ディスクブレーキのパッド交換時期と摩耗点検ガイド

2025年2月11日by 港北バイクプラス

 

ディスクブレーキのメンテナンス、できていますか?

こんにちは!港北ニュータウン店の金丸です。皆さんはディスクブレーキのついたスポーツバイクにお乗りですか?

近年、TREKをはじめとする主要スポーツバイクメーカーがラインナップする、ロードバイクのほとんどのモデルがディスクブレーキというブレーキシステムを採用するようになり、主流と言えるものとなりました。

ディスクブレーキは雨の日でも安定した制動力でしっかり止まり、長距離ライドや下り坂でスピードが出てしまう場面でも、コントロール性の良さから安心感や快適性を向上させる重要な役割を果たしています。
実は、マウンテンバイクでは2000年代前後から使われており、その良さが認められています。ここ数年のうちにクロスバイクなど街乗り自転車にも広がってきたので、その便利さを実感されている方も多いのではないでしょうか。

しかし、快適な走行を続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に「ブレーキパッドの摩耗点検」と「適切なタイミングでのパッド交換」は重要です。気づかずに乗り続けていると、ブレーキの効きが弱くなり、最悪の場合、ローターの破損や大きな事故につながることもあります。

そこで今回は、ディスクブレーキパッドの摩耗点検のポイントや、適切な交換タイミングについて詳しく解説します。現在ディスクブレーキモデルに乗っている方はもちろん、これから購入を検討している方も、ぜひ参考にしてください!



ディスクブレーキパッドとは?

ディスクブレーキは、ホイールに取り付けられた「ローター」と呼ばれる円盤を、キャリパー内の「ブレーキパッド」が挟むことで制動力を発生させます。

システム一式イメージ図

油圧ディスクブレーキシステム一式イメージ図


ローターおよびキャリパー断面図

ディスクブレーキローターとキャリパー断面図

クロスバイクやロードバイクでも広く採用されており、雨の日でも安定したブレーキ性能を発揮することが特徴です。

クロスバイクのリアブレーキをアップで写した写真

ただし、パッドの摩耗を放置すると制動力が低下し、ブレーキパーツへのダメージが発生することがありますので、定期的な点検と交換が重要です。

新品と摩耗品のシマノのブレーキパッドを並べた写真

ディスクブレーキパッドの摩耗点検方法

スポーツ自転車のディスクブレーキパッドの摩耗をチェックする方法はいくつかあります。初心者の方でも簡単にできる方法から、より詳細な確認方法まで紹介していきます。

1. 目視による簡単な点検方法

最も手軽な方法は、ブレーキキャリパーの隙間から直接パッドの厚みを目視で確認することです。

手順

  1. 自転車をスタンドなどで固定し立たせる。
    ┗壁などへ立てかけるのは倒れる恐れがあるため非推奨。
  2. 自転車のライトやスマートフォンのライトを使用して、キャリパー内部を照らす。
    スタッフがリアブレーキにライトの光を当てて、ブレーキパッドの残量を目視で確認している様子
  3. パッドの摩耗状況を確認する。
    ┗新品時は約2mm、交換目安は0.5mm以下。見た目で薄くなっているのがわかる様なら、早めに点検にお持ち込み下さい。

チェックポイント!

シマノとスラムのブレーキパッドを並べた写真
  • シマノ:0.5mm以下になったら交換推奨
  • スラム(SRAM):1mm以下になったら交換推奨
  • パッドの接触部が極端に薄くなり、金属の土台が見えていたら手遅れ。ローターの摩耗具合にも要注意!
    摩耗が限界点を超えたブレーキパッドとローターの写真

2. ホイールを外して詳しく確認

より正確にパッドの摩耗状態を確認する場合は、ホイールを外してキャリパー内部を直接チェックします。

手順

  1. 自転車を安定させる。
    自転車スタンドにセット、またはひっくり返して作業しやすい状態にします。
  2. ホイールを取り外す。
    ┗クイックレバーやスルーアクスルを緩め、前後のホイールを取り外す。
    前輪のスルーアクスルに6mmの六角レンチを差し込み緩めている様子
  3. パッドの厚みを確認。
    ブレーキパッドの厚みを定規で計測している様子
  4. ノギスや定規を使って厚みを測定。
    ┗0.5mm以下で交換。
  5. 地面へ降ろす、または正位置に起こし改めてホイールの取り付け。
    ホイールがまっすぐ取付けできていることを確認する。

注意点

  • 油圧式の場合は特にホイールを外した状態でブレーキレバーを握らないようにしましょう。
  • クイックレバーやスルーアクスルの締め加減に注意しましょう。

3. 異音やブレーキの効き具合で判断

パッドの摩耗は、ブレーキの効きや異音として現れることがあります。

チェックポイント!

  • キーキー音やガリガリ音がする(パッドが薄くなり金属部分がローターに接触している)。
    新品・摩耗品・摩耗限界それぞれのブレーキパッドを並べた写真
  • ブレーキの制動距離が長くなった。
  • レバーを深く握らないとブレーキが効かない。


点検の頻度

ブレーキパッドのセルフチェック(点検)は、以下の頻度で行うことをおすすめします。

使用頻度 点検頻度
毎日の通勤・通学 1か月に1回
週末ライド 3か月に1回
ロングライド 走行距離3,000kmごと


専門店での点検を活用

もしご自身での点検が難しい場合や、残量の見方やチェック方法が不安な場合は、お気軽に最寄りのバイクプラスまでお持ちください。

点検項目例:

  • パッドの摩耗状況の測定
  • キャリパーやローターの状態確認
  • ブレーキフルード(油圧式)の交換提案
  • ブレーキワイヤー(機械式)の錆や傷みによる交換提案


ディスクブレーキパッドの交換タイミング

ディスクブレーキパッドは走行距離や使用環境に応じて摩耗し、適切なタイミングで交換しなければ制動力が低下し、安全な走行が難しくなります。一般的な交換の目安は以下の通りです。

1. パッドの厚みで判断

  • シマノの場合:パッドの厚さが 0.5mm以下 になったら交換推奨。
  • スラム(SRAM)の場合:パッド厚が 1mm以下 で交換推奨。
  • パッドの金属の土台が見えはじめた場合は即交換

新品のブレーキパッドは約2〜3mmの厚みがあり、徐々に摩耗していきます。目視でチェックし、摩耗が進んでいる場合は早めに交換を検討しましょう。

2. 走行距離で判断

走行環境 交換目安の走行距離
通勤・通学 約3,000~5,000km
ロードバイク 約5,000~8,000km
MTB(オフロード) 約1,500~3,000km
雨天・泥道走行 約1,000~2,000km

距離はあくまでも目安です。基本は3,000~5,000kmで交換と言われていますが、走行環境やクリーニング等メンテナンス頻度によってはもっともっと短いケースは往々にしてあり得ます。

実際、平坦路が多い大宮、戸田、三郷のお客様と、坂が多い港北、多摩のお客様とではパッドの減りがまったく異なります。また、雨の日や泥道を頻繁に走る場合、摩耗が著しく進行するため、こまめな点検が必要です。

《あくまでも目安》ですので、距離での判断はオススメしません!厚みを見ましょう!

3. 異音や制動力低下で判断

  • ブレーキ時に「キーキー」「ガリガリ」といった異音が発生する場合、摩耗が進んでいる可能性があります。
  • レバーを強く握らないとブレーキが効かない場合も、オイルを吸っている可能性が高いのでパッドの交換が必要です。
  • 制動距離が長くなり、ブレーキの効きが以前より弱くなったと感じたら点検を行いましょう。

ディスクブレーキパッドの交換方法

ブレーキパッドの交換作業は比較的簡単ですが、正しく行わないと制動力に影響を与えるため、以下の手順に従って慎重に作業を進めましょう。

必要な工具

ブレーキパッド交換の際に使用する工具を並べた写真
  • 六角レンチ(バイクやコンポーネントにより、使用するサイズが異なります)
  • マイナスドライバー
  • トルクスレンチ(SRAM製ブレーキキャリパーは取付ボルトがT25規格)
  • ラジオペンチ
  • パッド押し戻しツール(またはタイヤレバー
  • クリーナー(WAKO'Sフォーミングマルチクリーナー・こども用歯ブラシなど)
  • 作業用手袋

交換手順

  1. 自転車を安定させる。
    自転車スタンドにセット、またはひっくり返して作業しやすい状態にします。
  2. ホイールを取り外す。
    クイックリリースやスルーアクスルを緩め、ホイールを取り外します。
    前輪のスルーアクスルに6mmの六角レンチを差し込み緩めている様子
  3. ブレーキキャリパーの点検。
    キャリパー内にゴミや汚れが溜まっていないか確認します。
    ブレーキキャリパー、パッド、ピストンにブレーキダストが付着し汚れている写真
  4. 古いパッドを取り外す。
    ピンやスプリング、抜け止めクリップを外し、使用済みのパッドを取り出します。このタイミングで念入りに掃除をしましょう。
    汚れたブレーキキャリパーをワコーズのフォーミングマルチクリーナーを使って洗浄している様子
  5. ピストンを押し戻す。
    新しいパッドが正しく装着できるよう、キャリパー内のピストンを押し戻します
    ピストンを樹脂のタイヤレバーで押し戻している様子
    ※作業時にピストンを斜めに押し戻さないよう注意してください。
    ※ピストンがセラミック(白色)で出来ているモデルもあります。力をかけすぎると割れてしまうことがあるため樹脂製のタイヤレバーなどで慎重に作業して下さい。
    セラミック製ピストンの写真
  6. 新しいパッドの取り付け。
    スプリングにセットした状態でキャリパーに挿入し、ピン・抜け止めクリップを忘れずに元に戻します。
    ブレーキパッド交換の際に抜け止めクリップを付け忘れないように注意が必要
  7. ホイールの取り付け。

  8. 地面へ降ろす、または正位置に起こし改めてホイールの取り付け。
    ┗ホイールがまっすぐ取付けできていることを確認する。
  9. ローターがキャリパーの真ん中に来ていることを確認。
    ズレている場合は工具でネジを緩め、キャリパーの位置を修正する。
    ブレーキキャリパーの真ん中にローターが配置されている写真
  10. ブレーキレバーのチェック。
    パッドがローターにしっかり当たるか確認します。
    ※当たりが悪い場合は、手順9・10を繰り返し行います。

注意点

  • ホイールを外した状態でブレーキレバーを握らないようにしましょう。
  • クイックレバーやスルーアクスルの締め加減に注意しましょう。
  • パッドにR・Lの表記があるもは向きに気を付けて取付けましょう(R:ギア側、L:ブレーキ側)。
  • 交換後は、慣らし走行(30回ほど軽いブレーキング)を行い、パッドとローターの馴染みを確認しましょう。


日常メンテナンスの重要性

ブレーキシステムの寿命を延ばし、安全に走行するためには、日常的なメンテナンスが欠かせません。以下のポイントに注意してメンテナンスを行いましょう。

1. 定期的な点検

  • 1か月に1回、ブレーキパッドの厚みを目視で確認。
  • レバーの引きしろが大きくなっていないか確認。
  • キーキー、ガリガリなど異音が発生していないか確認。

2. ブレーキ周辺の清掃

3-1. オイルの交換(油圧ブレーキの場合)

油圧ディスクブレーキは、定期的なオイル交換が必要です。交換目安は1年に1回、またはパッド交換の2回に1回を推奨します。
尚、スラム製などDOTオイルを使用しているモデルに関しては、あまり乗っていない場合でも最低1年に1回の交換が必須です。

ロードバイクのブリーディング作業の様子

詳しくはコチラのブログ記事をご覧ください↓↓
▶ディスクブレーキのオイル交換タイミングはいつ?セルフチェックとお店での点検のすすめ

3-2. ワイヤー交換(機械式ブレーキの場合)

機械式ディスクブレーキは、油圧式に比べて構造がシンプルでメンテナンスがしやすい一方で、定期的な点検と調整が必要になります。特にブレーキワイヤーは消耗品であり、適切なタイミングで交換しないとブレーキ性能が低下したり、最悪の場合、ブレーキが効かなくなる可能性もあります。

 レバーの遊びが大きくなったり、握りが重たくなる前に、まずは点検にお持ちください。


ディスクブレーキの安全性と注意点

ディスクブレーキは高い制勘力を持つため、安全性が大きく向上しますが、適切なメンテナンスが欠かせません。

  • 定期的なクリーニング:クリーナーで定期的に清掃し、性能を維持します。
  • 油やグリスの付着防止:注油時にローターへ油が付かないよう注意しましょう。
  • 異常を感じたら点検:レバーの引きしろの変化や異音に注意し、異常を感じたらお早めにお持ち込み下さい。

油圧ディスクとワイヤーディスクの違い

種類 メリット デメリット
油圧ディスク 高い制勘力、軽い操作 メンテナンスが複雑
ワイヤーディスク 手軽なメンテナンス 制勘力がやや劣る

油圧式・機械式それぞれの特徴についてはコチラのブログ記事をご覧ください↓↓
▶油圧ディスクブレーキのメリットとおすすめディスクロードバイク


まとめ

ディスクブレーキパッドの点検と適切な交換は、安全なライドを楽しむために不可欠です。

ブレーキパッドの状態をスタッフが確認している様子
  • 定期的な点検を行い、安全を確保する。
  • 異音や制勘力の低下を感じたら早めに交換する。
  • 専門店でのメンテナンスを活用する
  • ローターの摩耗状況も一緒に確認し、即時の対処を心がける
  • 油圧式の場合、フルードの定期交換を行い、エアー抜きも行う。
  • あらゆる環境での走行に備え、雨天時や山で走行する場合はパッドセットの備えも重要。

心配な方は、是非バイクプラスの点検サービスをご活用ください。定期点検はパーツの寿命を延ばし、安全で楽しいライドには不可欠です。

▶バイクプラスのメンテナンスについてはこちら


よくある質問

Q. ディスクブレーキパッドの交換タイミングはどのくらいですか?

A. 一般的な交換目安は、基本的に3,000~5,000kmです。ただし、これは目安でしかありません。定期的に厚みの確認を行い、坂道、雨の日や泥道を多く走る場合は、早めの交換をおすすめします。

Q. ブレーキパッドの摩耗をどうやって確認できますか?

A. 目視での点検が可能です。キャリパーの隙間からパッドの厚みを確認し、0.5mm以下になったら交換が必要です。ホイールを外すことで、より正確なチェックができます。

Q. パッドの摩耗を早める原因は何ですか?

A. 雨天走行やダート走行、頻繁な急ブレーキ、重い荷物の積載が摩耗を早める主な原因です。特に泥や砂がパッドに付着した状態は摩耗が早くなりますので、走行後は綺麗に掃除してあげましょう。
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また、前後輪のブレーキをバランス良くかけることを意識しましょう。前輪にばかり強くブレーキをかけると、摩耗を早まらせてしまうだけでなく、転倒のリスクも高まります。

Q. 異音が発生するのはなぜですか?

A. 「キーキー」「ガリガリ」といった異音は、パッドの摩耗や、ローターに油分や異物が付着している可能性があります。異音が続く場合は、クリーニングやパッドの交換を検討しましょう。

Q. ブレーキパッドの交換は自分でできますか?

A. 交換作業は基本的な工具があれば自分でも可能です。必要な工具は、六角レンチ、パッド押し戻しツール、クリーナーなどです。ただし、不安な場合は専門店での交換をおすすめします。