ロードバイク用ビンディングシューズの選び方|失敗しない7つのチェックポイント

2025年6月2日by 西村大助

こんにちは。ハブダイナモ大好き所沢店の鶴見です。

さて今回はいつもご紹介するダイナモやポタリングなどからは趣向を変えて、ロードバイクに乗り始めると気になって来る”ビンディングシューズ”についてご紹介します!

ビンディングシューズはただ足をペダルに固定するだけではなく、脚力を効率よく伝え、あらゆるシチュエーションで疲れにくく、ペダリングを安定させてくれる“体の一部”のような存在です。

今回は「そろそろビンディングペダルに挑戦したい!」そんなあなたに向けて、考えるべきシューズ選びのポイントを解説したいと思います!

なお、当店でビンディングシューズとビンディングペダルをお求めいただいた方限定で、ペダル交換やクリート取り付け調整だけでなく、ローラー台でビンディングの脱着の練習もできる「ビンディングスターターFIT」というフィッティング&プチ練習メニュー(メンバー様は特別割引価格にてご提供)もご用意しています。ぜひご活用ください。


用途とのマッチング

ビンディングシューズを選ぶ際、一番最初に考えるポイントは「自分がどんなスタイルで走るか?」という視点です。

まず大まかに、出先での散策など歩行が多いシチュエーションで使用したい方はクリートが靴底の接地面から飛び出さず歩きやすい2つ穴タイプ(SPDなど)、走行時のダイレクト感を優先する場合にはペダルに対して接触面積が大きい3つ穴タイプ(SPD-SLなど)がおすすめです。

左:3つ穴タイプのSPD-SL 右:2つ穴タイプのSPD

シューズ用途に合っていないシューズを選んでしまうと、せっかくの高性能も持て余してしまうことに。逆に、目的に合った1足を選べば、快適性も楽しさもぐっとアップします。

目的別・シューズ選びの指針

目的・スタイル ビンディングシステムと適したシューズの特徴
レース/ヒルクライムロングライド 3つ穴タイプ カーボンなどを採用し軽量かつ高剛性/通気性の良さ
ポタリング/ツーリング 3つ穴or2つ穴タイプ 長時間使用しても快適な剛性感/通気性の良さ
グラベルロード 2つ穴タイプ 歩行性も考慮したソール/固定具への泥詰まりのしにくさ
通勤通学/街乗り 2つ穴タイプ スニーカーのようなシンプルなデザイン/耐久性の高さ

スペックや数字にとらわれず、実際の使用シーンや走り方を想像しながら選ぶのが、失敗しないコツです。

スニーカータイプは歩行の多い街乗りにも便利



フィット感と足型の相性

サイズが合っているのに足が痛い、しびれる——それ、実は“足型の相性”が原因かもしれません。ビンディングシューズ選びで最も重視すべきなのが、サイズではなくフィット感です。特にロードシューズは、足をしっかり固定する設計なので、合わないシューズはすぐにトラブルの原因になります。

足の長さと幅の目安をチェック!

チェックすべきフィットのポイント

  • つま先に5mmほどの余裕があるか?(踏ん張り時の圧迫を防ぐ)
  • かかとが浮かないか?(ホールド感の要)
  • 甲や小指の付け根が当たっていないか?(しびれ・痛みの原因)
  • 土踏まずに隙間がないか?(アーチの支え)

ブランドごとにラスト(足型設計)が異なるため、足の幅に合わせたシューズ選びも大切です。

TREK/BONTRAGER SHIMANO 標準+ワイドモデルも展開あり
GIRO 標準のほかハーフサイズアップがワイドモデルに対応
QUOC アジア人向けのワイドな足型
fi'zi:k  やや細め ワイドモデルでやや広め

よくあるNG例:
「ワンサイズ上げれば幅も広がるでしょ?」という買い方。これはフィットではなく“ゆるさ”を作っているだけで、結果としてクリートの前後位置が適切に調整できなかったりする可能性が出てきます。


ソールの素材と剛性

ビンディングシューズの「ソール(靴底)」部分は、ペダルとの接点であり、あなたの脚力をダイレクトに伝える最重要ポイントです。ここで注目すべきは、ソールの“素材”と“硬さ(剛性)”。素材によってペダルへのパワー伝達効率や快適性が大きく変わります。

軽量なOCLVカーボンを採用したソール

主なソール素材とその特徴

素材 剛性 特徴 おすすめの人
ナイロン ★☆☆ 低価格で初めてのビンディングで導入しやすい 通勤・ツーリング派
グラスファイバー混合ナイロンソール ★★☆ ナイロン単体より剛性がやや高く、カーボンよりも足なじみが良い ロングライド重視派
カーボン ★★★ 軽量・高剛性で、パワー伝達効率が非常に高い レース志向、ヒルクライム重視派

剛性が高いほど足裏にかかる力を逃がさず「踏んだ力を逃さない=速く進める」反面、路面からの振動も伝わりやすくなるため、快適性はやや犠牲になります。普段のライドスタイルや走行距離に合わせて選ぶのがポイントです。

ワンポイントアドバイス:
ビンディングシューズはソールが硬めな傾向がありますが、その硬さをうまく使うならインソールも一緒に使用するのがおすすめ!ひとそれぞれな足の裏の形状(アーチ形状)に合わせて面でサポートしてくれることにより、足の裏にかかる圧力を分散しつつもっと効率的なペダリングができるようになります。土踏まず(アーチ)の形に合わせたインソールで快適性アップ

クロージャー(締め具)

ビンディングシューズの“履き心地”と“調整のしやすさ”を左右するのが、クロージャー(締め具)です。どんなに良いソールやフィットでも、締め方が合っていなければ意味がありません。

主なクロージャーの種類と特徴

種類 特徴 メリット デメリット
ダイヤル式(BOAなど) ダイヤル式でワイヤーを巻き取る 走行中でも微調整しやすい/フィット感が均一 高価格帯モデルが中心
シューレース いわゆる靴ひもタイプ 靴ひもの加減で箇所によりフィット感の調整が可能 走行中の調整が難しい
ベルクロ式 入門用にラインナップ 比較的軽量ながらも価格も手ごろ ベルクロの痛みなどでフィット感に影響がでることも

ダイヤル式の豆知識:
例えば一般的に普及しているダイヤル式は左右それぞれを簡単に独立して調整できる機能もあります。ダイヤルの位置や個数によって、フィット感は驚くほど変わるので、“どこを締めるダイヤルなのか”も確認しましょう。

プロ視点アドバイス:
ロングライドが多い人や、脚がむくみやすい人にはダイヤル式一択と言ってもいいかもしれません。特に“ダイヤルを逆回しで緩められるモデル”はライド中のフィット感調整がとてもスムーズ。

私自身で使用するダイヤル式モデルは脱ぎ履きが楽で休憩中にちょっと脱いでリラックスできるところがお気に入りポイントです!



アッパーの通気性と素材感

シューズ内の蒸れや熱こもりがパフォーマンスを大きく左右するからこそ、アッパー(足の甲を覆う部分)の素材と通気性はしっかりチェックしたいポイント。近年ではニット素材のシューズも増えてきておりフィット感、通気性のどちらも確保した製品も!

主なアッパー素材のタイプと特徴

素材タイプ 特徴 向いているライダー
ニット系 通気性抜群/軽量/速乾性あり 夏のライドが多い人/汗っかきの方
合成皮革 メンテナンスが容易/速乾性あり オールシーズン使いたい人
天然皮革 使用とともに馴染みがでやすい フィット感にこだわりがある人/革製品が好きな人

通気性に優れたニットタイプ(FLR)


最高の通気性を誇るビンディングサンダル

通気性の良さでいえばサンダル+ビンディング機能を持った製品も!
夏場に水を浴びながら走ると最高に気持ち良く、根強い人気を誇る製品です。ラフなサイクリングにおすすめ!

プロ視点アドバイス:
夏のライドでよくある「蒸れて熱ダレ→パワーダウン」、特にロングライドでは通気性と足の快適温度を保つことが持久力の鍵になります。逆に冬は通気性が良すぎると冷えやしびれにつながるので、通年使いを狙うならシューズカバーとの併用を前提に選ぶのがおすすめです。



クリート調整幅

ビンディングシューズは、ただ足をペダルに固定するだけのものではありません。実は、クリート(ペダルと接続する金具)の取り付け位置を細かく調整できるかどうかが、ペダリング効率や身体への負担に大きく影響します。

クリート位置を調整する理由

  • 膝の痛みを防ぐ:自分の股関節・膝・足首の軌道に合った位置に調整することで、違和感を軽減
  • 筋肉の使い方を変えられる:前寄りにすると前腿メイン、後ろ寄りにするとハムストリングや臀筋が活きる
  • ペダリング効率を上げる:回転時のロスを最小限にできる

最近のシューズは、前後方向に5〜10mm、左右にも微調整が可能なモデルが増えており、中には「ミッドフットクリート・リアセット設計」(通常よりも後ろにクリートをつけられる設計)のシューズもあります。

プロ視点アドバイス:
クリートの“ほんの数ミリ”の位置調整が、膝痛や違和感の改善に直結することもあります。特に初心者の方ほど初期設定でトラブルが起きやすいので、ショップでのフィッティングサポートやクリートポジションチェックを強くおすすめします。



よくある失敗と選び方の優先順位

ビンディングシューズ選びでよくあるのが、「見た目」や「スペック」だけで決めてしまい、後から「痛い」「疲れる」「合わなかった」と後悔するパターン。ここでは、実際にありがちな失敗例と、それを防ぐための選び方の優先順位を紹介します。

ありがちな失敗例

  • 見た目やブランドイメージだけで選んで、足型に合わなかった
  • 「カーボン=最強」と信じて剛性が高すぎて足が疲れた
  • サイズは合っていたのに足がしびれる(→幅・甲高の問題)
  • ライド中に調整できず、足がむくんで痛くなった
  • 使用スタイルと全く合っていないモデルを選んでいた

失敗を防ぐためには特に
・用途とのマッチング
・フィット感
の2点を重視すると満足しやすいといえるでしょう!

シューズ選びに“絶対の正解”はありません。ですが優先順位の高い項目から決めていけば自然と満足できる製品に巡りあえるはずです!まずは試着・調整・相談を繰り返しながら、自分の足と心にフィットする一足を一緒に探しましょう!

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まとめ!推しブランドの特徴比較と選び方ガイド

ブランド 特徴 足型の傾向 向いているスタイル 特筆すべきモデル・機能 おすすめポイント
TREK/BONTRAGER Trekバイクとの一体感を意識した設計。シンプルで高性能。ワイドタイプあり。 やや広め、日本人向け ロード、エンデュランス、ロングライド Velocis、XXX|inForm BioDynamic、METNET METNETリリーフゾーンが足の形に沿ってフィット。Trekバイクユーザーに◎
Giro デザイン性と履き心地のバランスが魅力。快適性重視のラインナップ。ワイドモデルもあり。 標準〜やや広め ロード、ヒルクライム、見た目重視派 Empire(紐)/Regime(BOA)|SuperNatural Fitインソール 「足を包み込む」フィット感。長時間履いても疲れにくい
QUOC 英国ブランド。街乗り〜グラベルに強く、上品なデザインが特徴。 アジアンフィット、幅広め グラベル、ツーリング、街乗り M3 Air、Escape Road|スニーカーライクな見た目 “普段着でも浮かない”スタイル。機能性も意外と本格派
Fizik 高剛性ソールと洗練されたデザイン。プロ選手も愛用。ワイドタイプもあり。 やや細め〜標準 レース、ヒルクライム、剛性感重視派 Vento(軽量・硬め)、Tempo(快適性寄り) スタイリッシュで機能的。カーボンモデルの剛性は群を抜く
Shimano 国産ブランド。幅広・ワイド展開が豊富で誰にでも合いやすい。 幅広設計多し、日本人足向け オールラウンド、初心者〜上級者 RC3/RC5(エントリー〜中級)|RC7/RC9(S-PHYRE) 迷ったらこれ!最も安心感があり、価格も幅広く選べる
FLR イスラエル発。比較的手ごろながらもニットアッパーなど採用モデルもあり。日本人の足にもなじみやすい設計。 幅広〜標準、柔らかめアッパー 通勤、エントリー、ロングライド派 F-XX II(ハイエンド)/F-11(初級)|ニット素材も人気 知名度はまだ低めだが、「履いたら意外と良い」と好評

📝 どのブランドが誰に合う?

タイプ おすすめブランド 理由
Trekユーザー Bontrager フィット・色味・機能が最適化されている
幅広足・初心者 Shimano、FLR、QUOC 足にやさしいフィット+手に取りやすい価格帯
ロングライド重視 Giro、FLR、Shimano 履き心地や疲れにくさで差が出る
レース・剛性重視 Fizik、Bontrager、Shimano 高剛性ソール・軽量設計が強み
街乗りもおしゃれに QUOC、Giro Empire 見た目と実用性の両立ならこの2つ
とにかく“人と被りたくない” FLR、QUOC 通好みな選択で個性が出せる


まとめ:自分に合った一足で、ライドがもっと楽しくなる

ビンディングシューズは、ただの道具ではなく「走りを変えるパートナー」。フィット感・剛性・素材・クロージャーなど、細部にこだわって選ぶことで、驚くほど快適で効率の良いライドが実現します。

最初は難しく感じるかもしれませんが、この記事で紹介した7つのチェックポイントを押さえれば、シューズ選びに迷うことはありません。ぜひ、自分の走り方や足の個性に合った“本当に自分に合う一足”を見つけてくださいね。

あなたのライドが、もっと自由に、もっと快適に、もっと楽しくなりますように!



試着・相談はお気軽に!

ビンディングシューズの選び方に迷ったら、ぜひ最寄りのバイクプラス各店までお気軽にご相談ください。
フィッティング経験豊富なスタッフが、あなたの足型やライドスタイルに合わせて最適な一足を一緒に見つけます。

シューズ試着・サイズ相談・クリート調整も随時受付中!
ビンディングペダルに興味あるんだけど正直ちょっとビビってる...という方も、「今まで何となく選んでたけど、実は合ってなかったかも?」という方も、まずは気軽にご来店くださいね。