OK!
ドマーネ+AL5で走った際は登り坂では誰よりも余裕なのに、平地で時速25㎞超えるとどんどん引き離されていましたが、なんとドマーネ+SLR7では時速30㎞での巡行も問題なし!ちゃんとついていけている!
踏んだ分だけバイクが応えて進んでいくDomane SLRのハイエンドバイクらしい走り、そしてAeolus Pro37のホイールのおかげでスピードの維持がしやすい。加えて、アシストによるスムーズな発進で、体力の消耗を抑え、車体重量12㎏でもトレインから離脱することなく走れたのは感動です。
TQは音も静か
斜度のきつい坂ではアシストのウィンウィンした音が聞こえましたが、漕ぎ出しでは全く気にならないレベルです。あんまり大きいと、周りの人に迷惑ですし、登り坂で追い抜くのが忍びないというか…。
登坂性能は?
全然登れない人が登りって楽しい!となる軽快なアシスト。ここで今回のライドルートを紹介します。
【ライドデータ】
総走行距離:71km 獲得標高:1533m
- 白石峠(6.3km、平均勾配8.6%、獲得標高530m)
- 埼玉のラルプ・デュエズ(最大勾配20%以上)
- 萩日吉神社の坂(激坂)
- その他、温泉スタンド坂、高本山峠、物見山など
初陣としてはなかなかに走りごたえのあるコースでしたが、白石峠での成果は…。
じつは私、白石峠は7年ぶりです。これまで2回ロードバイクでチャレンジしたことがありますが、2回くらい足をついてしまって、結局1時間近くかかった苦い思い出しかありません。
スタートの坂ですでに遅れをとり、自分の粗い息づかいと心臓の波打つ音を聞きながら、諦めたい気持ちに耐え、孤独に足を回し続ける場所でしかありませんでした。白石峠は実力テストの場所なんだと。
半年以上ぶりのロードバイクで白石峠34分
ところが、今回の私はまったく違う!
おしゃべりしながら、時折きついわーとぼやきながらも、同じ(それを上回る)ペースで走れる奇跡。ドマーネ+SLR7で走ると、ここはタイムアタックの場所ではなく、ただの楽しい峠道なんだと180度価値観が変わります。
白石峠では30分切りが目標とされており、30分を切れたら一端のクライマーといわれていますから、正直、ドマーネ+SLR7で本気で走ったら何分で走れるのか(;゚д゚)ゴクリ…
立ち漕ぎで踏んでいくのが楽しいバイク
これまでドマーネ+ALに乗っていたときは、とにかく足をクルクル回していけば良きようにアシストが効いて激坂も登れるという印象でした。トルクよりもケイデンスで、ほぼシッティングで十分。
ドマーネ+SLRはというと、足をくるくる回していてもいいですが、むしろ、トルクかけてちょっと踏み続けて進むくらいのほうが、アシストの効きがよいと感じます。
立ち漕ぎを交えた走りも、低重心設計のおかげで安定感抜群。これまで使わなかった筋肉を使う感覚が面白く、ダンシングしやすいのも魅力でした。
この低重心はドマーネの大好きなポイントでもありまして、下り坂でもコントロールがしやすくて、カーブなども安心感があります。峠を登れば、同じだけ下りますから、吸い付くような走りは強い味方です。ほんと最高。
ヒルクライムの充実感はそのまま
でもさすがハイエンドバイクといいますか、もっと速く走れるんだからちゃんと踏んでくれという叱咤激励が聞こえるような、ホイールからももっと回してくれという叫びが聞こえるような、バイクの走行性能の高さがヒシヒシと伝わってきます。
だから登り坂での立ち漕ぎが楽しくて、いつも以上に頑張ってしまい、電動アシストでもちゃんと息も上がるし、しっかり疲れました。
ですが、ノンアシストバイクの時とは違う疲労感がまた心地よく、ロードバイクで峠を登ったという充実感を感じることができる、とても満足度が高いバイクです。
バッテリーの実力をチェック!航続距離と充電時間
距離70㎞、獲得標高1500mでバッテリー消費66%
- 走行距離: 71km
- 獲得標高: 1533m
- 消費バッテリー: 66%(体重50kg、内蔵バッテリーのみ使用)
気になるバッテリー残量はというと34%(体重約50kgです、内蔵バッテリーのみ使用)。1500m以上の登ってまだ34%もあるとは。
メーカーの公表値ではECOモードで97㎞ということですので、ほぼミドルモードで70㎞走って34%残っている時点で、なかなかやりおるゾという話です。
ただ、体重が違えば全然違う数値になってしまうのも事実です。現にE-MTBライドでは90kg近い男性スタッフと同じ道を走って、バッテリー残量に30%の差があったこともあります。
平地ではアシストの出番は少ない
走った感じからすると、漕ぎ出しではあっという間に時速24㎞になり、そこから平地ではほとんどアシストの出番はなかったです。
エコ、ミドル、ハイの3つのアシストモードが切り替えできるのですが、白石峠はミドルで登っています。ハイモードを使ったのは斜度15%超えるところがある激坂区間でしたし、そもそも車体重量が12㎏と軽いこと、バイク自体の走行性能の高さも秀逸なため思いのほか消費電力は少ないのかもしれません。
油断は禁物ですが。
充電時間は約2時間
バッテリーの充電時間は約2時間でフル充電可能。短時間での充電が可能なので、ロングライド前の準備でもストレスなく対応できます。
アシストのチューニングができる
TREK Centralアプリが必須
「TREK Centralアプリ」へ接続するとなんと、エコ・ミドル・ハイのそれぞれのアシストのチューニングができます。もちろん時速24㎞までのアシストというのは変わりません。
これがなかなか面白い。私の所有するBOSCH製アシスト搭載のE-MTBにもなかった機能ですし、Domane+ALの発売当初にもなかった機能です(現在はHyena製のバイクもTREK Centralアプリと接続ができて、最大出力とペダルレスポンスの変更ができるようになっています)
サイコンとしても使えますのでスマホホルダーがあると便利かもしれません。
乗り出す前に初期設定をぜひ確認してください。
設定はアプリで行うので、ライド中に気に入らなければ何度でも直せます。
初回ライド時の落とし穴
お恥ずかしいことに私は説明書も読まず、何の設定もせずに走り出してしまいました💦
白石峠の1週間前に慣らしで走ってみたのですが、坂にさしかかってきたときに、踏んだ瞬間に思うほどのアシストを得られていないような感じがして、しっくり来なかったのです。
考えうる理由は、ポジションの調整不足や、一人だとぺースがつかめずにオーバー気味のスピードで登ろうとしていたなど、複合的な要因もありますが、ひとつには、アシストの設定の問題はありそうです。
BoschのE-MTBのターボモード(踏んだらおへそから引っ張られる感じのパワフルアシスト)に慣れていたせいもあるかもしれません。で、アプリの設定をのぞいてみたら「ペダルレスポンス」という項目があります。
ペダルレスポンス?
" ペダルレスポンスとは、アシストの開始のタイミングの制御。すぐにスピードを上げたいときは、最も速いレスポンスで。緩やかに踏み込めば、ふらつきを抑えられる。
とのこと。で初期設定を見たら、5段階中なんと1でした。しっくり来てないのこれじゃない?5にして走ってみたら、たしかに加速時のグイっと感が増しました。
後続距離は設定を変えたことで3~4kmくらい落ちますが、背に腹は代えられない。電動アシストはこうじゃなくちゃ!
走りに合わせた快適なアシストが可能
👇これが私の今の設定です
エコ・ミドル・ハイとは名ばかりで、好みの3つのモードを登録できるともいえます。
冷静になると、ペダルレスポンスもすべてを5にすればいいというものでもない気がしてきます。
たとえば坂道の途中で発進したいとき。立ちこぎで踏み出す際に、踏んだ瞬間のフルアシストだと、後輪がから回ってしまったり、よろける可能性があります。(E-MTBで苦戦するのはこれ)。
アシストパワーをちょっと抑えめにして、ペダルレスポンスも抑えめにしてみたら坂道発進しやすくなるだろうかとか、いろいろ気になってきます。
そのあたりの設定は追々やってみるとしても、今後の可能性を感じました。
まだ発展途上中?
あとこの記事を執筆している時点ではライダーの出力(W)が非表示となっています。ドライブユニット側のアシスト出力は表示されます。そのせいなのか、アプリ上での消費カロリーもおかしい数値に。このあたりは今後に期待!
弱点といえるほどではないが
苦手なのは自力で登れるゆるい坂かもしれない
個人的にですが、電動アシストロードでの登り坂では時速14㎞の壁があると思っておりまして、それより速く走ろうと思うと、それなりにトルクをかけて踏み続けるか、ケイデンスを上げるかが必要になります。ラクをして登りたい方にとっては、疲れる走り方です。
平地を24㎞/hを上回るいいペースで走った勢いで、坂に差し掛かり時速17~20㎞くらいに落ち始めると、普通に回しているだけだと、アシストの効きもイマイチに感じられ、あれよあれよと失速します。
こういうときはノンアシストのバイクの方が、速く走れるなぁと思います。
無理をしない速度で走るが疲れない秘訣
Eロードの場合、とくに一人で走る際、オーバーペースにならないようにするのが疲れない秘訣です。大事なのはスピードを気にしないこと。時速10㎞前後で登れればだいたいの坂はOKですし、ノンアシストのロードバイクでヒルクライムとなれば、それくらいのペースです。
総評:Domane+SLR7は最高のEロード!
Domane+SLR7は運動不足や体力に自信がない方でも、坂道を楽しく登れるロードバイク。それでいて平地でもしっかり走れる性能があり、まさに万能型Eロードです。
正直なところ、ドマーネ+SLRが来るまでの半年以上、ロードバイクに乗っておりませんでした。超運動不足でして。それでも、20歳近く離れるスタッフと一緒に峠を笑顔で登り、平地もついていける奇跡を、喜びを、どう表現したらいいのかもう分かりません。
とにかくドマーネ+SLR7は、2024年買ってよかったものランキングの堂々1位に輝きました!
所沢店にてご試乗できますのでこの感動をぜひ!