所沢で始まる「武蔵野 ART HIKE」──アートとまちを自転車でめぐる新しい体験【試走レポート】
こんにちは、西村です。きょうは、所沢で進んでいる「アート×まち歩き(自転車含む)」の新しい取り組みについて、所沢店店長の相田がコース作りに協力し、関係のみなさんと一緒に試走してきた様子をお届けします。名前は「武蔵野 Art Hike(PR TIMES プレスリリース)」、地元の企業・大学・自治体が手を取り合い、“徒歩と自転車で気軽に巡れるアートの旅”を目指して動いています。
試走当日は、夏頃からコース作りに関わってきた相田を中心に、オンラインストア担当の西村と宮崎も同行。私たちは「自転車の専門店として、誰でも安心して楽しめるか」を確かめるために、小手指を起点に、狭山ヶ丘・和ヶ原商店街・三ヶ島・狭山湖・多摩湖をぐるっと回って、再び小手指へ戻る周回コースを走りました。想定は、スポーツ自転車はもちろん、シェアサイクルでも無理なく楽しめる“寄り道が楽しいルート”。走りやすさ・安全性・景観・休憩ポイントなどを細かくチェックしてきました。
どうして試走したの?
今回の試走は、所沢市・早稲田大学人間科学学術院・西武鉄道株式会社・株式会社KADOKAWAさんが主催する地域アートプロジェクト「武蔵野 Art Hike(ところざわ サクラタウンHP)」の準備段階で実施しました。まちの各所に点在するアートや文化資源を、自転車や徒歩で気持ちよく「つなぐ」ことで、地域をやさしく回遊できるのが理想。所沢の景色や商店街、丘陵や湖のほとりを、いつもより少し新鮮な視点で味わえるようにルートを考えています。
私たちバイクプラスにお声がけいただいたのは、「楽しさ」と「安全」の両方にこだわる目線があるから。とくに、電動アシストのシェアサイクルで気軽に巡りたい方にとって、坂の勾配・道幅・交通量・信号のつながり・路面の凸凹は満足度に直結します。小さな配慮の積み重ねが「また来たい」をつくる——そう考えてチェックしています。
当日は、所沢店の相田店長と早稲田大学の加藤先生が作成したコースを実際に走り、路面の走りやすさ、交通量、勾配、停車しやすい場所などを中心に確認しました。はじめての方でも安心して楽しめるよう、細かなポイントをひとつずつ確かめながらのチェックです。
きょう走ったルート
起点は西武池袋線・小手指駅。駅周辺で集合しやすく、シェアサイクルのポートが多いのもポイントです。まずは駅北側から流れをつかみ、狭山ヶ丘方面へ。幹線を極力避けつつ見通しのよい道を拾いながら、和ヶ原商店街に立ち寄ります。昭和の名残と新しい風が共存する商店街は、ちょっとした休憩や軽食スポットとして相性抜群。イベント期間中は、アート展示やスタンプラリーなどの仕掛けもイメージしやすい場所です。
その後は三ヶ島エリアへ。所沢らしい里山の風景が広がり、季節の空気感をまるごと浴びられます。今の時期はコスモスがとても綺麗。勾配はあるものの電動アシストなら快適にクリアできる程度で、交通量が少ない時間帯を選べば、会話しながらでも気持ちよく走れます。
さらに狭山湖、多摩湖へ。水辺と森が近く、日差しの角度で表情がくるくる変わるエリアです。苔むした路肩の緑も絵になって、つい歩調を落として眺めたくなる瞬間が多め。湖畔には写真映えスポットが点在し、ベンチも多くて休憩にもぴったり。最後は小手指へ周回して戻る想定で、帰り道で迷わない導線も意識しました。
全体の距離は、電動アシストのシェアサイクルでも安心して回れるボリューム。寄り道を存分に楽しんでも半日〜1日で気持ちよく走りきれるよう、休憩と補給のポイントもセットで考えています。
余談ですが、当日はKADOKAWAの金子さんがシェアサイクルで参戦。道中で多段変速クロスバイクタイプの電動アシスト車を見つけて乗り換えた途端、まるでRPGで「伝説のパパチャリ+10」を入手したかのように加速!(笑) 坂セクションでは「アシスト・ブースト」が発動したのか、体感の難易度が一段階下がった印象でした。こういう“現地でクラスチェンジできる”自由度も、このエリアの魅力です。
写真映えという点では、湖畔にSAYAMAKOといったアルファベット型のフォトモニュメントを設ける案も考えられます。しまなみ海道や琵琶湖のように、自然と「シェアしたくなる」導線が生まれ、地域の魅力発信を後押しします。もちろん、景観や周辺の生活環境への配慮、混雑時の安全導線づくりが前提ですが、冬の早朝に逆さ富士を狙えるロケーションでの演出は、気持ちのよいSNS拡散につながりそうです。
立ち寄りどころと小さな注意
小手指エリア:集合・返却がしやすい拠点。時間帯によっては駅前の交通が多めなので、スタート直後は落ち着いて進める道を選ぶと安心です。シェアサイクルを使う場合は、事前にポート位置を確認しておくとスムーズ。
狭山ヶ丘〜和ヶ原商店街:生活道路が中心で、歩行者の方も多いエリア。信号や一時停止が続く場面では、無理に詰めずにゆったり。商店街は自転車を降りて歩くと、景色もお店もじっくり楽しめます。立ち寄りたいご飯屋さんがいっぱいです。
三ヶ島:里山らしい小さなアップダウンが心地よい区間。車一台も通れなさそうな細い小径が続き、土塀や畑の匂い、風に揺れるコスモス、色づく柿、茶畑の緑が目にやさしい——そんな“所沢の原風景”に出会えます。
狭山湖・多摩湖:水辺と森のコントラストがきれいで、つい写真を撮りたくなるスポットが点在。停車は周囲の様子を見ながら、安全に余裕をもって。自転車歩行者道と一般道の切り替えポイントは、特に注意して通過すると安心でした。
全体:電動アシストでも楽しめる距離感でした。バッテリー残量はこまめに見ておくと安心です。シェアサイクルをご利用の方は、出発前にタイヤの空気圧・サドル高・ブレーキ/変速の感触を軽くチェックしておくと、道中がぐっと楽になります。
今回の試走では、一部に交通量が多く側道が狭い区間もあり、時間帯によっては迂回の選択肢があるとよさそうだと感じました。個人的には、少しの砂利道や景色のよい丘へ上がる小さな坂は“ポタリングの楽しさ”の一部。そこに道中のアート作品が加われば、寄り道も含めてのんびり楽しめるコースになりそうです。
アートとまちがつながる感じ
このプロジェクトのユニークさは、アートを点ではなく線で体験できるところ。駅や商店街、里山や湖畔など、所沢らしい風景と暮らしの間を“つないでいく”途中で作品に出会うから、移動そのものが物語になっていきます。歩く速度、自転車の速度——その日の気分で変わる“体験の尺”もまた楽しい。
また、自治体・大学・企業がそれぞれの強みを持ち寄る点も魅力です。大学は地域文化の研究やワークショップ、企業は広報やオペレーション、そして私たち自転車店は安全・快適な移動体験の設計。役割が違うからこそ、立体感のある試みになります。
イベント期には、商店街での出会いや、地元の味に触れる寄り道もセットで楽しんでほしい。自転車は「遠くへ速く」だけじゃなく、「近くを深く」味わうためのツールでもある——そんな価値を、所沢からやさしく発信できたらうれしいです。
バイクプラスがやったこと・気づき
今回の私たちバイクプラスの役割は、ルートづくりへの協力と試走での確認です。走行ラインや路面の状態、交通の流れ、停車しやすい場所を、実際に走りながら確かめました。相田は「Eバイクやシェアサイクルで初めて走る人の目線」で、迷いやすい分岐や負荷のかかるポイントをひとつずつ点検。西村と宮崎はサポートとして同行し、どこで自然に足を止めたくなるか、案内があると安心な箇所はどこかといった素朴な視点でルートをチェックしました。
走ってみて感じたのは、少しの不安が楽しさを削ぐということ。たとえば、登り切った先の“ごほうび”がイメージしにくい、曲がるタイミングが分かりづらい、時間帯によって交通量が増える、写真を撮りたいのに停まりづらい——。そうした“小さなつまずき”を取り除くだけで、体験はぐっと良くなります。自転車のプロとしてできることは地味ですが、こうした地道な調整が、地域の取り組みを下支えする確かな基盤になると改めて感じました。
なお、今回のプロジェクトはアート展示が主役ですが、里山ならではのフォトスポットがもう少し増えると、寄り道がいっそう楽しくなりそうです。季節の花や茶畑を見渡せる小さな丘、畑の間を抜ける細い小径、湖を見下ろせる抜けのいいカーブなど——「ここで一枚」と分かる簡単な目印や、停車しやすい余白があるだけでも、思い出の切り取り方はぐっと広がると感じました。
ナビ運用の工夫:紙マップはルールやマナー、見どころ紹介を丁寧に伝えるうえで欠かせません。一方で、曲がり角ごとに数名が立ち止まると、車や歩行者の動線に影響が出やすいのも事実。進行には、Googleマップのルートデータ(事前ダウンロード推奨)+ハンドル取付のスマホホルダーの組み合わせが相性◎だと感じました。つまり、紙=啓蒙と全体像、デジタル=ナビゲーションと役割分担するだけで、体験の質はぐっと上がりそうです。
もうすぐ開催!正式発表はこちら
2025年10月8日にプレスリリースが発表され、武蔵野 ART HIKEが2025年11月1日(土)〜12月7日(日)に開催されることが正式に決まりました。 徒歩や自転車で所沢のまちを巡りながら、アートと自然を感じる新しいイベントです。 コースマップの公開ももうすぐ。7つのスタンプを集めると、限定デザインの手拭いがもらえるそうです! この秋は、ぜひ愛車で“アートとまち歩きの旅”に出かけてみてください。 詳しくは公式プレスリリースまたは所沢市のページへ。
リリース抜粋:武蔵野 ART HIKE とは
「武蔵野ART HIKE」とは、古くから⽂学や映画の世界に描かれてきた豊かな⾃然と、都⼼からのアクセスの良さが魅⼒の所沢で初開催する、アート鑑賞型のトレッキング・サイクリングイベントです。各ルートは、西武線沿線など電車の駅からスタートするので、車を持たない人でも参加可能。ディレクターを務める芸術家・東弘一郎に加え、6名のアーティストがここでしか見られないアート作品を展示します。また、会期中に特別に一般開放する「三ケ島オープンアトリエ」や、狭山茶や梅、新生姜を用いた“和のスポーツドリンク”など、訪れる人々に新たな体験を提供します。